79話 名取と神宮寺
「名取さん、あんたさぁそんな剣持ってたっけ?」
「いや持っていなかったよ、最近手にいれたんだ、凄いだろ」
「……元の持ち主はどうしたんだ?」
「死んだよ、いや殺したが正しいかな」
名取は、クスッと笑いながらそう答える。
「あんたさぁ、そんな人じゃなかったよな」
「いやいや神宮寺、君の知る俺が俺じゃなかったんだよ、そうだろ?」
「信じねぇよそんな言葉、俺はあんたの言葉に救われたんだぞ!」
「あのなぁ、そんな昔の話なんてすんじゃねぇよ、お前に何言ったのかなんて、こっちは覚えてねぇんだよぉ」
そう言って名取は水帝の霊剣を構える。
「霊剣よ力を示せ、固有スキル発動、水仙刃!」
『バシュッ』
そう言って名取は神宮寺へ2本の水の刃を放つ。
「そんなの避けるまでもねぇよ」
『ズシャ』
神宮寺は躱す事なく水の刃をその身で受けた。
「おいおい、相変わらずおもしれぇなおまえはよぉ」
名取の攻撃により、神宮寺の両腕が斬り飛ばされるが、不死鳥の能力により瞬時に再生が始まる。
『シュオオ』
「すげぇな神宮寺、インドで拾ったんだろその鳥、良かったな雑魚じゃなくなってさ」
再生する神宮寺を見て名取は、神宮寺の感情を逆撫でするように話す。
しかし、いつもならこの手の挑発に乗る神宮寺だが、名取の言葉には眉ひとつ動かなかった。
「あんたはそんなゲス野郎じゃなかった、俺はそんなあんたを気に入ってたんだ、だからぶっ飛ばして元に戻してやるよ、宗太郎!」
『ゴウッ』
神宮寺がそう言うと両腕から炎が噴き出し、炎は腕へと形を変える。
「……だから、元に戻すって何をだよ、これが本当の俺なんだ、SSレアダンジョンアイテム天帝の指輪発動、起きろお前ら」
「うっ……頭痛い」
「……はっ、俺は一体」
名取は右手にある天帝の指輪を使い、自身の命を使い、気絶する2人を呼び覚ました。
SSレアダンジョンアイテム天帝の指輪。
自身の命を使い他者を治療するアイテムである。
「ごめんね麗奈、無理に起こしてしまって、でもねどうしても僕はあいつを、神宮寺を殺したいんだ、手伝ってくれるかい?」
「もちろんだよ!私、名取さんのためだったらなんだってするよ」
麗奈は笑顔で名取の願いに応じた。
城戸麗奈、彼女の人生は2人の男に狂わされている。
1人は槙島当千。
槙島は彼女を誘拐し記憶を槙島の都合の良いように改竄している。
そうしてもう1人は、麗奈の両親を殺した人物である。
麗奈の親は2人とも、元攻略者だった。
ランクはBでいわゆる下級攻略者、だが2人はダンジョンが好きだった、そんな2人は皮肉にもダンジョン内で10年前に命を落としている。
奪ったのは当時まだS1攻略者だった者、彼には攻略者の持っているダンジョンアイテムを殺して奪うという悪癖があり、麗奈の両親もその趣向に巻き込まれ命を落としている。
「ありがとう麗奈、僕も君のためならなんでもしたいな」
名取も笑顔でそう話す。
話に戻るが、その犯人は名取である。
名取には抑えられない殺人衝動があり、それとダンジョンアイテムの収集癖が組み合わさり悪癖となっていたのだ。
つまり、麗奈が笑顔を向けるその人が親の仇である。




