9.5話 東條蘭丸
「さて今週も始まりました、毎週ダンジョン!今回のゲストはランキング1位の東條蘭丸さん、ランキング11位の仙道遥さんのお二人に来てもらってます、お二人共よろしくお願いします!」
「……」
「よろしくお願いしまーす!!」
司会の挨拶から番組が始まり、絶賛売り出し中の攻略者、仙道遥はここぞとばかりに笑顔を振り撒き挨拶をしたが、それとは別に東條はまったく笑っていなかった。
「おっと東條さん、どうしました」
「あ、大丈夫でーす、東條さん表情筋が硬すぎて笑顔作れないだけですからー!」
笑わない東條に焦る司会、すかさず仙道がフォローに入るが、絶妙に失礼なフォローとなり、東條がさらに不機嫌な顔を浮かべた。
まずいと焦った仙道は急いで笑顔を作った。
田舎から苦労して上京し、なんとかここまで来た彼女にとってこの番組での成功は確実なものでなければならなかったのだ。
「い、いえーい、カメラさんこっち向けてくださーい!私、この番組のためにメイク頑張ったんですよ」
「え、メイク?」
「はいー!だから見てください!」
何としても東條の顔を映させないため、仙道は必死だった。
だが、ダンジョン紹介番組でまさかのメイクについての話を始めた仙道にネットは荒れ、東條の表情についても失礼ではないかとの声が上がり仙道は少し炎上した。
「なにこれ、私めっちゃ燃えてるんだけど」
番組が終わり、仙道は自身が炎上していることに気がついた。
「いやお前は燃えてないぞ」
「そ、そういう意味じゃないです、てかこれ東條さんのせいですよ」
「知らん、そもそも俺はこの手の番組は嫌いなんだ」
「あー、なんてこと言ってんですかー!?」
東條蘭丸は生粋の攻略者である。
ダンジョンビジネスが大流行している現代において、攻略者は単にダンジョン攻略だけをしていれば良いとは限らない。
にもかかわらず東條は、ダンジョン攻略こそが唯一の攻略者の仕事と思っており、それ以外の仕事を邪道としていた。
「関係者の皆さーん、今のはフェイクですよー、フェイク、フェイク!」
そう言って仙道は全力笑顔で誤魔化したが、あいにく東條がそういう人間なのは周知のため、特に現場の人間に動揺はなかった。
「じゃあ終わったし俺は行く」
「行くってどこに行くんですか?」
「ダンジョンに決まってるだろ」
そうしてそのまま東條は、テレビ局から出ていき、タクシー乗り場へと向かった。
「どうもー、お客さんどちらまで?」
「青森までお願いします」
「はい?青森ってあのりんごの青森?」
「はい」
「お客さんおもしろいねー」
そうして東條は青森へと向かう。
ちなみにタクシー運転手は東條を東京駅まで送り、そこから東條は新幹線で青森へ行った。




