108話 援軍
「しゃっああ!着いたぜ北海道!」
「あー、尻痛え、飛行機乗ると毎回尻痛くなるわ〜」
午前8時半、東京から北海道まで約2時間かけて、蘭方御厨と雛菊碧は、東條司の援軍としてやって来ていた。
「雛先輩!なんか祭さんが遅れてくるっぽいっすけど、どうします俺らだけでも先行きますか?」
「いやぁ、流石に祭さん待ちっしょ、とりま時間潰しに観光行くっしょ!」
「そうっすね待ち安定っすね、観光行きましょう!」
「……どうしましょう」
2人のそんな不安しかないやり取りを見て、長谷川は不安を吐露した。
蘭方と雛菊というお馬鹿ツートップの今回の保護者枠は長谷川さん1人である。
これはおそらく、上位魔族を1人で相手をするのと同等なほどに体力を使うだろう。
「さすがは蘭方っち、ノリがいいねー!」
「うっす!」
「ちょっと待って下さい2人とも、私達は司くんを助けに来ているんですよ、こんなところで呑気に観光なんて……」
「大丈夫だよ長谷川、司っちはそんなに柔じゃないって」
雛菊は焦る長谷川にそう宥める。
「そ、そうですか……」
雛菊の付き人兼執事の長谷川は、流されやすい性格である。
「よし、それじゃあレッツ観光!」
「おぉ!!」
ーー6時間後
「お前ら……なんだよその格好」
「いやこれは、雛先輩が」
「お、おい御厨っち、あーしを売るのか!」
6時間遅れで着いた祭が目にしたのは、北国Tシャツをきた蘭方に、お土産袋を両手に持つ雛菊と長谷川だった。
「すみません祭さん、私ではこの2人を止められず」
「まぁ俺も遅刻してるからあんまし怒れんよ」
「祭さんはどうして遅れたんすか?」
不意に蘭方がそう訊ねた。
「ああ、作戦とか色々考えてて気がついたら日が昇っていてな」
「へぇなんかカッコいいすね」
「だろ?」
「いやいや、どうせ酔い潰れて寝てたんしょ」
「……」
蘭方を上手く丸め込めそうだったところへ、雛菊のクリティカルヒットが炸裂する。
「と、とりあえず行きましょう、司さんも恐らくお待ちでしょうし」
長谷川がすかさずフォローへ入る。
「そうだなとりあえず司がいる札幌へ向かうとしよう、それとな雛菊よ俺は酒なんぞ飲んでないからな」
「いやいやそれめっちゃ無理あるから、だって祭さんめっちゃ酒臭いし」
そう言われて祭は、咄嗟に長谷川の方を見ると、長谷川は視線を逸らした。
「……よ、よし行こうか」
「うっす!」
動揺しまくりの祭のその言葉に蘭方だけが反応した。
『バサバサ』
その時、4人の上から一羽の鳥が降りてきた。
「なんすかあれ?」
「おおきたか、あれは関の幻影鳥だ、司からの手紙を持ってきたのだろう」
祭の言葉通り、幻影鳥は手紙を咥えていた。
『パシッ』
祭は幻影鳥から手紙受け取ると、中身を開いた。
「……こりゃあまずいな、蘭方!お前だけでも先に行け!」
「え?」
「どうやら、俺たちがちんたらしている間に始まっちまったみたいだ」
「何がっすか?」
「戦争だよ、司からの連絡で今、札幌に魔族200体が向かってきているらしい」
『え?』
「一応こっちも、自衛隊を事前に手配はしていてな、総勢400人の武装した自衛隊とそれを指揮する司で迎え撃つらしい」
それを聞いた雛菊と長谷川の表情が固まる。
「げ、激ヤバじゃん……」
しかし、蘭方だけは笑っていた。
「おもしれぇ、総力戦ってことかよ」
「そうなるな、とりあえず今すぐに俺たちはタクシー拾って札幌へ行くぞ、蘭方は飛んでいけ!その方が早いだろ」
「ういっす!」
かくして、ここ札幌にて魔族の第一次侵攻が今まさに始まろうとしていた。
迎えへ撃つは、ランキング13位東條司率いる自衛隊400。
「よしそんじゃあ、今回はダンジョンじゃなくて都市だけど、札幌防衛戦を開始するぞ」
『了解!』




