101話 ダンジョンの崩壊
「狂道化師、俺はね全てを奪いたかった、ただそれだけだったんだ」
柴崎が槙島が吹き飛ばされた方へ行くと、そこには壁に寄りかかって座り込む槙島がいた。
「槙島……」
横たわる槙島からは生気がなく、ずっと下を見ていた。
「柴崎か、まさかこれで終わるとはね、意外と僕って弱かったんだね」
「そんなことはない不死鳥がいなかったらきっと俺は負けてたよ」
「そう言ってくれると嘘でも嬉しいね」
「あと槙島当千、お前には国際犯罪80件に関わっている疑いがある、簡単には死なせないよ、仙道さん頼むね」
「任せて、アルティメットスキル発動、ハイヒーリング!」
仙道は槙島の治療を開始した。
仙道の使う、回復系スキルは他の人の使うスキルとは性能が異なる。
SSSレアダンジョンアイテム、白虎の特性である治癒力の恩恵により、仙道が使う回復系スキルは出力が他の人が使うときに比べて、1.5倍ほど高い。
そのため、通常なら治す事が困難な傷も完全治癒が可能となるのだ。
『スウウ』
そうして槙島の傷はみるみる塞がっていった。
「まったく、そんなに僕を捕まえたいのかい、君達は?」
槙島は治癒をしている仙道を見てそう話した。
「まぁね、対魔族の争いで戦力が欲しくてさ、お前達の身柄を渡す事が条件で海外の攻略組合から攻略者を派遣してもらえる手筈になっているんだ」
治療している仙道に代わり柴崎がそう答える。
「なるほど、海外か……そんなもんに頼らないとダメなのかい?」
「念には念をって事だろ、正直俺も海外からの派遣に頼らずとも、魔族は倒せると思っているよ」
「まぁそうだよな、俺たち鶏鳴狗盗をここまで捕らえられたのは君達が初めてだし、そこは誇っていいと思うよ」
「……なんで上からなんだよ」
槙島の言葉に柴崎は少し苛立ちを見せるが、すぐさま冷静になり、腰につけているダンジョンポーチからSSレアダンジョンアイテム、転移の腕輪を取り出した。
「ほう、それは珍しいな転移系のアイテムか」
「ああ、わけあって人から託されてるアイテムでな、一応俺が今の適合者ではあるけどいずれは返すつもりだ」
SSレアダンジョンアイテム転移の腕輪。
これは元々ダンジョンランキング7位の國枝の物であったが、現在とある諸事情で彼女が他のダンジョンアイテムの適合者になれなくなっているため、仕方なく柴崎が適合者となっている。
「なるほどね、それで地上まで戻るんだね拓っくん!」
「ああ、それとこれもやらないとな」
さらに柴崎はポーチから、SSレアダンジョンアイテム、死王の指輪を取り出した。
SSレアダンジョン死王の指輪。
装着した者を強制的に適合者にして、その適合者の持っているスキルや、ダンジョンアイテムを一時的に使用不可にできる協力なアイテムである。
これも國枝から託されたもので、今回参加できない自分の代わりにこれを使って欲しいと言われ持ってきていた。
「その指輪、かなりヤバめですね」
「まぁな」
『キュッ』
柴崎はそうして指輪を槙島の右手人差し指に嵌め込んだ。
『シュン』
指輪を嵌めると槙島の身体から、狂道化師の気配が消えたのを柴崎にいる不死鳥は感じ取った。
『拓真よ、もうおそらく安全だ、この男と狂道化師との間にあった接続が切れたのを感じたよ』
「そうか、ならこのまま四季さんと神宮寺を待ってここから離脱しないとな」
『スドォン』
その時、柴崎達の近くで大きな爆発が起こった。
「な、なんだこれ」
「ああやっと始まりましたか」
爆発を見て槙島はそう呟く。
「おいお前、何をしたんだ?」
「いえいえ大した事ではないですよ、ただね僕が死んだり、能力が使えなくなったタイミングで爆弾が爆発するように仕込んでいたんです、まったく柴崎がそんな変な指輪を僕に嵌めるからですよ?」
槙島は薄ら笑いを浮かべ、楽しそうにそう話す。
「……ま、なんとなくだけど、お前が簡単に捕まらない気はしてたよ、でもまぁほんと、嫌なことしかやらないな」
柴崎は諦め混じりにそう言った。
槙島の爆弾と神宮寺の起こした爆発により、このダンジョンは現在、崩壊の危機を迎えている。
あと12分後、このダンジョンは完全崩壊をしてしまう。
そして、不死鳥はゆっくりと柴崎の元から消えていき神宮寺の元へ向かうのであった。




