107話 神宮寺の行方
「ねぇおっさん、ここどこ?」
「あ?俺の家だよ」
「でもさここタワマンだよ、しかも六本木の」
「おう」
「貴方みたいなおっさんに住めるの?」
「失礼だな、お前」
場所は六本木にあるとあるタワマンの25階、神宮寺の自宅。
神宮寺は上位攻略者なので、年収は億を超えており、尚且つ神宮寺は独り身なのでお金は自由に使える。
そのため神宮寺は結構お金を使っており、タワマン以外にも高級車だったり、腕時計などを複数所持している。
「え、ちょっと待ってよ、ここの家具全部黒と白で統一してるの?」
「おう」
「へぇ、なんかこだわってるんだね、色々と」
そう話すと麗奈は部屋をうろうろし始めた。
城戸麗奈は名目上は元鶏鳴狗盗である、そのためおそらくだが、本部に連れて行けば普通に逮捕されてしまう。
だがこの子は槙島に洗脳され、無理矢理やらされていただけで、本心から鶏鳴狗盗として活動していたかは定かではない。
故にその答えがはっきりするまでは、神宮寺は麗奈を組合に引き渡さない事に決めている。
「まぁな、金かける事が家具とか車くらいだからな」
「ふーん、金持ちの趣味だね」
「まぁ金持ちだからな」
今後のことは、まだあまり決めていないが、神宮寺は名取が死んだ事を若織に伝えるつもりである。
過去に兄貴と慕った相手を自分の手で殺した、その事実を若織には隠したくないそう思ったのだ。
「あのさ、歯ブラシとかってちゃんとある?」
「おう、俺の使ってる歯ブラシのストックがあるぞ」
「おっさん硬め派?」
「磨いた気がしねぇからな、硬め派だ」
「私、柔らかくないと磨けない」
「……は?」
ーー5分後、タワマン近くのコンビニにて
「なんで俺が買いに行かなきゃならねぇんだよ」
流れで神宮寺は、コンビニに行き新しい歯ブラシを買いに来ていた。
「女の歯ブラシなんざ買った事ねぇからわからんぞ、とりあえず安めのやつにして、文句言われたらまた買いにこよう」
「やぁ、神宮寺くん」
歯ブラシを選んでいると背後の何者かに神宮寺は名を呼ばれた。
「誰だ?」
声質的に初めて聞く声であり、神宮寺はそう問う。
「ふふ、私の名前は海道カイナ、あなた方の元でお世話になっている蘭方御厨の母よ」
「……初めて聞く名だな、てか蘭方の母親が俺に何のようだよ?」
「あなた、麗奈を匿っているようね」
「まぁな」
"何で知っている?"と咄嗟に聞こうとしたが、神宮寺は堪えた。
感覚的に味方ではない、おそらく敵。
だが目的が神宮寺にはわからなかった。
「ありがとね、私の可愛い子犬を守ってくれて、忠告するけど狗盗はまだ終わっていないわよ」
「あ?終わりだろ、槙島も捕まったし、名取も死んだんだよ」
「残念、冬夜はわざと捕まってるし、宗太郎は生きてるわよ、それにねあの子達は私の駒にすぎないの」
「は?」
「鶏鳴狗盗ってね、8人なの、私が本当の首領よ」
「なっ、やべぇ」
「ヴァルカンよ、ここを吹き飛ばしなさい」
『ズドォン』
そうして神宮寺を巻き込んで、海道カイナはコンビニを爆破し、神宮寺はその爆風で15メートルほど吹き飛ばされた。
「ぐはっ、い、いきなり何しやがる、あの野郎」
『シュオオ』
爆発により受けた傷は即座に再生を始めた。
しかし、名取が生きているその事実が神宮寺の思考を奪う。
「……あれで、どうやって生き残ったんだよ」
槙島の件や名取の生存など、幾重の謎を残して夜は更けていく。




