58話 合流
定例会議後の夜、渋谷のとあるビルの屋上にて。
槙島は1人、とある人物を待っていた。
『ズォォ』
「時間通りだね」
「そっちもね、いやぁ槙島さんさすがだよ上位攻略者ランキングに入るなんて」
「やめてくれ、お前……元二位に言われるとか嫌味でしかないし」
現れたのは魔族側へ寝返ったはずの屋敷だった。
ここは地上から200近く離れたこのビルの上、誰もいない空の上の密室である。
槙島の話した鶏鳴狗盗についての情報はほぼ合っていない。
そして一点、大きく異なる事がある、それは槙島が元首領ではなく、現首領である点。
「さっき聞いた時は驚いたけど、まさか会議で自然と狗盗の話が出るなんて、すごいですよね、本当に」
「ええ助かりました、お陰でうまく誘導できましたし」
屋敷がそう言うと、槙島はホッとしたような顔で頷いた。
ダンジョン荒らし集団、鶏鳴狗盗。
その構成員数は8名。
槙島、屋敷を含め全員が元攻略者か現攻略者で、全員が上位攻略者と同等の力がある。
そもそも鶏鳴狗盗は3年前までは本当にただの攻略者のパーティーであった。
そこに槙島が加入して、当時のリーダーを自殺に追い込み乗っ取ったのだ。
そうしてそこからダンジョン荒らしとしの活動を始め今に至る。
「結構減ったよね、メンバー」
「仕方ないです、海外の特にドイツの攻略者は手強いですからね」
槙島は悲しそうにそう言った。
鶏鳴狗盗は国際的な犯罪組織であり、常に追われ続けている。
しかしそんな組織でも一つだけ判明していない事がある、それは頭目の名前。
これだけは世界の攻略者組合も日本の祭達もわかっていない。
灯台下暗し、鶏鳴狗盗のリーダー槙島の行動は常に大胆で、狗盗の活動を行いながら攻略者として狗盗を追う任務に参加することもある。
そうした大胆さにより自身が頭目であることを隠しているわけではないが、バレてはいないという現象を作り出している。
「でさ槙島さん、今度は何するの?俺、命令された通り攻略者も辞めて魔族側にいるんだよ、いい加減教えてよ」
屋敷はそう言って槙島に近づいた。
「ふふ、大したことではないですよ、ただねちょっと見てみたくなったんです、日本が壊れる様子をね」
「ほう」
「今の魔族勢力と日本の攻略者の争いは中々に面白い、それにこのままお互いに削りあってくれれば、どちらも疲弊するでしょう」
「そうだね」
「そしたら奪うのです、魔族側からは魔王を、攻略者達からは豊富なダンジョンアイテムを」
そう言って槙島は空を見上げた。
「で、どうすんのさ手に入れたそれは」
「魔王は利用価値がありますが、ダンジョンアイテムは適当に売ったりしますよ、それよりも我ら狗盗は盗賊ですよ、なら盗みこそが最高のエスクタシーでしょ?」
そう言って槙島は屋敷に目を合わせてニコッと笑った。




