57話 鶏鳴狗盗
「おい槙島、お前何言ってんだ?」
「嫌だな柴崎さん、そんな怖い顔しないでくださいよ」
「鶏鳴狗盗は立派な犯罪者集団だ、死者も出してる、そんな奴らの首領とか冗談でも言うな」
鶏鳴狗盗は、ダンジョン荒らしで盗みもするが、邪魔してくる攻略者にも容赦なく襲いかかる。
そのせいで海外では死者も出ていて、それが原因で俺達日本の攻略者は、海外に応援要請する事が困難になっているのだ。
「まぁまぁ落ち着いてください、僕が首領だった時は盗みはしてませんよ、ただの下級攻略者のパーティーでしたし」
槙島はそう笑顔で話した。
話してる感じ嘘はない。
「おい槙島、詳しく話してくれ」
祭さんがいつもとは違う、圧のある目でそう槙島を見つめた。
「えーっと、まずは成り立ちから簡単に話すと元々鶏鳴狗盗は、5年ほど前に僕が作ったパーティーで、その当時は男女合わせて7人で関西を拠点に細々とやっていました」
「それで?」
「まぁ僕は2年くらい一緒にいましたけど、その後離れました、居場所を知っているのはその時のメンバーがまだ狗盗と繋がっていてそこから得た情報です、信用してください」
そう言って槙島は両手を上げた。
色々信用できないが、もし仮にあいつらが日本にいるならこれはチャンスかもしれない。
鶏鳴狗盗を捕らえられれば、その後の魔族掃討作戦も練りやすくなるし、何より海外の攻略者組合との関係も改善する。
これは捕えるしかない。
「……信用してもいいんだな」
「ええ、信用してください柴崎さん、ここで僕が元首領と明かすリスクを冒しているんです、これは必要のないリスクです、故に僕は白です」
「真っ黒だろ、首斬り野郎」
長々と話す槙島に雛菊がそう釘を刺した。
まぁでもあの状況で元首領と明かすメリットは槙島にはない、本当にただ単に狗盗を捕らえたいだけなのかもしれない。
「はは、威勢がいいですね雛菊さん」
「おい、雛菊に槙島もうその辺にしろ、他のみんなもここは槙島を信じてみよう」
祭さんは槙島と雛菊を黙らせ、皆んなにそう言った。
「か、仮にですよこれが罠とかだったら……」
仙道さんは自信なさげにそう話す。
罠か……でもそれは多分ない。
理由は俺たちが日本にいる事を知った場合、奴らは追われる事になるからだ。
元々盗みで来ているのに、わざわざ邪魔者を増やす理由が野盗団のあいつらにはないはず。
故にこれは罠ではない。
「罠って、仙道さん、僕が皆さんを裏切っているみたいに言わないでください」
「仙道、まぁ落ち着けここは一旦槙島を信じる、それで一体鶏鳴狗盗はどこにいるんだ?」
仙道さんを止めつつ、祭さんは槙島にそう訊いた。
「埼玉県にある、関東第4ダンジョンにいます、そしてそこにあるとあるものを狙ってます」
「……あれか」
槙島がそう言うと、祭さんが思い出すようにそう言った。
「そうあれです、正式な認定はまだですがおそらくSSSレアダンジョンアイテム、黄金卿の金鞭、それが奴らの狙いです」




