第4話 親子になった日
今回4話書きました
ノイルさんに素晴らしい景色を見せてもらってから数日後。
俺は今日もいつも通り、店の手伝いをしていた。
しばらくして「よし、あがっていいぞ」と言われ、店を出る。
今日はノイルさんに貰っているお金で街を見て回っていた。
というのも、俺がここに来てちょうど一年。
日頃の感謝を形にしたくて、何かプレゼントを買おうと思ったのだが……
正直、ノイルさんの好きなものなんて全く分からず、悩んでいた。
そのとき、後ろから声をかけられた。
「お!坊主、元気か?」
振り返ると、そこにいたのはザルスさんだった。ノイルさんの親友で、よく店に来る人だ。
事情を話すと、ザルスさんは笑って言った。
「あいつはな、カウンターによく花を飾ってるだろ? 綺麗だからってな。花でも贈ってみたらどうだ?」
その言葉に背中を押され、俺は花屋へ向かった。
店内には色とりどりの花が並び、どれも綺麗で目移りしてしまう。
店員さんに「日頃の感謝を伝えられる花を探していて」と伝えると、
白くて細長い花を持ってきてくれた。
「これはユキヤナギ。花言葉は“親孝行”。親に贈る花だよ」
その瞬間、迷いは消えた。
「それください!」
花を抱えて、俺は全力で家に戻った。
店はいつも通り賑やかで、奥の席にはノイルさんが座っていた。
花を差し出しながら、俺は言った。
「俺が拾われてから、ちょうど一年です。感謝の気持ちを伝えたくて……。
花言葉は親孝行。俺にとって、あなたはたった一人の親です。だから、受け取ってください」
ノイルさんは目に涙を浮かべて、笑った。
「ありがとうな。今までもらった中で、一番嬉しいよ」
俺は自然と口にしていた。
「そう言ってくれてよかったよ……お父さん」
一瞬、店内が静まり返る。
「今なんて言った?」と聞き返され、同じ言葉をもう一度告げると――
ノイルさんは立ち上がり、大声で叫んだ。
「聞いたかお前ら! こいつ、俺のこと父さんって言ったぞ!
今日は俺の奢りだ! 好きなだけ食え!!」
店内は一気に笑いと歓声に包まれた。
――この日が、俺とノイルさんが本当の親子になった日だった。
次回も楽しみに




