48話 屋敷の覚悟
「はぁはぁ、あんたやるわね」
「そっちもね」
祭より200メートルほど離れたところでは、火野と雛菊vsアスモデウスが行われていた。
前衛は火野がやっており、持っている神羅の錫杖を使いアスモデウスを抑えて、そしてアスモデウスの隙を後衛の雛菊が遠距離水攻撃で狙う。
その作戦によりジリジリとアスモデウスは削られていた。
「火野さん!避けてね」
「固有スキル発動、水霊の波動!」
雛菊はアスモデウスへ向けて、出力の高い固有スキルを放った。
「またそれか!エンドスキル発動、ヘルファイア!」
『ボウッ』
アスモデウスは雛菊のスキルを防ぐべく自身の得意スキルを発動し、水霊の波動に当てた。
『ジュオッ』
雛菊の放った水のスキルはヘルファイアにより一瞬にして蒸発した。
そうしてアスモデウスの眼前が白い煙に包まれる。
「ふぅ、固有スキル発動、神羅の威光!」
「なっ、まずい!」
火野はアスモデウスの隙をつき、神羅の錫杖の固有スキル、神羅の威光を発動させた。
神羅の威光は本来、太陽の光使い対象の治療をするものだが、魔族にとってその光は毒になるため攻撃手段として有効である。
「これで終わりよ!」
アスモデウスは合計で4発の威光を受けておりかなりのダメージを負っている。
「ぐはっ」
アスモデウスは吐血してそのまま崩れ落ちるように地面に伏した。
神羅の威光の発生させる光は、魔族に浴びせると魔族の肉体を内部から破壊できる。
そのため、アスモデウスの内蔵はボロボロだった。
「ナイスです火野さん」
「……くっ、ここまでか」
「ふぅ、なんとか勝てましたね」
勝利を確信した火野は肩の力を抜いた。
その隙をチャンスと思っていた者が近くに忍んでいるとも知らずに。
「転移の扉発動!」
「……」
『バタンッ』
火野が油断した一瞬の隙をつき、近くの茂みに隠れていた屋敷はアスモデウスを回収した。
「天音か!」
扉で回収されすぐに雛菊は屋敷の名を叫ぶが、反応はない。
「くっ、やられましたね」
「天音のやつ……もうこれじゃあ完全に敵側じゃんかよ」
雛菊は悲しそうにそう呟いた。
一方で、祭サイドではベルゼブブが窮地を迎ている。
「さぁて、本当にこれで終わりだな」
『ガチャ』
「くっ」
祭の魔弾サターンを受け、ベルゼブブは全身が鉛のように重くなり膝をついたまま動けなくなっていた。
そんなベルゼブブに祭は銃口を向けている。
「なぁ屋敷にいて聞きたいんだが、あいつにお前ら何したんだ?」
「……ふっ、何もしてないですよ、ただ彼は来たのです」
ベルゼブブは祭の問いにそう答えた。
「……そうか、魔弾装填ジュピター」
「魔王様、申し訳ございません」
そうして祭は魔弾を装填し、それを見てベルゼブブは自身の死を覚悟した。
「あばよ」
『ズドン』
「やらせねぇよ!」
祭がジュピターを放ったその時、屋敷がベルゼブブと祭の間に入りジュピターからベルゼブブを庇った。
『ズドォン』
そうしてベルゼブブと屋敷はジュピターの拡大する球体にそのまま押しつぶされていった。




