29話 不死鳥
「負けられねぇんだよ」
「起きたのか神宮寺、良かったよまだ遊べそうで」
間一髪のところで神宮寺は目を覚まし立ち上がった。
ただ、目の前のサタンが自分に向けて放とうとしてるものを見て、これは防げる技ではないと悟る。
しかし、神宮寺は挑まなければならない。
たとえ相手がどんなに強くてもここで倒れると、若織が攫われてしまう。
まだ仲直りもしてないのに。
そう思った神宮寺は、最後の大技を使う覚悟を決める。
「サタン、お前クソ強いよ、ほんと」
「……ありがとよ、でもそれはお前もだ神宮寺」
「そりゃそうだろ、俺が攻略者最強だからな」
「そうなのか!ならお互いに最強同士の戦いという事になるな」
「おう、そうなるな……いくぞ、神皇炎【奥義】終炎!!」
神皇炎【奥義】終炎、不死鳥の炎を全身に纏い相手へと体当たりする大技。
代償として術者の寿命を5年から10年ほど縮める。
そしてこの技を使うと他のアイテムとは違い、丸3日は不死鳥の炎を使用できない。
『ゴォォォ』
「すげぇ炎だな、これなら俺を殺せそうだ、でも俺だって負けねぇ」
『グォォ」
サタンは神宮寺の纏う炎の火力を見て、込めるオーラの量を倍増させた。
「行くぞぉ神宮寺ぃぃ!!」
「来い、お前の全てを焼き尽くす」
「極波撃!!」
「終炎!!」
そうして2人の大技は新宿中央公園全体を巻き込む爆発となり、衝撃と熱風によりあたりの木々を吹き飛ばした。
3分ほど経ち、あたりの土煙が晴れていきふたつの影が現れた。
「はぁはぁ、ぐはっ」
1人は神宮寺であり、全身傷だらけとなっている、大技の衝突により右腕が吹っ飛んだが、不死鳥の残火により右腕だけは再生した、しかし全身の傷は再生できていない。
「ぜぇぜぇ、はは、生きていたなお互い!」
そう話すサタンの身体は左腕一本と、右手が欠損していた。
そして全身に重度の火傷を負っている。
「みたいだな、なんだまだやるのか?全然いけるぞ」
「それもいいが、今回は引き分けかもな」
「あ?どう言う事だ?」
「はは、見ろ神宮寺あっちの方を」
そう言ってサタンは攻略者組合本部のある方を指差した。
するとそこには崩壊していく本部が見えた。
「な、何があったんだ……ぐはっ」
そうしてそのまま神宮寺は気を失った。
「ふっ、さすがに限界か、まぁそれを俺も同じだがな」
『ズォ』
神宮寺が倒れるのとほぼ同時にサタンの横に扉が現れ、中から屋敷が出てきた。
「サタンさん、行きましょうか」
「屋敷か、遅かったな……ってお前その身体」
屋敷の身体には片目と両腕が無かった。
「別に良いでしょう、それよりも早く」
「わかった、またな神宮寺」
そう言ってサタンは屋敷と共に消えた。




