表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました  作者: 七詩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

9

「ウィリアム様、プルメリア奥様をお連れしました」


「え?」


中で机に向かい仕事をしていたウィリアムはアルバートの言葉に驚き顔を上げる。


私はその顔と目が合いにこりと笑った。


「お待たせしました。それでどんな御用ですか?」


ウィリアムの机の前に立ち彼を見下ろす。


「あっ、ユウリの事だ。報告によると最近一緒に寝てると聞いたが?」


ウィリアムは一瞬で真顔に戻ると淡々と聞いてきた。


「その事で私からも話したいと思っていました。でもあなたは忙しそうで、だから今日声をかけてきてくれてとても嬉しい」


私は満面の笑みでウィリアムを見つめる。


ウィリアムは私に微笑みかけられ、いつもの無表情が少し崩れた。


「そ、そのユウリはこのサンフォード家を継ぐんだ。一人で寝られなくてどうする」


「あら、ユウリはまだ4歳ですよ。まだまだ親に甘えていていい歳です」


「私はその頃にはもう一人だった」


ウィリアムの言葉にやはりかと彼を悲しげに見つめる。


するとウィリアムも私の表情を見てどんどんと冷たい顔になった。


「ユウリに今日から一人で寝るように伝えろ」


話は終わりと言うようにウィリアムはまた机に向かう。


「嫌です」


「「え?」」


私が否定するとウィリアムとアルバートが同時に声をあげた。


「い、今なんと?」


「嫌だと言いました。ユウリはしばらくは私と寝ます」


私の譲れない態度にウィリアムは頭を抱えた。


「私はユウリの為に言っているのだ。あの子が将来軟弱者になったらどうする」


ウィリアムはため息をついた。


「なりません」


それどころか悪の道に走るんだから

私は心の中で答えた。


「はぁ」


ウィリアムは私の態度にどうしたらいいものかと考えている。


「あなたも一緒に寝てみましょ?」


「は?」


今度はウィリアムの顔が完全に崩れ、唖然としている。


「一緒に寝ることでどうなるか教えてあげます」


私はニッコリと笑った。


ウィリアムの答えを聞く前に私は勝手に約束を取り付ける。


「では、今日の夜私の部屋に来てくださいね」


そう言うとサッサと部屋を出ていった。


断りの返事を聞いてしまったらきっと来ないだろうが、返事を聞かなければウィリアムは来るだろう。


まあ来なくてもまた挑戦すればいいやと私は足取り軽く部屋へと戻った。


夜になり寝支度を整えるとユウリが本を抱きしめて寄ってきた。


「今日はその本を読んで欲しいの?」


「はい」


ユウリは本棚からお気に入りの絵本を持ってきた。


一緒に寝るようになってから寝る前に本を読むことが日課になっていた。


「じゃあ布団に入って、歯磨きはした?」


「うん!」


ユウリは私に可愛い白い歯を見せる。


よくできましたと頭を撫でてあげると嬉しそうにする。


ユウリが布団に入ったところで扉がノックされた。


「私だ…」


その声にユウリの顔が強ばった。


慌てて布団から下りてどうしようかとウロウロとし出す。


私はユウリを抱き上げると大丈夫と笑い扉に向かって声をかけた。


「どうぞ」


私の声にアルバートが扉を開き、ウィリアムが躊躇いながら部屋に入ってくる。


きっと彼がこの部屋に入るのは初めてなのだろう。


チラッと内装を確認していた。


「来てくれてありがとうございます。アルバートもありがとう、もう大丈夫だから今日は休んで」


そう声をかけるとアルバートは不安そうな顔でウィリアムを見つめながらもその扉を閉めた。


これで部屋には私達だけとなった。


「ちょうど寝ようとしていたの、ウィリアムもベッドに横になって」


私がそう言うと何か言いたそうにするが黙ってベッドに横になる。


「ユウリも寝ましょ」


ウィリアムの横にユウリを寝かせその隣に私も寝転がる。


大きなベッドだが体の大きなウィリアムも寝ると3人でギリギリだった。


「じゃあ今日はこの絵本ね」


「本を読むのか?」


ウィリアムが怪訝そうに聞くと、ユウリがビクッと震えた。


「そうよ、夜に本を読み聞かせるのはとってもいい事なのよ」


私は構わずに本を読み出す。


いつもならすぐ本に集中するユウリだったが、今はウィリアムが隣にいる事でずっと強ばっていて本に集中出来ないでいた。


「駄目ね、ユウリ、場所変わりましょ」


そう言うとユウリを私がいた場所に寝かせ私が真ん中に入る。


「私が本を広げるから2人は覗き込んでね」


読み始めるとユウリはようやく本に集中し始めた。途中抑揚をつけながら読んであげるとユウリの頭がコクコクと舟を漕ぎ出す。


ユウリが寝たのを確認して私は本を閉じた。


「どうして途中でやめた?」


ウィリアムも思いのほか集中していたようで途中でやめられた事に眉をひそめている。


「ユウリが寝たの、話はまた明日続きから読むわ」


「そうか」


ウィリアムは残念そうにしている。


「良かったらウィリアムも明日また一緒に寝る?」


「え?」


「こうやって親子で寝るのっていいと思わない? 暖かくて」


私はウィリアムの胸に頭をくっつけた。


年下と思って接していたが触れてみるとよく鍛えられたがっしりとした体をしている。

なんとなく男の人なんだと感じて少し緊張するが、ここは大きな子供と思って接しよう。


「知らん、私は親と寝た記憶などない」


ウィリアムの言葉に、やはりこの人寂しかったんじゃないかと胸が締め付けられる。


「私があなたの子供の頃に出会えてれば良かった」


「それはどういう…」


ウィリアムが鼻で笑いながら私を見るが途中で言葉を止めた。


私の真剣な思いに嘘を言ってないとわかったのだろう。


「ここには私達しかいない、ウィリアム今日まで頑張ったね。偉い」


私は固まるウィリアムの頭をユウリのように撫でた。


ユウリより少し硬いが似た触り心地をしている。


「な、何を」


嫌がる振りをするがその手を振り払おうとはしない。


「さぁ目を閉じて、今日は寝るまで甘やかしてあげる」


私はウィリアムの瞳を閉じさせると、ゆっくりと頭を撫で続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ