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2度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました  作者: 七詩


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8/9

8

「ユウリ、どれが食べたい?」


「え、あ、あの...」


ユウリは私の膝の上で身動き取れずにいた。


自分で座れると言うのをどうにか誤魔化して私の膝に乗せたのだ。


今度は「あーん」をしてあげたくて何が食べたいのか聞くがユウリは戸惑って答えない。


「これ?それともこっち?」


美味しそうな料理を指さすがユウリはパニックになっているのか目が泳いでいる。


何か言わなきゃと焦れば焦るほど答えられないのか眉間にシワがよる。


「ご、ごめんなさい。ぼく、ぼく...」


答えられないことを不甲斐なく思っているのかどんどん顔が下を向いてしまう。


「ユウリ、いいのよ。ゆっくり決めていいの。もしわかんないならお母さんの好きなこれを食べてみない?」


私はユウリが好きそうなものを一口に切ってフォークにさした。


「おかーさま、おこんない?」


「怒らないわよ」


クスクス笑うとユウリの体から少しだけ力が抜けるのがわかった。


「はい、あーん」


「あ、あーん」


私が口を開けるとユウリが真似するように口を開けた。私はそのすきに口に料理を入れる。


ユウリの小さい口がもぐもぐと可愛らしく動く。


「美味しい?」


「う、ん」


ユウリは口を抑えながらうなずいた。


「ふふ、じゃあお母さんも!」


ユウリと同じものを口に入れる。


「んー!美味しい、ユウリと食べてるからいつもより美味しい!」


もうひとつどうぞとユウリに差し出すと今度は自分から食べてくれた。


「おいしい」


ユウリは恥ずかしそうに頬を赤らめながら美味しいと頷く。


「うー!可愛い!」


我慢できずにユウリを抱きしめる。


「わ!」


ユウリはびっくりして大きな声を出してしまった。


「ご、ごめんなさい」


ユウリは慌てて謝り私の顔色を窺っている。


きっといつもこうしてなにかするとプルメリアは不機嫌な顔をしていたのだろう。


「いいのよ、お母さんこそごめんね。食べてるのにユウリをびっくりさせちゃった」


わざとらしくシュンと謝る。


「だ、だいじょぶ。ユウリへいき(平気)」


ユウリが慌てて許してくれるので大げさに喜んでみせた。


「ありがとう!ユウリは優しいね」


いい子だと可愛い頭を撫でた。


ユウリはびっくりしながらも嬉しそうに目を細め

涙を浮かべていた。


その後は一緒にお風呂に入って体を洗ってあげて、着替えさせると一緒のベッドに横になる。


奥様がやるべき仕事では無いと止められたが今日だけでもとお願いして何とかさせてもらった。


もちろん今日だけのつもりはなくまた隙を見てやるつもりだった。


「ぼく、いっしょにねていいの?」


ユウリは落ち着かなさそうにベッドでモゾモゾしている。


「もちろんよ、ユウリが嫌になるまで一緒に寝ましょ。ほらもっとこっちに来て」


ユウリを自分の方に引き寄せて布団をかけてやる。


優里亜が小さい時にもこうやって寝てたな。


私は懐かしくてユウリを見ながら微笑んだ。


「おかーさまあったかい」


ユウリは私の胸に頭をくっつけると目を閉じた。


その瞬間、ユウリが優里亜に見えた。


「え?」


目をこすって改めて見るとユウリだった。黒髪がそう見えたのかもしれない。


私はユウリをもう一度自分に引き寄せた。




その日から私とユウリの関係はグッと良くなった。


ユウリはまだまだ甘え方が下手だがそこは育児二度目の余裕でカバーする。


決して慌てず、ゆっくりとユウリとの関係を修復していくのだ。




ユウリがお昼寝の時間に珍しくアルバートがやってきた。


「奥様、ウィリアム様がお呼びです」


私はとうとう来たかとアルバートを見るとにっこりと笑って頷いた。


「はい、何処へでも行きますよー」


そう言って立ち上がるとアルバートは唖然とする。


「どうしたの?行かないの?」


「い、いえ...こちらです」


アルバートは戸惑いながら私を先導する。


チラチラと私が着いてきているかを何度も確認している。


「アルバート、そんなに気になるなら前を歩きましょうか?」


「い、いえ!申し訳ありません。その奥様がついてきてくれるのが信じられなくて...」


思わず本音が漏れている。


「ふふ、私そんなにウィリアムに会うの嫌がってたっけ?」


「はい、ウィリアム様の名前を出せば眉をひそめ...いや!そんな事は!」


アルバートは口を滑らせたと慌てる。


「ふふ、いいのよ。きっとウィリアムも嫌な気持ちになったでしょうね」


そう考えると彼も可哀想な人だ。


「その、ウィリアム様にも直すべき事はあったのかと...私が言うことではありませんが」


必死に私をフォローしようとする気持ちは伝わってきた。


「うん、ありがとう。でもこれからは私に任せてね」


私は苦労したであろう、アルバートの肩を労うように叩いた。

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