君臨するのは唯一の
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
初めて我儘なところを書いた気がする( '-' )
「ただいま満席でして……」
「あらー。そうですか。待つことは可能ですか?」
「お待ち戴くのも御遠慮しておりまして……」
「あら。では、また」
こんな事を繰り返す事、はや二回。隣を歩く彼女を見ると心做し気落ちしていた。元々予定を立てて訪れた純喫茶が二つとも満席、とくれば無理もないか。
彼女は少し考えた素振りを見せて、静かに手首を包んだ。それから黙って俺の手を引いて歩き始めた。古めかしいレトロな銅像、人型本棚を通り過ぎて、漸く辿り着いたのは本屋だった。
「ごめんね、もう少し本屋さん、ぶらぶらしても良いかな」
問い掛けのタイミングが明らかに間違っている。それだけ傷心しているのかも知れない。
「なぁ、そんなに純喫茶に執着しなくても良いだろ。近くにあるサイレンでも……」
サイレンとは、大手コーヒーチェーン店である。主に学生から社会人が利用しているアメリカンな喫茶店。しかし彼女は酷く困惑した顔をした。この表情を一言で述べるならば『おろおろしている』。遠まわしながらも嫌がっている事が分かった。
「……悪い」
「うぅ……ごめんね。我儘言って、行動して……」
いや、我儘は言っていない。ただ並外れた純喫茶への拘り故に、こうした衝突は幾つかあるか知れないと思った。
とりあえず、彼女の精神を気にかける為に、気になっていた一言をぶつける事にした。
「なんでそんなに純喫茶に拘るんだ」
「雰囲気が好きなんだ。それはサイレンでは味わえないから、あとサイレンのが高いから。それとね、一番を証明する為。私には気に入った純喫茶が幾つかあるけれど、その中でも雰囲気、珈琲、ケーキ、そのどれもが心の真ん中射抜いたのは、そこだった。初めてで天井を見た。だから数多くの純喫茶を行った上で、此処が一番だと証明したい……。怖いけど」
彼女はそう言って、この街が詳しく記された小説を手に取った。そうして、一文を指でなぞる。好きなのだと思う。他の何を差し置いても。その場所が。
全てを下積みにした上で唯一頂点に輝く場所。王として君臨するのは、ただ唯一の。それでもその一番が崩れるのが怖いのだと思う。今までの信念諸共、壊されてしまいそうで。
オマケ 彼女が気合いで純喫茶を見つけたよ!!
「あ、美味しい。惚れ込んだ珈琲と似てる。癖が少なくて、ストレートで飲める。あとアコーディオンの曲が良い。初めて」
彼女は上機嫌で、珈琲を啜る。恍惚とした表情が、僅かな色気を齎す。
「なぁ、別に頂点が一つじゃいけない理由なんてないんじゃないか。好きなものは幾つあってもいいじゃないか。だからそう怯えるな」
そう言うと、少しだけ目を見開いて、口を真一文字に引き結んだ。それから突如、頬を緩めて微笑を浮かべる。
「そうね。全く持って、その通り」
初めに頂点、天井を知るのって、凄い怖い事なんですよ。
他のものはないと、超えるものはないと、何処かで思わされる事と同じだから。
少年漫画で言う、自分が知ってる最強が倒された、もしくは殺された時の心境と似てます。
心折れますよね? そういうことです。
でも狂った様に、純喫茶巡りしてます。
とある純喫茶に狂わされた(物凄く失礼)人間故に、一つしか知らないで、『貴方が一番なのよ』なんて言いたくない。
数百、数千を知った上で『貴方が一番なのよ』と言いたい。
これ、結構な意地なんですよ。
でも改めて、同じくらい美味しい珈琲を発見して、一番が二つでもいいじゃないか。と思わされました。
これからも彷徨い続けます。
でも、超えることはきっと無いと思います。
では、訪れた喫茶店の話でも。加筆したいな!!
異国の路地裏のような雰囲気。
小物がアメリカンで、内装は○フィーの仕事部屋。多分。
ハ○ル好きですか? ならきっと大好き( '-' )
そんな喫茶店。
曲がクラシックじゃないんですよ。お洒落なアコーディオンなんですよ。
ハ○ルのBGMっぽい曲がずーっと流れてます。
珈琲にクセがない。ストレートでいける。
小ぶりなしっとり系のパウンドケーキ。
懐かしさを覚えたのは、私だけではなく。
あれ、ハ○ルにパウンドケーキ出てきましたっけ?