109話 札幌防衛戦
ーー札幌白石区
「俺が前線に立つので、みなさんはポイントごとに別れて、拠点防御をお願いします」
「了解です、東條さんはどうされるのですか?」
「俺は民家とか周囲の建物を飛び回って、相手を撹乱します」
「わかりました、お気をつけて下さい」
「ありがとうございます、鈴木大隊長も気をつけて」
司はそう言うと、近くのビルの屋上へ飛び上がって行った。
「いやぁ、凄いっすね攻略者ってのは、ねぇ大隊長」
「ああ、同じ人間とは思えんよ、まぁ相手が魔族とかいう化け物だからな、こちら側にもそういった戦力は必要だろう」
そう言って鈴木大隊長は、飛び去っていく司を数秒間眺めていた。
鈴木忠国は北海道のとある師団所属の2等陸佐である。
彼は30代の頃、攻略者への転職を本気で考えていた事があるほど、ダンジョンへ強い憧れを持っていた。
しかし、家族や部下のため自衛隊に残り今に至る、そんな彼から見た司の背中はとても誇らしく見えている。
だがーー
「よし!お前ら、各自配置につけ!札幌を守るぞ」
『おお!!』
彼の部下からしたら、鈴木忠国の背中も充分誇らしく見えていた。
ーー札幌市中央区
『緊急避難警報、みなさんこれは訓練ではありません、お近くの警察官の指示に従い避難場所へお願い致します』
今から5時間前、突如として札幌市からほど近い江別市に謎のダンジョンが出現、それから1時間後、ダンジョン内から数百の魔族が進軍を開始。
この事を事前に予期していた祭は、コネで手配していた自衛隊400を札幌へと派遣し、ランキング13位東條司もそれに合流する。
そうして現在、札幌市内全域に避難警報が発令され、市民は避難場所への退避が命じられていた。
「ママぁ、怖いよぉ」
「大丈夫、大丈夫だからね」
心配そうな我が子を連れてその母親はゆっくりと避難場所へ向かっていた。
魔族の一団が白石区に迫る中、中央区内の避難はまだ完了していない。
その理由として政府が祭の進言をあまり信用しておらず、対応が後手に回ったためである。
「大丈夫ですか?私が一緒に行きますからね」
「ど、どうもありがとう」
攻略者ランキング15位、御影小夏はそう言って親子を安全なところへと誘導する。
御影小夏もまた、ここ札幌への援軍として昨日着いたばかりであるが、緊急事態につき、祭達の到着を待たず、中央区の防衛にあたっていた。
「ねぇ、あのあなた攻略者よね?」
「はい」
「襲ってきているのはダンジョンから来た魔族って言ってたけど、そんなのに勝てるものなの?」
母親は、怯えた目で御影にそう訊ねる。
「大丈夫ですよ、こっち側の化け物連中が今、前線で戦ってますから」
「そう、なら安心だけど」
御影はそう言って母親を安心させた。
そして御影は空を見つめ、前線で戦う東條司の事を考える。
「……司、がんばってね」
ーー白石区にて
「エンドスキル発動、プロミネンス!!」
『ズドォン』
「行け兵士達よ、家を壊し更地にしろ!」
魔族の先発隊50体を率いるルシファーの小隊が白石駅へ攻撃を仕掛ける。
そしてルシファーは駅を吹き飛ばすと、率いる兵士達に民家を襲うよう指示をした。
「ひゃっはー!」
「ルシファー様、逃げ遅れた人間はどうします?」
「殺せ、あとで首を集めて見せし目にする」
「わかりやした!」
放たれた下級魔族達はそうして民家へのある地区へと侵入を開始する。
「固有スキル発動、聖炎!!」
『ブワッ』
「ぎゃあああ」
「あちぃぃよぉぉ」
居住区侵入した魔族へ司が聖炎をぶつけ、焼き払った。
「おお、これはこれはまた邪魔しに来たのか、クソ攻略者!」
「ああ邪魔しにきたよ、ルシファーだっけか?会うのは3度目だな」
司は眼前に迫る魔族の小隊長ルシファーに視線を向けそう話す。
「そうだな、全くここ数日我らへの攻撃を加えてはすぐ逃げるを繰り返しやがって、お陰で魔王様はお怒りだよ司、その首差し出さねば我らが殺されてしまう」
「はは、そいつは朗報だ、なら俺がお前の首を魔王に渡してやるよ」
「ぬかせ!エンドスキル発動、プロミネンス!」
「固有スキル発動、大聖炎!」
『ズドォン』
ルシファーの爆発に対し、司は大聖炎を放ち大きな爆発となった。




