13話 魔族の格②
「ごふっ」
心臓を刺された魔族は立ったまま動かくなった。
心月双剣で心臓を刺されると、半日の間は起きないとされている。
そしてもし起きれたとしても、肉体と精神の境目を斬られたダメージにより、3日は満足に体を動かす事ができない。
「よくやった長谷川」
少し離れた位置にいた雛菊は、そう言って長谷川に駆け寄った。
「ありがとうございます、お嬢様のサポートのお陰です」
「そう?そう言ってくれると嬉しい」
雛菊は嬉しそうに笑った。
魔族には位がある。
庶民の魔族、そして貴族の魔族。
貴族以上の魔族には特有の力がある、それは形態変化。
この世に貴族の魔族は7体存在し、雛菊達が相対している魔族もまた貴族である。
「……ふざけるな」
「長谷川何か言ったか?」
「いえ何も言っていませんけど?」
『ピシッ』
まるでタマゴの殻にヒビが入るように、突如として魔族の身体にヒビが入った。
「なんだ、スキル発動、身体強化レベル1」
「お、お嬢様!?」
「まずい感じがする、逃げるぞ」
雛菊はスキルで身体を強化して、瞬時に長谷川を抱え距離をとった。
実践経験の多い雛菊の予感はあたっており、魔族の体が割れ中から大きな羽が出てきた。
「我が名はレヴィアタン、その真なる姿を今みせよう」
「な、なんだよこれー!」
「お、お嬢様ぁ」
「長谷川!しっかり掴まってろよ」
そうして雛菊はさらに逃げる速度を上げた。
スキル、身体強化。
レベル1~3まであり、レベル1は1500、レベル2は5000、レベル3は15000以上と段階的に消費ポイントは増えるが、それに見合った効果量になっており、レベル1でも通常時の10倍近い運動能力を手に入れる事ができ、レベル3までいくと魔族と素手で渡り合えるほどになる。
そのため今雛菊は長谷川を抱えながら、短距離のオリンピック選手よりも早い速度で走る事が可能になっていた。
「なぜ逃げるのです?ここからが本番でしょう」
「いやいいです!やりませーん」
全長がゆうに10メートルを超えているそれの問いかけに雛菊は敗北宣言、23歳ながら20ほどのダンジョンに行っている雛菊碧はその直感からこいつとは戦ってはダメだということがわかっていた。
そうレヴィアタンは巨大な水竜である。
「お嬢様、お嬢様と同じ水系のモンスターですよ、得意ですよね?」
「いや私、モンスターじゃねぇし、てかデカさ見ろよ手に負えるようなあいてじゃねぇよ」
「まったく逃げの一手だけとは……まぁ射程圏内ですけど、固有スキル発動、水発弾」
逃げる雛菊へレヴィアタンは高密度の水弾を放った。
あれはまずい、雛菊は逃げるのを諦めレヴィアタンに向き直り、防御系スキルを発動させた。
「水障壁」
『バシュッ』
「あ、あぶねぇ」
水霊の杖は、本来攻撃向きのアイテムではない。
その最も大きな強みは防御力とサポート性能の高さにある。
「ほほう、私の水発弾を止めるとはなかなか良いスキルですね」
「それはどうも」
対魔族戦、第二ラウンドの開幕である。




