6話 新しい協力者
「あ!柴崎さん」
「どうも、國枝さん」
都内のとある高めのレストランにて俺は國枝さんに会っていた。
「すみません、こんな良いところご予約頂いて、本当に今日は……その……」
「あー大丈夫です、今日は奢りですから」
「やったー!」
「いえいえ、早速なんですけど、あなたの正体について調べさせてもらいました」
「え?正体?」
あの日、ダンジョンが崩落した日。
俺も榊田さん達のパーティーも全員無事だったわけだが、これは別に俺が頑張ったからとかそういうわけではない。
彼女だ、國枝さんが助けたのだ。
「はい、まさかあのダンジョンアイテム開発者の牧田陽介のお子さんだったとは、調べるまで気がつきませんでした」
「……へぇ、調べたんだ」
先ほどまでの可愛らしい様子から一変して、國枝さんの口調が荒くなった。
牧田陽介、ダンジョンアイテム開発の第一人者にして、2年前にダンジョン内で何者かに殺されている故人である。
あの事件はよく覚えている、俺も攻略者なりたてで牧田さんの作ったダンジョンアイテムにはお世話になっていたし、何より新王の指輪も覇王の耳飾りも牧田さんが作ってくれたものだ。
「SSレアダンジョンアイテム、転移の腕輪を使って俺や榊田さん達を助けてくれたから気がつけました、あのアイテムは牧田さん制作で行方不明でしたからね」
「あっそ、まぁあそこで助けないなんてできないし、バレてもしょうがないなそれは」
「助かりました」
「いや別にそんな、感謝されるほどのことはしてないし、ていうか貴方こそ魔族を止めてくれてありがとね」
「それが仕事ですからね、あの時、俺と魔族の戦いを見ていたのは単に俺を心配したから以外にも理由がありますよね」
「ええあるわ、父を殺したのはおそらく魔族だから、あいつにその話を聞けるかもと思ってあそこにいたわ」
やっぱり魔族殺されたのか。
青森ダンジョンにしかいないと思っていた魔族が偶然北関東のダンジョンにだけいたなんて、普通はない。
おそらく気がついてないだけで、色んなところにいるのだろう。
牧田さんはその誰にも存在が気づかれていない魔族に殺されたのか。
「なるほど、まぁ牧田さんは開発者でありましたが、その前にS3攻略者でもありましたもんね、そんな牧田さんを殺せるのは魔族だけだ」
「そうよ、父がそう簡単に死ぬはずがない、きっと魔族が殺したのよ」
牧田さんの死には不審な点が多い、亡くなったのは宮崎にある九州第4番ダンジョン、殺害当時は1人だったらしく目撃者はなし。
モンスターにやられたと発表されているが、S3攻略者がまさか南の低ランクダンジョンで死ぬわけはない。
俺も今回の件でそうなのではないかと思っていたが、やっぱり魔族か。
「俺も牧田さんにはお世話になりました、仇討ちとかはできたら果たしたいとも思っています、どうですか、一緒に手を組みませんか?」
「手を組む?」
「はい、良かったら俺と一緒に東北へ行きませんか?」
何故今日俺が國枝さんと会ったのか、それは勧誘である。
きたる東北遠征のため國枝さんとパーティーを組むため俺は勧誘しに来たのだ。
まぁレストランは痛い出費だけどね。




