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永劫の勇者  作者: 竹羽あづま
第4部オルフェウスの挽歌
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第78話:嗤い話

 一連を話し終えたアダムは連絡事項を言い終えた後かの様に、涼しい顔をしていた。話している最中に感じた小さな葛藤すらも、まるで幻覚だったかの様に。

 どう言葉をかけて良いか戸惑うミアと、黙って胸に手を当てるリンド。そんな中で、葵が1番に口を開いた。


「聞きたい事があるんです。言い方的に、失礼な質問になるかもしれないんですが」

「構わん、言ってみるといい」

「では……アダムさんはその経験を経て、そして現状があった上で、人々の地球への帰還に力を貸して下さるんですよね」

「ああ。成る程、確かにそれだけを考えれば私にそうするメリットはないな」

「あ、葵さん!この方は以前から戦って下さってる方なのにそれは──」

「もちろん疑ってるとかじゃないんだ、ただ聞きたいんだ。帰る事が、その……報酬にならない人の意見も」


 聞くタイミングとしては不謹慎かつ空気が読めない発言なのは葵も分かっていた。報酬という言い方も正直したくはなかった。だが、命を賭ける理由を、命を賭けてくれている理由を、葵は知りたかった。

 葵の立場はまさしく帰還が報酬にならない身だ。そして、アダムもまたそうだろう。回復の見込みがあるならば、彼はそれも含めて話す人間だが、そうしなかったのはそういう事だ。それでも、自分の意思で歩いて、普通に喋って、普通に飲食も出来る状態のこの世界での自分を、捨てる選択が出来る理由は何なのか。


 そうした覚悟はどこから来るのか。同じ時代で育った者同士として、ただ聞きたかった。葵は、仲間達に戦えと言わないといけない立場になっているのだから。

 魔王という銘を持つ敵。エリオス・レーベンホルムと、出会ったのだから尚更だろう。


「──私がこの夢に落ちた時、何かと目が合った。何かが私を笑っていた。何かが囁いた。“望む事は恥じる事ではない”“悔いる事もない、望めば全てを取り戻せる”と。子守唄の様に柔らかい声で、そして永い眠りに誘う様な声で。まだ思考が正常ではなかった私はその夢に縋るよりも先に、その存在への恐怖が幸いな事に勝り、ひたすら拒絶した、逃げた、叫んだ。そして、この世界で目覚めた」


 その甘言に縋り、自身の罪と現状に耐えきれずに溺れていたら、使徒の側に立っていたのかもしれない。彼はそう付け足す。

 邪神の基準こそ分からないが、アレは全ての者にそうした祝福(のろい)を与えるわけではない。その基準はただの気分かもしれなければ、或いは相応の贄を差し出したものだからなのか、理由はどうあれアダムにはその可能性が与えられていたらしい。現に、ミアはそんな経験がなかった様だった。


「そして、この世界で生きて、久々に考えて、考えた末に分かった事は多い。つまるところ、私が今話した事は言葉にしてしまえば、小さな話だという事。この場では私しか知らない友人という、代名詞でしか語れない彼等。彼女達。私達の身に降り掛かった、災いの権化、奴等の存在と出来る事の規模と比べれば、人が数人死ぬぐらいはほんの砂粒の様な話だろう。私の場合は被害がそれだけで済んでる例、もっと多くを簡単に死と狂気に陥れる事が出来る者達を相手に、幸いだったとすら言えるかもしれない」


 突如として、これまでの背負った死を、客観的に、しかし冷たい形で貶める様な言い回しをするアダムに3人は驚くが、当然言葉は続く。


「しかし、私にとってそれで済ませられる物ではない。簡単な事だ、タキザワアオイ。私の大切な友人や知り合いを殺した不条理が形を成して目の前にいるのならば、最低限殴りでもしなければ死ぬに死ねん」


 アダムは自分に関わった者達の死の責任は自身にあると考え続けている、そう考えてしまう事で彼は自身で追い詰めてしまっていた。

 だが、同時に死に追いやった事象に対しての怒りも根底で燻っていたのだ。地球にその精神と魂を置いていた頃のアダムにはそれを出力するだけの余力も、物理的な力も、最早存在していなかった。しかし、この世界ではその激情の残り火を燃やす事が可能となった。それもあくまで邪神によって与えられた仮初めの物であったとしても、それは彼にとって良い機会だったのだ。


「私は奴等と敵対する理由があるから戦う、ただそれだけだ。散々逃げてきたし、嘆きもしたのだから」


 結論としては単純明快かつ、納得しやすかった。復讐というよりも、彼の状況を思えば後始末に似た物だろう。生きて帰れるのならば、それもまた良し、生きて帰れなくとも自分の人生を壊してきた存在に一泡吹かせられるのならば、それで良し。それが残された彼の悲願であり、残された彼の贖罪なのだろう。


「不思議ね。そういう立場なら、使徒の立場やこの夢の中の方が、余程幸福に近付けるでしょうに。麻薬みたいな物とはいえね」

「……奇跡に縋り、大いなるものに対して願う事そのものを私は誤りだとは言わない。そうした物を信じる事が出来ない生き方をしていくにはこの世には理不尽が多い。しかし、私は奴等に奪われたものを忘れない、その時の感情も忘れない。だから、奴等に与えられる奇跡など、私からすれば砂の城に等しく、縋るに値しない。マッチポンプになど付き合ってられん」


 魔王が、使徒が、邪神の手先となったことそのものに対して非難をするつもりはアダムにはなかった。自分もまた、目の前で友人が溶かされ取り込まれた時、友人を刺してしまった時に、今回と同じ様に全てを取り戻せると囁かれて拒めた自信はない。そうした選択の可能性そのものを全否定出来るほどの強さはない。

 ただし、その結果の非道を肯定する意味ではなかった。それを仕方ないとするならば、自分の周囲で起きる死だけを例外としてはならないし、そうした理屈を抜きにしても純粋に人間としてそれは許されてはならないだろう。


「私のこれは、そうした経験から来る持論だ。タキザワアオイ、お前はどうだ。そうした同じ誘惑があったとして、失ったものを取り戻せると言われたとして、お前は何故それを跳ね除ける?」

「……」

「先代とお前を完全に同一の者として見るわけではないが、酷似した所がある様なのでな。不満も不安も、抱いている顔をしている。勇者としての皮が剥がれれば、人と目を合わせる事すらも不安な人間の顔がな」


 この場では、そんな彼の様子を知っている人間しかいないだけに、その言葉に対して葵は焦りを覚える事はなかった。アダムに対しても、先代を知っていると聞いた時点から驚く事もない。

 葵は視線をほんの一瞬だけ遮る様に瞬きをした後、口を開く。


「アダムさんや、皆みたいな大変な経験を俺はした事がないですから、同じ様に語る事は恐れ多いのですが……」

「私自身が聞いているんだ。怒鳴ったり気分を害する様な事はないから、落ち着いて話しなさい」

「は、はい!では……自分にも、死んで欲しくなかった人が2人、いるんです」


 自分の事について語ろうとする度、余分な事を言わない様に心の内で自制しようとしてしまう。今回の事だって、繊細な話になるだけにその自制心が強くなる。

 だが、これだけ語ってもらっておいて、その自制心は逆に失礼に当たるからと、深呼吸してから続きを語り始める。


「1人目は、小学校で同級生だった女性。宮井優奈、重い病気で一度も学校に来れなかった子なんですけど、俺が足の骨折で入院してた時期に、歳が近いからって沢山話をしました。重い病気とかよく分からなかった俺は、なんて事ない話から、学校の話やら、結構好きに話していましたけど、すごく嬉しそうに、楽しそうに聞いて、それで一緒に学校に行こうって約束もした子で……それで、彼女は──」


 彼女は、それを数度繰り返した事から、葵にとって尋常ならざる思いが込められているのは、傍目からも分かった。


「彼女は、亡くなりました。学校で皆と同時にそれを知りました。次に会ったのは、霊柩車が学校のグラウンドを一周した時。俺は、車の中に彼女がいるって実感すら湧かないまま、それも終わってしまいました。周りの皆は、その最中も普通に雑談をしていて、笑い話をしていたり。だから、俺の反応はむしろ滑稽に見えたみたいで……関わりのない皆にとっては、ただ面倒な授業を中断してくれた行事の様なもの。会った事のない同級生、会った事のないクラスメイト、皆の反応は別に変ではなかった。俺だってこれまで触れた、テレビの先の死に対して、そうして接してきたかもしれません。ですが、納得出来なかった」


 指折り、1人目について語り終える。


「そして、もう1人は祖母。俺が5年生の時にそちらも病で亡くなりました。優しくて、いつも笑っていて、こんな人になれたら良いのにって思える様な人柄でした。それでお通夜に出る為に学校を休むって先生に言った時も、ズル休みだとかなんだとか言われたっけな……あぁ、いやそんな事は、そんな事はどうでも良いんだ」


 言い聞かせる様な呟きは、本音を噛み潰す様に。そうして、指折り2人目。微かに視線を泳がせ、息を吐いた後に話の軌道を戻す。


「えっと、だから……現時点でも、結構人が死ぬって事に対して、なんか大きな出来事だなぁって感じで済むことが多いんだと思っていまして、それで人の命そのものを取り返しのつく物に出来ると言われたとしたら、多分軽くなってしまう。俺自身もまた、知らない死がいっぱいあって、知ったとしても身内の死と同等には受け取れない。俺は馬鹿なので、失う恐れを抱いて、その分他者にもあるはずのその感情を大切にする事を学ばないといけない奴です。笑われた事が許せなくても、俺が他人にそう思わせない為に、そうした可能性を選ぶわけにはいきません」

「それこそ、祖母やその少女を取り戻せると言われても?」

「はい。ましてや、それを叶えるのが数多の命と魂を貪り、弄ぶ者なのだと知れば尚更に拒絶します。大切な人達をそんな存在に触れさせたくない」


 そんな理屈とか抜きにして、ただ純粋に自分にだけ与えられる奇跡というものを信じられないというのもあるだろう。自分なんかにその選択権が与えられる理由がどこにあるのか、自身に対する嫌悪感を抜きにしても、平凡な人間たる自分に選ばれる理由は何もない。自分が勇者という立場でい続ける事に対して不満も拒絶感もないが、何故自分が選ばれたのかの疑問は絶えない。

 そんな彼にとって、自分に与えられた、自分が任意に選べる蘇生。などと、あまりにも便利がすぎるではないか、と。その疑念を抱えたままでは、失ったものは何も戻らないのだ。疑念を抱えたままだから、砂の城を壊す事にしたのだ。


「今の俺が出来るのは今を生きている人と、これからを生きる人達を1人でも多く守ることだけ……なんて、こう言うと偉そうですけれどね。過ぎた力なのは、今の俺の持ってる力もそうだと言ってしまえば、アレですし。な、なんかすみません!とっちらかってしまって……」

「いや、言わんとしてる事は分かったから問題ない」


 余計な事も含めて話すと決めて話したが、また余計な事を言ってしまったという感覚に葵は、背に微かに汗を滲ませる。答えたい事との繋がりのないことを言ってしまった気がしてしまうのだ。そこに思考が至るまでのきっかけも含めたのだが、それに含むべきではない濃度の私情が混じってしまったと彼自身はどうしても考えてしまう。

 しかし、その時アダムは彼の後悔は置いて、微かな違和感を覚えていた。彼の年齢等を考えた時に、言い方を選ばなければ(いささ)拗らせている(・・・・・・)点も確かに気になりはしたが、その理由は彼自身がその一部を説明していた以上は、その点にあえて引っかかりを覚える所ではない。だが、命が軽くなると話していた彼自身が自分に対してのみ例外を作っている点は引っかかった。


 アダムが合流する前に彼が命を落とした事は聞いていたが、彼はそれに対して怒る事も恨む事もしている様には見えなかった。なにけ、自分自身を酷い目に遭わせた事象を許せないと思うことはおかしくない。だが、そうであるからこそ、彼はそれが取り返しのつく自分でまだ良かったと考えている様に思えた。それを自分自身でそう考えるのは、健全ではないだろう。子供としては。

 先代の時と同じ感覚だった──


「あぁっ、大事なこと言い忘れていました」

「うん?」

「アダムさん、答えて下さってありがとうございました。それと、話して下さってありがとうございました。滅茶苦茶話し辛い事も多かったと思いますけど、俺、聞けて良かったと思っております!良かったは違うな、違うか……」

「そうでした!私からもありがとうございます。貴重なお時間をとらせてしまったのにこんなに大切な事をお聞かせ頂いて……」

「あ、アンタを疑う様な言い方してたの、その、悪かったわね。そんな事があった身なのに、むしろ私を信じてくれて……アオイを助けてくれた恩もあるし、その、ありがと……」

「いや、私の方こそすまなかったな、長々と付き合わせてしまった。だが、これで少しでもお前達の疑問が解消出来たのならば、それで良い……タキザワアオイ」

「はい」

「お前は自己の矛盾を問い続ける事になるだろう。戦う程に、この世界を終わらせる時が近付けば近付く程に」

「……そうだと思います。今の時点で、そうなので」

「それに気付き、それを問う事はきっと必要だ。だが、それは時に蓄積する毒ともなる。過ぎた自責の末路は私の二の舞だ。酒と同じ様に、自分に見合う量を弁えることだな。ミアも、心に留めておくと良い」


 老婆心かもしれないがな、とアダムは頭を掻く。元の世界にいた頃から、邪神達の脅威と向かい合っていた人の言葉にはまた重々しい実感が確かにこもっていた。

 葵は少しの間を置いてから深く頷く。そして、ミアもまた一瞬葵の方に視線を向けてから彼に続いて頷いた。ミアにとってもその話は突然振られた物ではなかったのだ。エリアとの戦いの件しかり、先代の事しかり、この世界に来てから出来た負い目もまた多いから。


「では、私からの話はここまでだ。2人……いや、3人とも身体を休めること、アオイは怪我人であり、ミアとリンドも彼の救出で消耗をしたのだろうからな」


 救出で消耗したのは言ってる当人もそうだった。話し終えた後に吐かれる息から微かな疲労の色が伺える。


(皆がそれだけ頑張って、すごく危ない思いをして俺を助けてくれたんだもんな……)


 その事実を理解する必要こそあれど、それを考えすぎることがアダムの指摘した懸念点にも繋がることを思い出す。皆も危険を承知で頑張った上に、葵の手で人を助けられたということも理解しなければならないのだ。

 だから、皆への申し訳なさ以上に感謝の気持ちを深く持つ事と、その分使徒との戦いにしっかりと備えること、それが今の葵のするべきことだろう。


「では、私は失礼する。いいか、休むんだぞ」

「私も失礼しますね、葵さん」


 アダムに続いて部屋を出ようとしたミアが足を止め、振り返る。


「リンドさん、葵さんを見張ってて下さいね」

「当たり前よ、さっきまでみたいにウロウロする様ならふん縛ってでも止めてやるんだから!」

「お、俺はそんな元気が有り余って寝れない子供みたいではないはず……」

「似た様なものじゃないかしら。元気は足りないけど」

「ウロウロしてらっしゃったのは事実ですし……」

「強敵を相手にする前に余裕ぶっこいてんじゃないわよ」

「否定する余地がないし与えられない……」


 降参する様に両手をあげる葵を見てミアは満足(?)した様に微笑みを浮かべる。


「では、お願いしますね♪」


 いつもより悪戯っぽい彼女の笑みは少しだけ急ぎ足で扉の向こうに消えた。リンドと2人、静寂が戻ってきて葵は自分が今緊張している事に気付き始めていた。会話をする事でその緊張が軽減されていたらしい。

 緊張はある程度残すべきだが、クライルの時を思えば使徒は異形とは比較にならない程に厄介な相手と戦う事になるのだから、武器を持つ手が震える程の緊張になってはいけない。


 葵が自分の状態を確かめる様に、気を紛らわせる様に手を開閉していた時、その手をリンドが両手で包んだのだ。


「えっ!?」

「こうしたら落ち着くんじゃないかなぁって思ったのよ。手冷たくなってるじゃない」


 彼女の手は冷たい方だが、葵の今の手よりは少なくとも暖かい。手の柔らかさや、その気遣う様子からは、彼女自身が邪神達の仲間の様なものだと定義していても、そうとは思い難かった。


「──貴方にとって、4度目の使徒との戦いになるのよね。」

「そう、だね。うん……ゼールベアを追い返して、飛鳥連理と戦って、クライルを倒して、次はギュンター」


 その内、本当に倒せたのは1人だけなわけだが、葵の魂を取り込み浄化する能力、それによって取り込んだ魂の持つ能力を行使する力、それが目覚めてから倒せたのは結果的には正解だったかもしれない。

 しかし、使徒との交戦を重ねる毎に、戦うと決まっている使徒自身のことを知る機会が増えている。そんな中で、まだ1人しか倒せていない事はむしろ不都合だったかもしれない。知らないまま戦える方が葵みたいな人間には、良かったのかもしれない。


「アオイ」

「あっ、ごめんごめん。なんかボーッとしちゃって、どうしたの?」

「私はさっきの話を聞いて、ちょっと思った事があるのよ。私は、貴方に大きな使命を託したわけだけれど、貴方ばかりリスクを負って、私が貰うばかりになるのは嫌なのよね」

「いやぁ、それは仕方ないんじゃないかな。君が傷付いたりとかする方が俺的にはキツいし……」

「んもぅ、話は最後まで聞きなさいな。貴方が苦手な事、嫌な事をいっぱいやってくれてるって事ぐらい分かってるのよ、私なりにね」

「……」

「でも貴方は頑固なところがあるから、それで泣いてもくれないし、ちょっとそういうところ可愛げが足りないから、私もどうして良いか困るわけよ」


 確かに、こっそり誕生日プレゼントを用意しようと思ってた家族が、何が欲しいのか葵は分かり辛いと悩んでいた事があった。それと近い感じだろうか、などと葵はふと考える。

 それがある意味で、遠くないと分かるのだ。


「今はまだちょっとだけ、ちょーーーーっとだけ!力が不足してる所もあるかもしれないけれど、私は貴方の女神様。だから、報酬ってやつ必要じゃない?それくらいの甲斐性もないと神を名乗ってはいけないじゃない?」

「そういうものかなぁ。俺にとっての女神様の経験は多分君が最初で最後だし」

「……んふふ」

(嬉しそうだ……)

「なら、その女神様がケチだったなんて思われるのは癪だし。この戦いの終わりにはちゃんとあげるわ」

「あげるって……何を?」


 慈悲深く彼の手を包み、温めていた彼女の紅い瞳が、煌めいていた。人間味のない色彩、少し宝石めいて──


「貴方の望むもの、なんでも」

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