46話 敗北
蘭方と魔王の大技により、ビルの屋上から16階付近までが削れた。
15階から下は柴崎の結界により守られていたため、倒壊こそしなかったが、攻略者組合本部は文字通り半壊してしまった。
「がはっ、こ、ここは」
地面の上のくずれた瓦礫の上で蘭方は目を覚ましたがそこに魔王の姿はなかった。
「くっそ、負けたのか……あの野郎とどめも刺さずに消えやがって」
蘭方は自身の敗北を知り、悔しさを露わにする。
しかし、蘭方の攻撃により魔王も致命傷を負っており、先ほどまで蘭方同様に倒れていたが、助けに来たマモンにより魔王はすでに近くのダンジョンまで運ばれていた。
「ま、魔王様、落ち着いてください」
「うるさい!あと少しあと少しだったんだ、それなのにあいつは、蘭方はあの窮地でさらなる覚醒をした、それなのに何故私にはそれが起きなかったんだ」
新宿御苑の下にある、関東中央ダンジョンへと運ばれた魔王は、起きるなり怒りを露わにしていた。
実際のところ、魔王は蘭方に直前まで勝っていたのだ。
しかし最後の技の撃ち合いで蘭方はさらなる進化をし。
その進化に魔王は追いつけなかった。
それが魔王にとってとてつもない屈辱となっていたのだ。
「くっそ、マモンよ攻略者は侮れないぞ、特に蘭方!あいつだけは私が倒す」
「はは荒れてんな、王様よ」
「あ?」
そんな荒れ果てた魔王に、先ほど戻ったサタンが話しかけた。
「見ろよこれ、最強の俺でもこんなにされちまったよ」
そう話すサタンには左腕がなかった。
「……答えよサタン、誰にやられた」
「神宮寺っていう攻略者だ、ありゃあバケモンだっだよ」
サタンは清々しい顔で魔王の問いに答えた。
それとは対照的に魔王の表情は歪み、悔しさを超え怨嗟に満ちた顔をしている。
「ありえん、ありない!何故私たち魔族があんな奴らに遅れをとるんだ、ベルゼブブ、ベルゼブブはどこだ?」
「……ブブなら、あそこに」
マモンはそう言って近くの岩に腰掛けるベルゼブブを指差した。
「ベルゼブブよ、お前その身体は……」
ベルゼブブの身体は半分形態変化しており、半虫半人となっており、両足がなかった。
「すみません魔王様、私は完敗でしたよ」
「だ、誰だお前をこんなにしたのは」
魔王にそう訊かれゆっくりとベルゼブブは口を開く。
「祭、祭十蔵と言う奴です」
「祭十蔵……」
魔王はその名を聞き、ゆっくりと復唱した。
攻略者、祭十蔵。
年齢47歳、出身地青森県。
現攻略者ランキング3位、通称最強の攻略者。
所有アイテムはSSSレアダンジョンアイテム2個。
SSレアダンジョンアイテム3個。
しかしこれは彼が自己申告した数であり、火野曰く、もっとあるとのこと。
祭十蔵は、攻略者のなかでもかなり異質な存在なのである。




