65話 槙島の能力
「ジャックフロスト!」
『パキッ』
「ほう」
開幕早々、四季のジャックフロストが槙島を捕らえた。
四季のジャックフロストは発動時間がかなり早く、避けるのは困難である。
「……このまま潰れて!アイスインパクト!」
『ボシュン』
そうして四季の渾身の一撃が動けない槙島の脳天に直撃した。
『グシャ』
それにより鈍い音を立てて、槙島の首がへし折れる。
そしてその一撃で槙島を拘束していた氷も割れた。
「……弱いね、やっぱりダンジョンアイテムと離れると力が出せないのか」
「いや、出せますよ」
「え?」
首が折れたまま槙島は話し出した。
「ありえない、今ので死んだはず」
『ゴキッ』
怯える四季を尻目に槙島は折れた首を元の位置に戻し、スキル"ヒールアップ"を即座に使用し治療した。
「別に、神宮寺さんの不死鳥のような再生力ってわけでもないので、ちゃんと痛いしおそらくあの一撃で僕は死んでます、ただ僕の狂道化師の能力は都合の悪い現実を改竄できるので、死という結果を無かったことにしたんです」
「……意味がわからない、あなた一度死んだのよ、それを無かったことになんて……」
「まぁさすがに限度はありますよ、例えば爆発に巻き込まれて木っ端微塵になるとかね、そもそも再生とかとは違うので、肉体自体の損傷が激しいと使えません、たとえ死をなかったことにしても肉体が残っていないとダメですからね」
槙島の使う、狂道化師の能力は現実の改竄。
この能力により槙島は今の四季の一撃で死んだ事を無かったことにしたが、ただあくまでも死ななかっただけで、首は折れている。
故に首を元に戻し治療したのだ。
「……イカれてる、それでも死ななかっただけで怪我はしてるって事よね、痛みとかないの?普通は首が折れるほどの攻撃を喰らえばもっと痛がるはずなのに」
「え、ああそれは大丈夫です、僕、痛覚鈍いので」
そう言って槙島はニコッと笑った。
「不気味、でもそれなら貴方の体を粉々にすればいいってことよね」
「その通りです、さすがは4位」
「やめて、貴方に言われても馬鹿にされているようにしか聞こえないし……ふぅ、でもまぁこれなら勝てる」
『ガキン』
そうしてそのタイミングで、フロストインパクトの出力が最大となる。
「いこうフロストインパクト」
そう言って四季は強くフロストインパクトを握った。
狂道化師の真価は、死の改竄ではない。
本当の怖さは別の能力の呪いにある事を四季はまだ知らなかった。
「さて、こっちも攻撃しますかね」
槙島がそう言うと、ドス黒いオーラが槙島を包んだ。
「……何あれ?」
「このオーラのようなものは、道化師そのものです、これを喰らえば貴方も道化師になれますよ」
「なにそれ」
「まぁどうぞ喰らってみてください、そうすればわかりますよ」
道化師の呪いは喰らったものを一時的にハイにさせ、様々な幻覚を見せて相手を弱体化させ心に傷をつくり、相手の記憶を槙島の都合の良いように改竄し、槙島の操り人形に作り変える。
つまり喰らえば終わりである。
「……絶対に嫌、それよりも貴方を氷漬けにして組合本部に連れて行く」
「ほう、できますかねそんなこと」
「やってやる」
そう言って四季は槙島を強く睨みつけた。




