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「行こうか」
ウィリアムはユウリと手を繋ぎ反対の腕を差し出してくる。
私はウィリアムの腕に手を乗せると店を出た。
支払いはいつの間にかアルバートがすませてくれていたようで店主はホクホクの顔で外まで見送ってくれる。
「ウ、ウィリアム様この後私が街を案内いたしますわ」
エルムはめげずにウィリアムに話しかける。
すると私達に向けていた笑顔がエムルを見て不機嫌になる。
「すまないがここからは《《家族だけ》》で過ごしたいから遠慮してくれ」
「も、申し訳……ありません」
エルムもさすがにここまであからさまに拒否されてすごすごと帰っていった。
三人になり馬車に乗り込む前に、ウィリアムを見ると不機嫌な顔はなくなり満足そうに私の胸元を見ている。
「あの、これありがとうございます」
私はお礼をちゃんとしていなかったと頭を下げる。
「いや、他にも欲しいものがあれば言ってくれ」
「いえ、十分です。次はユウリの好きなものを見ましょう」
「そうだな」
ウィリアムは御者に声をかけ、来る時に見た店へと馬車を走らせた。
近くで馬車を降り店に入ると中は子供が好きそうなもので溢れていた。
「す、すごい!」
ユウリはキョロキョロと店内を見回している。
「あっこれ」
目の前にガラスでできたイルカの置物がある。
「綺麗ね」
私も横からそれを覗きこんだ。反対側からウィリアムがそれを見る。
「みて、大きなイルカと白い少し小さなイルカに可愛い子どものイルカ!」
イルカが子供を真ん中に仲良く並んでいるように見えた。
「ぼくたちみたい」
ユウリがボソッと呟く。
「ユウリこれがいいのか?」
ウィリアムが優しく問いかける。
「う、うん」
ユウリがモジモジしながら頷くとウィリアムの方を見上げた。
「これがおとーさまでこれがおかーさま、それでこれがおにいちゃんでこれがいもうと!」
そう言うともう1つ小さな白いイルカを指さした。
「妹?」
「うん!」
ユウリは妹の意味がわかっていないのかもしれないウィリアムの顔を期待した顔で見つめている。
「ああ、それを買おうか」
ウィリアムもあまり気にしていないのか、ユウリがイルカの親子と思っているのだろうと私達は判断した。
他にもいくつかユウリが気になった物を買い、他の店も周り屋敷で待つ皆の為のお土産も買った、たくさん歩き少し疲れたので食事をして私達は帰路に就いた。
帰りの馬車ではユウリは疲れたようで私の膝の上に頭を乗せて寝ている。
可愛い寝顔を見ながら髪を撫でてやると気持ちよさそうに笑みを浮かべ楽しい夢でも見ているようだった。
「その、今日は楽しかったか?」
するとウィリアムが不安そうな顔で聞いてくる。
「ええ、ユウリもとっても楽しそうにしていました。ありがとうございます」
私が笑顔で頷くとウィリアムの表情はまだスッキリしていない。
「き、君は?」
窺うような顔で私の顔色を見ている。
「私?」
まさか私も楽しかったのか気にしているとは思わなかった。
エルムと並んでいる時はあまり楽しくなかったが相手にしていない態度やその後は……
「とても楽しかったです。また行きたいくらい」
そう答えるとようやくホッとした顔をして隣に移動してきた。
「ユウリを抱こうか?」
ずり落ちそうなユウリを心配したようだ。
「大丈夫です。軽いですから私が抱いています」
そういうとユウリを抱き上げ両手でしっかりと抱きしめた。
ユウリは私の胸に頭をくっつけてスヤスヤと寝ている。
するとウィリアムは私の隣にピッタリとくっついて座った。
「あなた?」
びっくりして横を見ると楽しそうに笑っている。
「しっかり抱いていないとユウリが起きてしまうよ」
そう言われハッとして手に力を込めた。
すると今度は手で私の髪をすくい上げて触っている。
その愛おしげに触る感じになんかむず疼くなるが、ユウリがいるので動くこともできない。
髪を触っていた手はそのままゆっくりと頬に触れた。
頬にかかっていた髪を退かしてくれたようだ。されるがままになっているとそのままゆっくりと首筋を指で撫でられる。
「んっ」
思わず声が漏れてしまった。
ウィリアムは先程買ったネックレスと肌とをなぞるように触っている。
「本当に良く似合う」
「あ、ありがとうございます」
「特に君が私の色を身につけてくれることがこんなにも嬉しいとは思わなかった」
その後も私が顔を赤くするのをウィリアムは楽しそうに見つめ続けていた。




