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永劫の勇者  作者: 竹羽あづま
第1部勇者、汝の名は?
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第2話:そこは新世界

 黒い長髪と黒い上下のブレザー制服を着た少年が虚ろな瞳でそこに佇んでいる。例えるとすれば、オンラインゲームで離席中のプレイヤーの様だった。そこに確かに存在しているが、居ないという状態。

 だが、それが敵が周囲にいる状況で、敵に察知されないエリアなどでもなく、ど真ん中で放置されていたらどうだろう?答えは明白だ。


「聞こえてない、死に天秤が傾いたのね」


 そう、周りの敵にタコ殴りにされる。棒立ちになっている手軽な殴りやすい案山子を見過ごしてなどくれない。

 その生物達に理性や情を期待してはいけない、そこには自分達と異なる存在に対する手加減もなければ生存本能だとか種族的な特徴に対して付け込む余地などない。少年を取り囲む異形は、やけに首は長く足の短い目の窪んだ生物や、潰されたかの様に平らな頭とやけに大きな口のついた生物等、明らかに少年の知る世界の生物ではない。

 だが、彼等とてそうだ。そこに今の彼等と異なる生物がいる、ただそれだけで彼等は十分だった。


「っ!?」


 そして、このタイミングで運が良いのか悪いのか、滝沢葵に意識が宿る。だが、今自分がいる場所を認識する余裕もないままに葵は回避行動と逃亡を求められていた。


「なにっ!?うわぁ!?」


 足をもつれさせながら走り出せば、鋭利に尖った異形の触手は葵のいた位置に突き立てられている様子が見えた、一歩遅ければあれに脳天から貫かれていた事だろう。だが、無論これぐらいで危機は去らない。

 何かの体液を口から吐き出されて咄嗟に飛び越える。


「ひっ、な、なんっ……ッ!?」


 避けた物、それが土を溶かしているのが見えるではないか。

あれを避けきれていなかったら自分はどうなっていたのか、その末路が生々しく想像出来てしまい自然と手から汗が分泌される。


「危なっ!?」


 だが、次の試練として訪れるのは着地を狙う様に首を鞭のように振り回す薙ぎ払い。着地と同時に身を低くして直撃を避ける、一つ危機を超え切らない内にデタラメに襲いかかってくる。どれだけ走れば良い?どこまで行けばゴールが見える?この捕食者達は簡単に見逃しも諦めもしない、ただ闇雲に走っているだけではどうにもならない。助けの可能性があるかどうかにも頼れない、こんな化け物達がいる場所で警察がいるなんて有り得ないのだから。

 走りながら葵は隠れられる場所を探す、どこかの森の中の様だが木登りは得意でもない以上、上に逃げられない。そもそも、辺りの木を薙ぎ倒しながら走ってくる化け物相手にその逃げ道に意味はないだろう。


「い゛っづぁ!ぁ!?」


 鎌状の腕を持つ異形の一撃は葵が他の回避行動に気が取られているその隙を的確に突き、足首に触れたと感じた瞬間にはもう斬られていた。直撃を避けたとはいえ決して浅くもない、そのまま転んでしまった事に冷や汗が流れ出す。

 足を止めてはいけないと頭では分かっているのに、痛みと、動きを止めて尚更強く実感する恐怖が立ち上がる事を拒む。立ち上がればもう一度向き合わなければならなくなる。だが向き合わなければ死ぬ。


「は、はぁっぅ……っはぁ……!」


 肩越しに見る異形達は当然止まってくれない。むしろ、足首から流れる血の臭いの影響か尚更勢いは強まっていくばかり、到達に最早2分とかからない。

 この間に出来る事とは何だろうか?あるとすれば神に祈るか?それとも異形に命乞いでもするか?しかし、都合の良い時にだけその名を呼んで頼って奇跡を与えてくれる神などおらず、異形達がそれで慈悲に目覚めるわけもなく、無意味だとこの状況下でも分かっていた。足首の痛みが教えるのだ、どこにも逃げられないのだと。


──ああ、駄目だ。これは助からない


──元から俺、体育の成績が特別良かったわけじゃなかったからなぁ


──呼吸が整わない、心臓がうるさい、痛いのは嫌だな


 死という絶対的な破滅と恐怖を前に、荒くなった呼吸で渇く喉の奥、震える足、見開かれた瞳、汗、そのどれもが極限の状況に瀕した人間の反応だったが脳内だけは冷静になっていた。だが、現状を打破する為の冷静さではなく脳が諦観の領域になったに過ぎない。

 自分では対処のしようのない未経験の状況に追い込まれた人類が窮鼠と化す事が出来るかと言えば、それが可能な者もいるだろう、だが不可能な者の方が多く、それが当たり前なのだった。


「いいえ、貴方はワタシと同じ狩人。狩る側である者が獲物になるなど、とんだ茶番ではないかしら?」


 葵の耳に届いた声は異形の悍ましい声ではなく、この場では不釣り合いな程の落ち着きと優雅さ、そして何より奏でる様な透き通った声が印象的な女性の声だった。

 だが、葵からすればその言葉に戸惑いがあった、どんな根拠を元に言っているのかという思いを抱かざるを得ないだろう。現代日本のそこそこの都会で普通に過ごしてきた人間に狩りの経験などあるはずもなく、その心得どころか野兎だって見た事ない、そんな彼が狩人など名乗れようはずもない。だというのに、その声に含まれたものは希望や期待などではなく事実を口にしているだけという淡白さがあった。

 そも、葵は鞄もスマホも何一つ持ってなどいない。彼にあるのはその肉体と着用しいる星明高校の制服のみ、せめて反撃だなんだというならば武器の1つでも与えてほしい状況だが、葵に今出来るのはせめて頭を守る為に顔の前に手を突き出すぐらいしか出来なかった。

 しかし、その行動が変化のきっかけになった。葵の右手首には見慣れない物があったのぁ。手首を一周する様についた模様、茨によく似た刺々しい模様が手首についていたのだ、彼は刺青に憧れた事もなければ当然彫ったこともない、なのにいつの間にかそれは最初から彼と共にあったかの様に存在していた。


「な、なにこれ!?」

「驚く事はないわ、だってそれは貴方の物なんだから。道具は手元にあれば使おうと思えばいつでも使える。そうでしょう?」

「道具!?ただの模様じゃないか!?」

「使い方も知ってるはずよ、だってそれは貴方自身なんだから」


 変わらず、その中身は不明瞭だ。

だがこの目前の生物達が、この辺りの見覚えのない木々が、葵の知っている道理の通る場所だといつ保証してくれたのだろうか?

 否、葵のまだ知らない理屈がそこでは通っていて、葵の常識こそが異なる常識と化している。


「知ってるわけっ…!」


 故に、彼自身でその現象に名前をつけて自分の知る領域内に引き入れわなければならない、そうして自分自身が染まらなければならない。


「……いや、違う」


 助かりたければ従い、足掻くしかない。


「俺は……知ってる?」


 手が自然と何かを掴む様に動いた。その動作に呼応する様に手首の模様が光を放ち、葵の右手にはある武器の姿が結晶状に瞬く間に形取られ、破裂。

 反射する光が朝焼けの色を映す黒曜石の刃、葵の髪飾りと同じ色の赤の柄糸が巻かれた刀が結晶の中から姿を現す。


「──綺麗だ」


 思わず溢れた飾り気のない感想。

 非現実的かつ劇的な登場に相応しいその武器は、芸術品の様で、同時に高校生男児が持った事があるはずのない代物だった。だというのに、握った時に長く使い何度もこれを振ってきた様な懐かしい感覚を得る。

 錯覚だと言えば簡単で極限状態に置かれた人間の渇望だと言ってしまえば元も子もなさそうだ。

しかし、それでも説明不可能だが確かな感触と感覚が葵の現実として追いつく。


「…はぁっ!!」


 身を翻しながら両の手でしっかりと柄を握りしめ、間近まで来ていた触手の先端に向けて斬り上げる。だが、質量ある音を立てて落ちた触手というその成果に意識を向けている余裕はない。

 そのまま足に勢いをつけて四つん這いになっている異形の頭を踏んで再度溶解液を吐こうとしていた後方の異形の細い首を切り裂き、着地をする。


──何だろう、これは


 鋭い爪を防ぎ、勢いが弱まる時を狙って弾き返しながら、葵はアドレナリンが出ている脳が動揺をかき消していくのを感じていた。


──気持ちが悪いぐらい、意味が分からないくらいに身体が動く!!


 鞭のようにしなる首は飛んで避ければ良い。

 丸呑みにしようとする異形にはその牙を壁の代わりにして剣で弾いて身を逸らし、側面から切り裂けば良い。

 残る触手が拘束しようと殺到するならば射程のギリギリまで飛び退きながら確実に切り落としていけば良い。

 木は盾にもなれば、蹴れば飛び込める。

 スラスラと身体が自然と対処法を出力していく感覚に葵はかつて感じた事がない程の身体の軽さを覚える。


「──」


 異形とついに交戦を開始した葵を見下ろしながら女性は徐々に口元の笑みを本物に変えていく。

 待ち人が来たのだという確信を抱きながら、この戦いの終わりまで静観することを選んだ、この相手に敗北する様ならばそれが勘違いだった、それだけの事で済む。

 しかし、同時に勘違いではないことを期待出来る、そう思ってからの彼女の膝の上で組んでいる指はまるで祈る様だ。なにせ天秤は死の方に向いたと思った事こそが何よりもの間違いだと理解出来た、実際の天秤は彼の目覚めの方に傾いていた、彼女にとってはそれだけで何よりもの幸運だった。


「これで……最後!!」


 最後の一体、二足歩行の爬虫類めいた生物の胸部に当たる位置から飛び出てきた鋭い骨による攻撃を頬に掠めながら顎に向けて刀を突き上げ、貫く。それを引き抜いた瞬間に反撃が来ていたら危険な位置にはいたが、幸いな事にその異形はそれきり動かなくなった。

 だが、確信を持てるまでに暫くの時間を要した。自分には想像も出来ない生命力があって、起き上がってくるかもしれない。そんな普通ではない想像をしてしまうが、そもそもが普通ではない生物に襲われて普通ではない現象が自分から起きて普通ではない動きを自分が出来てしまったのだから、全てが有り得るの範疇なのかもしれないと思うのもまた無理のない事だろう。

 だが、声だけずっと聞こえていた女性が姿を現す事で確実な終わりの合図が告げられた。


「お疲れ様、地球人さん。びっくりしたでしょうに好調なスタートじゃない」


 ふわりと降りてきた葵と同じ年齢ぐらいに見える少女の姿を目に入れた瞬間、葵は思わず目を見開いた。

 腰ほどの長さのある銀の髪に赤い宝石のついた髪飾り、首からも同じ色の宝石とその飾りに鍵穴が彫られた首飾りが輝いている、そして純白のインナーミニロングドレス、金の縁のついた白のロングのグローブにショートブーツ。なにより、その中でも一際存在感を放っていたのはその赤い瞳、全てを見通す様な恐ろしさを秘めていながら目を離す事も出来ないと感じさせた。

 全てが非現実的な美しさで構成されていた。

 だから、呑気にも見惚れて言葉も反応も送れるという有様だった。

だからか


「いてっ!え、なんで!?」

「もう、隙だらけじゃない」


 でこぴんを喰らう事で思考は今の時間の速度に追いつく。額をさすりながら首を傾げる、様々な分からないという感覚を複合した表情と仕草に少女は思わず溜め息を吐く。


「隙だらけだと親切に教えてあげたのに、まだ呆けているの?」

「ちょっとまだ何も状況が飲み込めていなくてつい……」

「そうかしら?その割には──」


 視線の先には先程の異形達の亡骸。

 それを見て思わず葵はたじろいだ、この状況を作り上げた自覚はあれど生物の亡骸がこれ程に積み重なってる様子など当然初めての事。その上で自分の今この手にある物の重みを今になって実感する、アドレナリンが仕事をやめてしまったらしい。


「っ……」

「あら、脅そうとしているわけではないのよ、単に事実としてこの世界ではこうした異形は山程いるだけで。それに、幾らでもいるもの、これよりも凄いものも。ああ、でも今はそんな事を聞いてるわけではないわね」

「もし、君が俺の知りたい事を色々と知っているのならば、ここが何処なのかを知りたい…かな。日本ではないのは俺でも分かったけれど」

「そうよ、ましてや地球上ですらないわ」

「……ええっと、疑うわけではないんだけれど、太陽系云々とかそういう領域の話なのかな?」

「もっと貴方達の基準で言語化する際に分かりやすい言葉があるけれど…きっと、見た方が早いわ」


 これは名案だと言わんばかりに頷いた少女は空いてる方の手を強引に握り締めて走り出す。


「んえぇっ!?ちょ、ちょっと待っ」

「貴方に答えをあげる為だもの待ってあげない」


 この謎の模様と武器の事、そもそも何故制服のままこんな場所にいるのかという事、そして少女が葵の何を知っているのかという事、少なくともそれ等を聞いておきたかったが止まってはくれない。

 だからこそだろう、百聞は一見にしかずとは言うがここよりも広い場所を見てしまえばここが知る世界ではないと葵は明確に認識せざるを得なくなる。故にこの場所で意識を得た時点でおかしな状況にはなっていたが、今この時が最もその入り口を越える事になった瞬間だったのやもしれない。

 時計を持ったまま慌てている兎を追いかけるように。


 そうして、木々の景色が瞬く間に通り過ぎていった先、ザックリと境界を切り分けた様に温かみのある土で出来た地面は荒地になっていた。だが、葵は息を切らしながらも不思議な安堵感を覚えていた、木々にあの惨状を見下ろされていた様な感情が渦巻いていたからだろうか。


「着いたわ、地球人さん。ほらほら絶景なんだから息を切らしてる暇はないわよ」

「はぁ……っは、息を切らす時間もないほどに、切羽詰まってる……?」

「いいえ、でも疑問は少しでも早くスッキリしたくない?私はしたいと思うけれど」

「したくはあるし、息だけは整えたくもある」

「とても欲深いわねぇ」


 いまいち掴めない少女のジョークとも言い難いその言い回しに振り回され続けているが、事実として疑問に対する答えが待っている、彼女の手が離れた後は自分から向き合う瞬間が来たと言えるだろう。それに対する躊躇がないわけではない、彼はまだこれを夢だと思いたいのだから。

 むしろ、これは夢なのだと思う方が現実的だろう。生々しい感覚を伴う夢もあるのだから、いまだにこれが夢であるという認識を捨てる必要もない、こういった明晰夢であるならば後戻りも出来るというものだ、その方が良いだろう。

 だが、この場において建設的であるかは別だ。


「ご覧なさいよ」


 景色が見える様に少女が身体の向きを変えた時、乾いた地面からゆっくりと前を向き──


「──これ、は」


 足を前に進めて崖際から眺める。

 最初に目に入ったのは広がる黄昏の空。だが黄昏の空が極彩色になっては普通の色彩になってを繰り返して目をチラチラとさせる。

 その下で広がる大地は今葵達が立っている地面の様に荒地になっているが遠くを見れば砂漠が、緑が、歪に混じり合っている。加えてその地のどれも一部分が文字通り割れて、欠けている。その欠けた部位から先は幾何学的な模様が空間として存在しているだけでその先が実は地に足がつける場所なのか、はたまた穴になっているのかすら分からない。

 人の手で作られた建物等はおもちゃ箱に乱雑に入れられている様に地面に刺さっていたり、崩れていたりと悲惨な状態だ。折れたビル、少し小柄な西洋風の民家、巨大な歯車の様な物体、頭痛がしてくる光景だった。人が生きていくための場所ではない、災害が起きた跡でもなくただ、そう在る様子がそう思わせるのだろう。

 そして、中でも異質なものと思わせたのは。


「何だあの、二重の太陽……」

「いいえ、太陽ではないわ。あれは月よ、この世界には月しかないもの」

「でも、それじゃあ何かとおかしいよ…?夕日がないのに空の色はどうしてあんな色に」

「あの大地を見たでしょう?色々と事情はあれど、地球の様に道理の通る世界ではないの」


 目を凝らしても月かどうかは分からない、ああも輝いていてはそれが分かるまで目を凝らしせば目が潰れる方が先になるだろう。

 だから、目を細めながら再度観察する、ノイズのかかった二重の月。異様な存在感と重さを感じさせているのは何故か、そこにあるそれが直接的に襲ってくるわけでもないだろうに。だが、その月はこの道理の通らない世界であったとしてもどこからでも見上げればそこにあるのだろう、逆を言えば月はどこまでも見えている。そうして監視しているのではないかと思ってしまったら月ではなくそれが巨大な瞳に見える程だ。

 あれを見つめ続けてはいけない、彼は何となくそう感じている。


「どう?絶景でしょ」

「頭が変になりそうだよ」

「最初から自分を取り巻く世界の形がこうなんだと理解して、思っていたら絶景になるわよ」

「俺の場所は地球の日本だ、こんなごちゃごちゃした場所じゃないよ」

「そっちもごちゃごちゃしてるじゃない。生物がそこに生きる限りごちゃつくのは宿命じゃない?変わらないわ、地球もここも」

「君は俺に哲学を説く為にこんな所へ案内したわけじゃないだろう?」

「ええ」


 景色の方に視線を向けていた葵を両の手で頬を掴んで無理やり少女は自分の側に向けさせる。

 見下ろしてくる木々も、滅茶苦茶な大地も、乱雑な建物も、不安定な空も、正体の分からないつきも、そのどれもを置き去りにして自分を見ろと言わんばかりの強引さだが、事実として彼は彼女の赤く輝く瞳から視線が逃れられなかった。


「ようこそ、貴方にとっての異世界へ。ここは海よりも深い夢の世界、夢であって現実、現実でありながら夢、大きな何かの見ている世界」


 異世界。

 確かに葵でもピンと来る文言で、ここの道理の合わなさも世界そのものが違うものであるのならば納得もいく。

 だが、しかし、それだけで納得がいくものだろうか。そうか、ここが異世界だとすぐに頭が理解出来るだろうか。


「貴方が信じようと、信じまいと、別に構わないわ。ここが絶景で、夢があって、そんな世界でも、私にとっても所詮は紛い物に違いないもの」


 戸惑いを見せる葵に特別気を悪くする様子もなく、むしろ蠱惑的な笑みを浮かべてくるではないか。


「私、好きな物だけ並べられた食事だけが毎日続くと飽きるタイプなのよ。だから…」


 その顔で確信させる彼女もまたこの世界の側の人間なんだと、そう理解させるほどにその笑顔は魅力的すぎたのだ。決してその先の言葉を否と言わせないであろうほどに──


「私の所有者になりなさい、地球人さん」

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