76話 争奪戦
ーーダンジョン内、柴崎サイド
「拓っくん、神宮寺さん大丈夫だよね?」
「え、神宮寺?」
ダンジョン内に入り急いで最下層へ向かって走っていると、仙道さんがそう訊いてきた。
「ああ、あいつなら大丈夫だと思うよ」
「そんな簡単に言って……相手はあの槙島だよ、狂道化師以外にも絶対まだSSSレアダンジョンアイテム持ってるよ」
「……私も槙島はまだ色々と隠し持っている気がします、あいつの底は正直言って全然見えない」
仙道さんに同調して四季さんもそう言った。
言いたことはわかる、槙島の底は俺にも見えないけど、それと同じように神宮寺の底も俺には見えない。
だからこそ神宮寺を槙島にぶつけるのはいい考えだと思っている。
「底が見えないのは神宮寺も同じだし、俺はやれると信じてるよ」
「拓っくん……神宮寺さんの評価結構高いんだね」
仙道さんは悲しそうにそう言った。
何故悲しそうなんだろうか……。
「い、いやそんなに高くないと思うけど……」
「……そうかなぁ」
「2人とも見えてきました、ダンジョントラップです」
神宮寺について俺と仙道さんで話をしていると、四季さんが目的地が見えてきた事を伝えた。
第4ダンジョンの1階層目の奥の立ち入り禁止の看板の先に、ダンジョントラップ階層転送がある。
関東第4ダンジョンは、通算で100回以上踏破されているため、どこにダンジョントラップがあるかも全て確認済みである、そのためダンジョントラップの前には立ち入り禁止の看板が立っており、一般のお客さんが最下層に行かないような工夫がされているのだ。
そして俺達は看板を超えてダンジョントラップの前まで行く。
「よし、2人とも準備はいいね、最下層に行くよ」
『了解』
そうして俺達はダンジョントラップ階層転送を踏み、最下層へと向かう。
『シュッ』
「よし転送完了、ここが関東第4ダンジョンの最下層だよ」
「す、凄いねこれ」
仙道さんはそう言って辺りを見渡した。
関東第4ダンジョンの最下層は、約3000年前に滅んだとされるダンジョン文明の遺物である、黄金郷が階層全体に広がっている。
そのため黄金の建物が連なっているのだ。
「……仙道さんはここ初めてなんですね」
「え、ま、まぁね」
口を開けて驚嘆していた仙道さんはそう言って口を閉じる。
いやわかるよ仙道さん、俺もここへ初めて来た時、同じ反応してたし。
「それじゃあこれから、手分けしてーー」
『ズドォン』
「おいどこだよ、黄金の鞭ってのは」
「……まったくサタンさん、せっかくの黄金卿を壊さないでくださいよ」
俺たちが到着すると、目の前にあった黄金の館から2人の魔族が壁を破壊して現れる。
う、嘘だ、そんなはずはないあいつは死んだはずだ。
「いやぁすまんなレヴィアタンよ、俺は丁寧に探すとかできんから」
「丁寧に探すのができないからって、壁をぶち壊すのは違いと思いますがね……おや、なるほどこれは嬉しい再会ですね」
そう言ってレヴィアタンは俺の方を見て優しく微笑んだ。
まずいな、あの魔族東北にいた強い奴だ、前は俺と雛菊、若織さんでやっと倒せたけど、結構ギリギリだった。
まさかあれで生きていたなんて……。
『ズドォン』
「よっしゃあ、黄金卿の金鞭ゲットォ!」
「こら嶺二、あんましはしゃぐな」
そうして俺とレヴィアタンが目があったタイミングでまた爆発が起こり、中から金鞭を持った若い男女の2人組が出てきた。
あれって、多分狗盗の奴等だよな。
はぁ今回もやっぱり骨が折れそうだ。




