42話 覚醒
『グォォォオ』
スキル形態変化白龍、これは蘭方がダンジョンで遭難した際に、ダンジョンから出るために編み出したスキルである。
蘭方は気分が乗っていたり、全力を出したい時にこのスキルを使う。
「蘭方よ、お前は一体なんなんだ?」
『あ?知らねーよ、それより気分が上がってきて収まらねぇな、このまま全てをぶっ壊してぇよ』
奇蹟の種により引き出されたスキルは、本人の願望を叶えたスキルとなる。
そしてそれにより生まれたスキルは理性を吹っ飛ばし、本人の深層に眠る欲望をより濃く引き出す。
つまり、ぶっ壊したいという気持ちは、蘭方の深層に眠る欲である。
そして今、蘭方の理性はほぼなくなっており、欲望のままに動いてしまう。
これは暴走である。
「化け物め、このビルを壊すのは我々としてもありがたいが、お前を倒さねば他の魔族や作戦に支障が出る、死んでもらうぞ蘭方!」
白龍は全長10メートルほどあり、重さは15トンにもなる。
「エンドスキル発動!カオスインパクト!」
『スドォン』
エンドスキル、カオスインパクト。
威力は推定で60,000以上、単純なスキルであり効果としては強力な衝撃波を前方に飛ばすというもの。
これにより屋上は床ごと削れ、蘭方にもその衝撃波が襲いかかる。
『……いってぇ』
衝撃波を受けた蘭方はあまりダメージを受けた様子はなく、静かにそう言った。
白龍の耐久値では、威力70,000を超える攻撃ではないとダメージは入らない。
「ほぼノーダメージとはな、恐れ入ったよ」
『よくわかんねぇけど、次はこっちから行くぞ、スキル発動白炎砲!」
そう言って蘭方は口から真っ白い炎のブレスを放つ。
「良い技だ、エンドスキル発動、防壁陣」
魔王は白い炎を防ぐべく自身の周りに防壁を展開した。
『シュオオオオ』
魔王の防壁陣は音を立てながら、蘭方の豪炎を防ぎ続けていた。
「いいぞ蘭方!お互い死力を尽くそうではないか!影よ来い」
『ズォ』
魔王は蘭方の耐久力を見て、1発の最高火力ではなく、多方向からの強火力を与える作戦に切り替え、残る影の分身体17体で、蘭方を囲んだ。
『ああ?またその影かよ、いいぜ蹴散らしてやる!』
『ドヒュン』
そうして蘭方は真上へと飛び上がった。
「お、おい蘭方やめろ、そんな事をしたらお前らの拠点ごといくぞ」
『うるせぇ!じゃあお前が防げよ!スキル発動!白炎砲』
「くっ、エンドスキル発動、防壁陣!」
『シュオオ』
そうして魔王は不本意ではあるが、攻略者の拠点を守る形で防壁陣を展開した。
「影達よ、あいつを狙え!」
本体にそう命令された影達は、蘭方に狙いを定め四方からエンドスキル、大黒点を打つ構えをした。
『ちっ』
『ガシュン』
影達が大黒点を構えるのを見て蘭方はブレスを止めた。
見た目は巨大な白龍となってはいるが、蘭方御厨であることには変わりはない。
故に人型状態で使えたスキルはこの龍モードであっても使用可能。
『お前ら影はこれに弱いだろ!喰らえシャイニング!』
『ピカーン』
蘭方は空中で体を丸めると全身を太陽の輝きのごとく光らせた。
『ジュオオオ』
「なっ、か、影達が」
蘭方のシャイニングを受けた影達は全てそのまま消滅してしまった。
『はは、俺とお前能力的に相性良すぎてるな!』
「蘭方……こいつを倒すにはどうすればいいんだ、いやどうすればではない、倒せるまで進化をすればいいんだ」
魔王は常に進化をしている。
その進化の速度は危機に瀕することで加速する。
『ピキピキ』
『あ?またそれかよ』
魔王がしているのは蘭方を倒すための進化である、それ即ち人型では勝てない相手を倒すための進化。
『ゴキゴキ』
魔王の身体は何倍にも膨れ上がり、大きな翼や強靭な鉤爪も生えてきた。
『グォォォォオ!待たせたな蘭方!これで同等だ!』
そうして魔王は蘭方と同じくらい大きな黒龍となった。
『はは、そうくんのかよ、面白ぇな』




