56話 今後のこと
「よし、それじゃあ自己紹介も終わったことだし今後の方針を決めていくぞ」
槙島くんの自己紹介が終わり祭さんは定例会議を本格的に始めた。
この感じはなんかずいぶんと久しぶりな気がする。
まぁ前回は魔族に邪魔をされて、会議どころではなかったもんな。
「まぁまずは決定事項からだが、今後常に本部には上位攻略者3名以上が残るようにしてほしい」
妥当な判断だと思う。
前回本部が魔族に襲撃されたし、今後もないとは限らない。
むしろ奴らの狙いが魔力生成の泉なら尚更、狙われる事が増えるだろうし。
「異論ある者はいるか?」
「はい!祭さん、はい!」
「どうした蘭方」
祭さんが異論ある者を問うと、1番異論とか言わなそうな蘭方君が手を挙げた。
「魔王とはここにいればまた戦えますか?」
「……いや、わからん」
「そうっすか、なら俺は魔王と戦えるとこ行きたいです!」
「お、おうならとりあえず、北海道とかかな?」
ここ3ヶ月の捜索で魔王一行は、北海道にいると言う事が判明している。
ただ、北海道にあるダンジョンは場所が場所だけに完全未踏であり、情報が何もない。
確定してるのはそれらダンジョンに魔族がいる事くらいだ。
「ならそこに行きたいです!」
「そ、そうか行きたいか……うーん」
そうして祭さんは困った顔をした。
まぁ、行けるなら行きたいけど、そこにさける戦力がな。
仮に北海道に上位攻略者を送り込んだタイミングでまた本部襲撃なんて起きれば、それこそこっちにとって大打撃になりかねない。
だからと言ってこのまま防戦一方も良くないし……。
「祭さん、少しいいですか?」
「おお!四季ちゃんどうしたの?」
祭さんが蘭方君の問いに困っていると四季さんが口を開いた。
「海外の攻略者に応援を要請してみてはどうですか?」
「あーなるほど!それいいね!」
祭さんは四季さんの提案にめっちゃ頷きそう返した。
海外の攻略者への応援要請か、それは名案かもな。
実際、海外からの応援要請にうちも何回か応えているわけだし。
ダンジョンビジネスが盛んなドイツとかアメリカならすぐにでも人を寄越してくれそうだ。
「ええ、ですがそれには問題もあります」
四季さんはそう言って俺達全員を見回した。
「問題ってなんだい四季ちゃん?」
「それは、ダンジョン荒らしです」
「あー、あれか……」
四季さんがそう言うと祭さんは頭を抱えた。
ダンジョン荒らしとは、文字通りダンジョンを狙う盗賊のような輩だ。
ダンジョン荒らしは全世界におり、特に日本には厄介な連中がいる。
「鶏鳴狗盗の連中です」
ダンジョン荒らし集団、鶏鳴狗盗。
元攻略者の集まりで結成されており、日本発祥だが海外を拠点に活動しており、現在は主にイングランドを拠点にしている。
そいつらの悪名のせいで、海外の攻略者組合は、協力する対価に彼らを捕えろと言ってくる事が多く、過去にも何回かあった。
しかし、この鶏鳴狗盗の連中が中々の手だれ達で、捕まえようにも中々捕まえられなかったのだ。
「おそらく、北海道の魔族のいるダンジョンを一緒に攻略してほしいと頼んでも、まずはあいつらをなんとかしろと言われます」
「うーんそれは参ったな、魔族もなんとかしないとだが、そのためにあいつらを捕まえないといけないとは……」
「鶏鳴狗盗の連中なら、今日本にいますよ」
祭さんと四季さんが頭を抱えていると、槙島君がそう話した。
「本当か槙島!」
「ええ、本当です」
そう話す槙島君の目に嘘はなさそうに見える。
「なんでそんな事、あなたが知っているの?」
火野さんが槙島君にそう訊ねる。
まぁそうだよな、普通はそこが気になるよな。
「ああ、それはですね、僕が元鶏鳴狗盗の首領だからですよ」
そう言って槙島君はニコッと笑った。




