26.5話 神宮寺と若織さんの関係?
「くっそどれがいいんだこれか、いやこれか……迷うな」
「え、神宮寺じゃん!何してのこんなとこで!」
「ひ、雛菊?」
とある日曜日、新宿駅にある商業施設のアクセサリーショップで神宮寺と雛菊はばったりあった。
この日、神宮寺はとある人物への贈り物を買いに来ている。
「え、シュシュ買うの?」
「あ、買わねえよ」
「でも手に持ってるそれって」
「……」
嘘である。
神宮寺は明日誕生日の若織にプレゼントをあげようとここへ来ている。
何故、神宮寺が若織にプレゼントをあげるかというと、実は若織と神宮寺は幼馴染であり、2年ほど前までは下の名前で呼び合ったりして仲が良かった。
しかし2年前、神宮寺が海外で行方不明になってから若織の態度が以前のような友達のような態度から、仕事関係者に向けるような硬い態度になってしまった。
若織の態度が変わった理由は不明だが神宮寺はまた以前のような関係に戻りたいと思っているのである。
そのためのプレゼント。
「ねぇねぇ誰にあげるの?」
「だから買わねぇって」
そう言って神宮寺は持っていたシュシュを棚に戻した。
「あ、わかった!若織さんにあげるんだ!」
「!?」
言葉ではなく神宮寺のその態度から雛菊はそれが正解である事を悟った。
雛菊碧は、基本的にあまり頭使うタイプではない。
人と話す際も頭で話を組み立てたりはしない、ただそれ故に勘が恐ろしく良い時があるのだ。
「にしても意外だな神宮寺が若織さんのことを……」
「馬鹿そういうんじゃねぇよ、ただ昔知り合いだっただけだ、そんな深い仲じゃねぇよ」
「え、今も知り合いじゃん、なのに昔ってどういうこと?」
「あ、やべぇ」
妙に鋭い雛菊に神宮寺は自分のペースを乱されていた。
このままでは幼馴染である事がバレてしまう、焦った神宮寺はお店から出ようとする。
「えー、買いなよ若織さん喜ぶよ」
「うぐっ……」
若織さん喜ぶよのその一言が神宮寺の足を止めた。
昔、若織に誕生日プレゼントをあげたときの若織の笑顔が頭を過ぎる。
「ねぇどうすんの?」
「……買うか、でも雛菊このことは」
「わかってるよ、誰にも言わないよ」
「すまんな」
そう言って神宮寺はちょっと良いシュシュを買った。
本当はもっと良いものを買ってもよいのだが、いきなり高価な物貰っても困るよなと考え、これにしている。
「2,300になりまーす」
「あ、じゃあ3,000で」
「ラッピングとかはどうされますか?」
「え、ラッピング?」
この手のお店では気を利かせて、ラッピング提案されることが多く、状況によって利用するか否かを判断する。
神宮寺はそのまま渡すつもりだったので困惑し、固まってしまった。
すると横から雛菊がひょいっと出てきた。
「もちろんお願いします」
「ちょ、待て」
「喜ぶよ若織さん」
「……ラッピングお願いします」
「かしこまりました!」
若織さん喜ぶよ、その単語に神宮寺は弱い。
その後、購入したシュシュの入った袋を手に神宮寺と雛菊は店から出た。
「じゃあ頑張って渡してね」
「お、おう、今日はありがとな」
「良いってことよ」
そう言って雛菊は去っていき、神宮寺も帰路へついた。
余談だがこのあと雛菊はめっちゃこの事について口を滑らせていた。




