103.5話 雛菊碧について
「ああ、だりぃ行きたくねぇ」
「お嬢様大切なお仕事です、しっかりやりましょう」
とある火曜日、雛菊は長谷川の運転する車に乗り、CM撮影に向かっていた。
雛菊はニツ谷ラムネという飲料水のイメージキャラクターとなっており、今日の撮影はそのCMの新作である。
「あーしさ、二ツ谷ラムネよりドクペ派なんだけど」
『プシュ』
そう言って雛菊は寝起きの身体にドクターペッパーをぶち込んだ。
「あ、お嬢様、いけませんよ今日はドクペは禁止でございます」
「え、いやいやありえないっしょ」
「ありえます、二ツ谷ラムネの人に雛菊様がドクペ信者である事がバレれば、最悪契約打ち切りもあり得るのですから」
「うーん、でも水分補給ができないし……」
「水を飲んでください」
「えー、あれ飲むの嫌なんだけど、味しないし」
「水に味を求めないでください、今日だけ、今日だけですから」
長谷川の必殺、"今日だけですから"が発動した。
この技を長谷川は幾度となく使用している。
「えー、もうだるすぎぃ、せめて車の中ならいいっしょ?」
「一本だけですよ?」
「やったー!」
雛菊はCM業界でかなり人気がある。
その理由は、そもそも攻略者として人気がある事と本人のビジュアルそれと、演技力。
この3つが雛菊の強みである。
雛菊は身長167センチの細身でスラッとしており、しかもアイドル顔かつギャルという3つの強要素を兼ね備えつつ、上位攻略者。
このギャップがメディア受け抜群であり、CM以外でもバラエティ番組や深夜のアイドル番組などからも呼ばれる、結構な売れっ子でもある。
「まったく雛菊様は……そんなんだから師匠である関さんからも見捨てられるんですよ」
「え、ああ、関っちね、あの人真面目すぎんのよ、まぁ嫌いではなかったけどね」
そうして雛菊を乗せた車は撮影現場へと向かっていく。
ちなみに、この後のCM撮影では1発OKを連発し2時間で撮影を終えている。
雛菊は攻略者だけでなく、タレントとしても優秀であり、まさに現代において理想のダンジョン攻略者。
ただし、それはあくまでも直接的に関わっていない者たちの評価である事を忘れてはいけな




