25話 VS魔族③
神宮寺が吹き飛ばした方へ歩いていくと、少し焦げた魔族がいた。
ほぼダメージなしか……。
魔族の様子を見て神宮寺は少し呆れた口調で話しかけた。
「てめぇタフすぎんだろ……クソ魔族野郎、名前を教えろ」
「……サタンだ、お前は?」
「神宮寺だ」
両者お互いに名乗り終えると、お互いへと飛びかかった。
「神宮寺ぃぃ!さっきのは効いたぜ!エンドスキル発動、破撃!」
「神炎柔火」
『ドゴォン』
サタンは神宮寺へ自身のオーラを拳に集め放つだけの技、破撃を放ち神宮寺はそれを柔らかい炎で包みダメージを軽減させた。
しかし強すぎる力のせいで病院が半壊した。
神宮寺の頭に若織の事が過ったが、若織の病室までは距離があり巻き込まれてはいない。
ただ、他の人が犠牲になってしまった。
「た、助けてくれぇ」
「誰かきてくれ、足が瓦礫にっ」
「おい、誰か、誰か来てくれ嫁の意識がないんだ、誰か」
「来い不死鳥」
病院の惨状を見て神宮寺は SSSレアダンジョンアイテム、不死鳥を召喚した。
『ブワッ』
「なんだそりゃ」
神宮寺の召喚した不死鳥にサタンは驚き、固まった。
SSSレアダンジョンアイテム不死鳥、大きさは全長130センチほどの大きな赤い鳥であり、魔族すらも見惚れてしまうほどに美しい。
ちなみに神宮寺は少し前に不死鳥を雛菊に見せたところ、よこせと言われ喧嘩をしている。
「倫也、どうした私を呼び出すなんて」
「急に悪りぃなフェニクス、でもこれをどうにかできんのはあんただけだ、だから頼む」
「……凄い怪我人の数だな、わかった何とかしよう、だがあいつはどうする?」
そう言って不死鳥はサタンを見つめた。
「いやあいつは俺がやる、あんたはここの……病院の人を頼むよ」
「わかった、倫也、気をつけろあいつはおそらく、魔族で一番強い」
「わかってる……おい、クソ野郎これでも喰らえ、神炎業火!!」
「なっ」
『ドゴォン』
神宮寺は動きの止まっているサタンの不意をつき大技で吹き飛ばした。
神炎業火、辺り一体吹き飛ばす大技である。
この範囲の技だと周りを巻き込んでしまうが、後のことは不死鳥に任せ、サタンをここから遠ざけるためこの技を使った。
「じゃあなフェニクス、あとで会おう」
「ああ倫也、あとで会おう」
新宿中央公園、神宮寺は意図的にそこへサタンを飛ばしていた。
『ドカッ』
「なんだあいつ」
「今、空から落ちて来なかったか」
落ちてきたサタンを見て、公園にいた人達がどよめき始めた。
「ふぅ……やるなぁ、あいつ」
サタンは自身がこんなにも飛ばされる事に驚いていた。
圧倒的な防御力を持ち、出力の高いスキルも使えるサタンにとって、戦いとは常に拮抗した勝負ではなく、ただ一方的な蹂躙である。
だが、今回の相手は自分をこれだけ吹き飛ばすほどに強い。
そんな相手に会うのは初めてだった。
「来たか」
ほどなくして後を追ってきた神宮寺が空から降りてきた。
「遅かったな神宮寺さぁ始めよう」
「すまねぇ、やるにはやるがこの公園にいる人達を先に逃してもいいか?」
「構わん」
「ありがとよ……公園にいるみんな!逃げてくれ、頼む!!」
神宮寺はそう言って頭を下げた。
そんな神宮寺の様子と隣にいる魔族を見て公園にいる人々は事態の深刻さに気づき、皆足早に逃げ始めた。
「な、なんかやばいぞ」
「あれ神宮寺だよね、攻略者の?サインとか貰おっかな」
「バカ野郎、逃げんだよ」
人々の大方の非難が完了し、両者は再び向かいあう。
「神宮寺、こっからはちょっと待ったはなしだ、どちらかが死ぬまでやろう」
「ああ、勝つのは俺だ」
「ふはは面白いな、エンドスキル発動、大獄波」
「神炎業火!!」
『ドゴォン』
2人の技により、公園に大きな衝撃と熱波が起こった。
サタンの技により、神宮寺の左半身が吹き飛んだが即座に再生が始まる。
その様子を見てサタンはにやりと笑った。
「凄い再生力だな、だが技の出力は大した事ない、このままではジリ貧になるぞ」
「うるせぇ、こっからだ」
『ブワッ』
神宮寺は再生力を上げるため身体中に大炎を纏わせた。
SSSレアダンジョンアイテム不死鳥は、スキルポイントを消費しない。
消費しているのは神宮寺の気力であるため、スキルポイント切れは起きない、だが使えば使うほどが気力が減っていき最後には気絶する。
「いいぞ神宮寺上げてけ、俺も全力だ」
サタンもまた自身の全力をぶつけるのに相応しい相手を見つけ高揚している。
だが神宮寺にはわかっていた。
この相手を倒すには命をかける必要があると、普段使う神炎ではサタンへの決定打にはならない。
あれを使うしかない、神宮寺はそう覚悟を決めるのであった。
「ふぅ、神皇炎解放!」
『ズォォオ』
「な、なんだ」
先ほどまでとは比べ物にならない炎が神宮寺を包んだ。
神皇炎は神炎とは違い気力ではなく、生命力をエネルギーとしており火力も神炎よりもるかに高い。
ただ、使い過ぎれば気絶では済まない。
「さぁてクソ魔族野郎、本気で相手してやるよ」
「そのようだな、久しぶりに死を感じる」




