34話 魔王vs天才
柴崎と仙道が東條連れ下に降りてから3分後、魔王は蘭方に頭を鷲掴みにされ引きずり回されていた。
『ガガガガガガ』
「おい!やめろ小僧」
「あっはははは、やめろってそんな無理だよ!だってこれ結構楽しいし!」
蘭方の素の力は、魔王の筋力を遥かに凌駕しており、魔王がいくら蘭方の腕を引きちぎろうとしても全く傷はつかなかった。
「クソ、極星発動!」
『ススッ』
「あれ?」
そう言うと魔王はぱっと姿が消えてしまった。
そして驚いて止まってしまった蘭方の背後に魔王は現れ、素早く斬りつける。
「死ね小僧!」
『サッ』
「あぶねっ」
「な!?」
蘭方は魔王の後ろからの攻撃をひょいっと躱した。
「お前、後ろに目でもついてるのか?」
「え、いやいや目はついてないよ、ただ空気の振動がさ」
「は?」
SSSレアダンジョンアイテム、奇蹟の種。
その能力は、身体能力の向上と適合者の求める力を授けるである。
まず身体能力の向上についてだが、向上するのは腕力に脚力、膂力といった筋力。
そして五感全ての覚醒、蘭方は集中すれば30メートル先の声を聞き分けられたり、200メートル先の物もくっきり見えたりする。
極め付けに蘭方は目を瞑っていても、相手の攻撃を躱す事ができる、これは人が動く時の空気の振動や関節の音が聞こえたり感じたりできるためである。
「いやえっと、うまく説明できないや」
「……聞きたい事がある、お前も上位の攻略者なのか?」
「うん、8位だよ」
「ほう」
魔王はここに来る前に、屋敷から上位の攻略者について色々聞いていた。
東條は4つのSSSダンジョンアイテムを使うとか、雛菊は水の杖を使うとか色々聞いている。
ただしそのとき、3位の祭と5位神宮寺、そして8位の蘭方には気をつけてほしいと伝えられていた。
この3人の共通点、それはダンジョンアイテムが他の攻略者と異質である点である。
アイテムと便宜上はなってはいるが、この3人の持つものは屋敷曰く、本当は何なのか解明できていない未知ものであると言っていた。
「確か8位は蘭方御厨とかいう奴だったな」
「お!詳しいね、そうだよ俺が蘭方だ」
「屋敷から、お前には特に注意しろと言われていてな」
『ススッ』
そう言って魔王は影で分身を20体生成した。
「すげぇ増えたな」
「この剣がそういう能力なんだ、蘭方、お前にはこれでいく、東條のときのように情報のアドバンテージも使えないからな」
「へぇ、やっぱり屋敷さんから東條さんのこと色々聞いてたんだ」
「ああ聞いていたさ、東條に関しては敗北を知らないのが弱点だから精神的負荷をかけ続けろとか指示があったよ」
「うわ、もう完全に裏切ってるじゃん屋敷さん」
「それでな、屋敷はお前についても教えてくれたよ」
「気になるね、なんて言ってたの?」
「攻略者で1番……」
「1番なんだよ」
「頭が悪いとな」
「は?いやいや悪くないし!高校だってちゃんと出てるし、朝はちゃんとウェザーニュースで色々チェックしてるしさ!」
「いやすまん、多分頭が悪いってのは、知識とかそう言うのではなく感覚的に頭が悪そうって意味だと思うぞ」
「それ酷くね?」
「どうだろうな……うむ、話がだいぶ逸れたが、さぁはじめようか蘭方」
魔王がそう言うと魔王の影がゆっくりと蘭方に近づいていった。
「そうだな、俺もだいぶ身体が温まってきたところだ」
2人の第二ラウンドがはじまる。




