15話 竜人族
「いぎゃぁぁ」
神仙刀【奥義】神仙百花、神刀一閃を百発打ち込む技であり、打ち込まれた物を跡形もなく消し炭にできる。
若織さんは基本的に【奥義】は使わない、そもそも神仙刀は攻撃力が高く、使う必要がないからだ。
おそらく今回も多くのスキルポイントを消費して神刀一閃を叩き込んだとしても勝っていたと思う。
でも【奥義】を使ったのは仲間への弔いだと俺は思った。
「これがお前に殺された私の仲間の思いだ、存分に味わってから死ね」
そうしてそのまま水竜は細切れになり、跡形もなく消えた。
「す、すげぇ」
水竜が跡形もなく消えていくのを見ながら雛菊がそう言った。
久しぶりに見たがやはり凄い技だ、前回見たのは若織さんが東條さんと試合をしたときだっけか。
ちなみに東條さんは何故か防ぐ事が出来ていた……。
「ぐはっ」
水竜を倒した若織さんは吐血しまた倒れてしまった。
「まずいな、やっぱりダメージが内臓にもあるのか」
とりあえずヒールアップで応急処置ならできるが、これは応急処置で間に合うのだろうか。
「おい拓真っち、なんとかできないのか?」
「待ってくれ今考えてる」
「わ、私もヒールアップくらいならできますが」
「ありがとう國枝さん、でも無理だ、正直この傷を治せるのなんて仙道さんの持ってるアイテムか、火野さんのアイテムくらいじゃないと……」
正直、右腕の怪我だってすぐにダンジョンから出て病院に行かないといけないのに、内臓まで……とりあえず応急処置だけして、急いで地上に……。
「大丈夫か?」
「え、はい……って誰!?」
「驚かせてすまない、君達、攻略者だろ?」
気がつくと隣に上半身裸で、布のようなものを腰に巻いた男が立っていた。
しまったこの人おそらく竜人族だ、若織さんの治療のことを考え周囲への警戒を怠っていた、まずいやられる。
「攻略者だ!そ、それがなんだよ、裸野郎」
「やめろ雛菊、刺激すんな!」
「問題ない裸野郎は言われた事がある、それに私は君達攻略者の敵じゃない」
『え?』
俺と雛菊、國枝さんは一緒になって驚いた。
敵じゃないだと、どういう事だ?
このダンジョンは竜人族が邪魔をして攻略できないんじゃないのか?
「その反応だと色々誤解があるようだな、まぁそんな事はいい、今は彼女だな」
「ゴフッ、ゴフッ」
「酷いな、まるで内臓が焼けているような状態だ」
「わかるの?」
「ああ、竜人族特有の体質でな、相手の身体の状態が私には見えている、すぐに治療しよう」
「治るのか?」
「わからん、だがやってみよう、アルティメットスキル発動、魂の快方」
そうして竜人族は、若織さんの治療を始めた。
しかし、普通の状態でアルティメットスキルが使えるのか、凄いな竜人族は。
『シュウウ』
「凄いぞ拓真っち!腕の傷も治ってる!」
「柴崎さん、凄いですよこれ」
雛菊と國枝さんは竜人族の治療に興奮している。
にしても凄いな、若織さんの傷をいとも容易く治してしまうなんて。
一体どういうスキルなんだろう。
「終わったぞ、とりあえずこれで大丈夫だ」
「……ど、どうもありがとうございます」
「いやいいんだ……うっ」
「お、おいどうした?」
雛菊が心配した様子でそう言った。
なんだ治療を終えたらそのまま頭を抑えてしゃがみ込んだぞ。
どうして、ただスキルポイントを消費しただけじゃないのか?
「すまない、私たち竜人族は君達と違い、スキルを使う際に生命エネルギーを使っていてな、消耗の激しいスキルを使うとこうなるんだ」
「そうなのか」
「でも大丈夫だ、心配しなくていい」
「あ、ああ大丈夫ならいいんだが」
まさかスキルの使い方にそんな方法があるなんて。
まぁでもこれで一先ず安心できそうだ。




