5話 事後処理と報告
「まったく、柴崎さんやってくれましたね」
「すみません……」
魔族との戦闘から早2日。
俺は組合本部のある東京の新宿にいた。
「北関東第25番ダンジョンにて、何故か出現しそこのダンジョンボスの核を食べたとされる魔族と交戦、お互いに強力なスキルを放ち、ダンジョンはそのまま崩落、現在は第五層から第三層までが完全封鎖、やりすぎです!死傷者が出なかったのが幸いですけど」
「本当にすみません」
「まったく、でも柴崎さんあの魔族を撃退するなんて、流石はランキング7位」
「いえいえそんな」
「まぁでも罰として、こちらの言う事に従ってもらいますからね」
「……わかりました」
そうしてそのまま俺は解放された。
にしても溝口さんにまた迷惑をかけてしまった、申し訳ないな。
溝口唯、攻略者組合の安全課の課長補佐を務めており、このように攻略者関連の安全問題に対し、原因究明やメディア向けに発表なんかをしている、縁の下の力持ち的な人である。
これから先のことは溝口さんに任せるとして、なんであの魔族はあんな低級ダンジョンにいたんだろう。
「あ!拓真っちおひさー!」
「お、おう、雛菊か久しぶり」
溝口さんとの話を終えて、組合本部のロビーに行くと、ランキング9位の雛菊碧にあった。
雛菊碧、通称水神。
SSSレアダンジョンアイテム、水霊の杖を所持している俺と同じS2攻略者だ。
にしても、なんで雛菊の通称が水神で俺のは脱サラ攻略者なんだろう、広報の人絶対俺の脱サラでメディア受けとか狙ったよな……いずれ訂正させよう。
「拓真っち聞いたよ、ダンジョンぶっ壊したんだってね、やるじゃん」
「なんだその噂の広まり方、やめてくれよな」
「それと、出たとも聞いたよ魔族が」
「ああ、出たよ」
「どう?強かった?」
「あぁ強かったよ、正直言って撃退できたのが奇跡だよ」
「またまた~、拓真っち強いし倒せるっしょ」
そう言って雛菊は俺の背中をバシッと叩いた。
近頃の若いやつはなんで歳上にタメ口なんだろうか。
雛菊なんてまだ23だ、俺の方が8つも上なのに……やめようおっさんっぽい。
柴崎拓真、31歳、最近の若い子達との距離感に悩んでいます。
「いや無理だよ、俺は全力だったけど相手の魔族はまだ隠してる感じだったし、祭さんとか東條さんとかじゃないと倒せないと思うよ」
「マジで?ヤバないそれ、うわぁ次の東北遠征行きたくねぇ」
「なんだよ雛菊東北遠征行くのか?」
「うん、東條さんと若織さんの指名で行く事になったー!マジしんどい」
東北遠征とは、東北にある難関ダンジョンの探索任務である。
何故かは知らないが、ダンジョンは北に行くほど難関になるらしく、東北にはまだ未攻略のダンジョンが5つほどあるのが現状だ。
それに未攻略ダンジョンの一つである、青森第3ダンジョンには魔族がいると言われている。
あの強い魔族とまた戦うのは正直ごめんだし、当分は関西圏の落ち着いたダンジョンを回るつもりだ。
まぁ雛菊には悪いけど。
「まぁがんばれ、雛菊なら死なないと思うし」
「あれぇ、拓真っち他人事みたいにいうじゃん!私と一緒に行くのにさ!」
「え?いやいや聞いてないって」
「え、でも若織さんが言ってたよ、ダンジョン壊した罰だって」
マジかよ、またあのクソ強い魔族と戦うのかよ。
てかダンジョン壊したとかやめろよな、守ったと言ってくれよ、せめて。




