7話 東北遠征①
「あー、憂鬱だ、帰りたい」
「何言ってんだよ拓真っち、まだ始まってすらないじゃん!」
東北へと向かう新幹線、俺は3人席の窓際の席で真ん中は雛菊、通路側には國枝さんがいる。
「柴崎さん、大丈夫?」
「ありがと國枝さん」
俺がそう返事をすると、國枝さんからスマホにメッセージが届いた。
『帰りたいってなに?私を東北に連れ出したくせに』
いやいや言動とメッセージ違いすぎない?
「おーい拓真、大丈夫かー?」
「あ、若織さん……大丈夫です、なんかすみません」
俺を心配したのか隣の列の席の若織さんが様子を見に来てくれた。
若織詩音、S3攻略者にして攻略者ランキング4位。
通称、快刀。
彼女もまたSSSレアダンジョンアイテム、神仙刀と呼ばれる大太刀を振るう猛者である。
ちなみに、若織さんや雛菊は自身の武器を持ち運ぶとき、キューブと呼ばれる小さなダンジョンアイテムを使っている。
キューブはあらゆる武具を格納できる4次元アイテムで、大きさはイヤホンケースほどだが大体のものは入るらしい。
「まぁいいよ、それよりもお前がダンジョンぶっ壊してくれて助かったよ、お陰でお前を連れて来れたし」
「いやだから守ったんですって」
「ダンジョン半壊させておいて何言ってんだか」
そう言って若織さんは自分の席へと戻っていった。
半壊って、俺1人のせいじゃないし、むしろあっちの魔族の方が壊してるんだぞ、俺1人の仕業みたいにしないでもらいたい。
ちなみにだが、若織さんは俺より年下の28歳である……何故向こうはタメ語で俺は敬語なのだろう。
今回の遠征には、俺と國枝さんを入れて11人で参加することになっている。
若織さんのパーティー6人に雛菊とそのパーティーメンバー1人、そして現地で待ち合わせ予定の東條さん。
以上11名。
ランキング上位者が、東條さん、若織さん、俺と雛菊で計4人いる。
これは結構な戦力だと思う。
まぁ東北の未攻略ダンジョンの探索だもんな、これくらい必要か。
あと目的地は魔族のいるとされる青森第3ダンジョンではなく、宮城にある東北第10番ダンジョンである。
てか腹減ったな、駅弁でも食べよ。
そうして俺たちは仙台へと向かった。
「ついたー!!」
「雛菊様、あまりはしゃがないほうが……」
「えー、せっかくの東北だよ、楽しまないとじゃん!」
「雛菊様、お仕事ですよ」
そう言って雛菊のパーティーメンバーである長谷川さんが騒ぐ雛菊を静止させた。
まったく雛菊のやつどうしてそんなに楽しそうなんだろう….…ちなみに俺はもう帰りたい。
「よぉし、お前ら目的地の東北第10番ダンジョンはこの仙台駅から車で30分ほどだ、気を引き締めろよ、特に雛菊!遊びじゃねぇんだよ、頼むぞ」
駅から出て若織さんが皆んなに檄を飛ばした。
あとついでに雛菊が怒られた、どんまい。
東北第10番ダンジョン、発見から5年経つが未攻略となっている。
推定全45階層の難関ダンジョンで、記録では祭さんが2年前に39階層に到達したが、そこで攻略を断念したらしい。
未攻略の障害となっているのが、35階層から下にいる龍人族と呼ばれる奴らで、魔族ほどではないが強く、なんといっても耐久力に優れているため討伐が困難らしい。
今回は東條さんや若織さんもいるし、なんとか攻略したいところではあるよな。
「バス来たぞー、乗れお前ら!さぁて約2ヶ月間のダンジョン攻略のはじまりだ!」




