26話 氷鉄槌
「エンドスキル発動、プロミネンス!」
「固有スキル発動、アイスバースト!」
『ドゴォン』
ルシファーの爆発に対し、四季は冷気の放出であるアイスバーストで対応するが、威力を完全には抑えることができず、ダメージを負っていた。
ルシファーのエンドスキル、プロミネンスは自身の身体の周りに高エネルギーを発生させ自爆するスキル。
厳密には自爆ではなく体の周りにあるエネルギー波飛ばすスキルである、そのため自爆ではない。
なのでこの爆発でルシファーが怪我をすることはないのだ。
「……いてて」
「辛そうだなぁ攻略者よ」
「別に……」
「強がるな、俺の爆発にお前は対応できていない、いくら能力の相性が良いからって、出力が見合っていないんだよ」
「……ジャック・フロスト!」
『パキパキ』
固有スキル、ジャック・フロスト。
この技はハンマーを使わずノーモーションで、任意の対象の頭部以外を一瞬で凍らせ、相手を雪だるまにするスキルである。
正面からやり合うと出力不足で力負けする四季にとってこのノーモーションで凍らせるスキルは、現状ルシファーへの唯一の対抗手段であった。
「くっ、またそれか、プロミネンス!!」
『バリン』
動きを封じられたルシファーは、プロミネンスで自身の氷ごと爆発した。
「そのスキルだけは厄介だな、だが動きをいくら止められても決定打がないんじゃ意味ないよな」
「……」
ルシファーは一つ勘違いしている。
四季の持つフロストインパクトは別に出力が低くない。
むしろ、上位攻略者の持つダンジョンアイテムのなかでフロストインパクトの固有スキルの出力は、東條の持つ神葬琰剣や若織の神仙刀に次いで3番目に高い。
では何故高出力を撃たないのか、否、撃てないのである。
フロストインパクトは解放後10分間は全開を出せない仕様となっており、かなりのスロースターターアイテム。
だがそれもあと1分で終わる。
四季はその10分間をジャック・フロストや出力の低い技で耐えていたのだ。
『ガキン』
「あ、終わったんだ」
「は?何言ってんだお前」
「いくよフロストインパクト」
そう言って四季はハンマーを力強く構えた。
「やる気だな、いいだろうエンドスキル発動、プロミネンス!」
「固有スキル発動、フロストバースト!!」
『ズドン』
ルシファーの爆発に対し、四季は高出力の冷気を放つフロストバーストを使用する。
爆発と冷気の衝突により辺りは濃い霧に包まれた。
「……はぁはぁ、うぐっ」
「やるなぁ攻略者、俺の爆発を止めるだけじゃなく、俺にダメージを与えるなんて」
霧が晴れるとそこには、片膝をつく四季と右腕が凍ったルシファーがいた。
スキルの威力は僅かに四季が上回ったが、爆発の衝撃により四季にもダメージが入る。
しかしルシファーにはそれ以上のダメージが入っていた。
「……もうこれは使えないな」
ルシファーは凍った右腕を見てそう呟く。
これで両者のスキル出力はほぼ互角となったため、次の一撃で勝負が決まる二人はそう感じていた。
「ふぅ、強いなあんた、良い武器だし相手にとって不足なしだな」
「……どうも」
「反応薄いなぁ、まぁいいや次で決める、ふぅー」
ルシファーはそういうと、深い深呼吸を始めた。
余談だが四季はコミュ力が高くない。
今まで学校でも目立たず静かに過ごすことが多かったし、大学を出て攻略者になってからもコミュ力は上がらなかった。
だが四季は別に他人に興味がないわけではない、祭曰く四季の一番の武器は観察眼と戦闘センスである。
「エンドスキル発動、エクスーー」
「ジャック・フロスト!」
「なっ」
ルシファーがスキルを撃つ寸前で、四季はノーモーションで相手を捕えるジャック・フロストを放ち、ルシファーはまた雪だるまになった。
「高出力スキルに目が行き過ぎましたね」
「……はは、やられたよ」
「フロストインパクト【奥義】氷鉄槌」
『ビキビキ』
四季がそう言うと、ハンマーは大きな氷で覆われた。
ルシファーはこの技がジャック・フロストごと爆発しても防げないことを直感した。
「くっそ、悔しいが俺の負け、お見事だよ」
「どうも」
『ドゴォン』
そうして四季はそのままハンマーで動けなくなったルシファーを叩き潰した。




