51話 パパ再び 0年6月(恋ちゃん、初めて未遂事件)
6月の始め、先週の雨が上がり、晴れ上がって気温が上がり、湿度も上がった。
そしてその日の夕方、恋ちゃんが、『ハンバーグが食べたぁーい』と言い出た。
夕食の支度をする前だったので、許、恋ちゃん、お母さん、僕、4人で外食をする事になった。
「おいっ、おっさん、本当にここなのかぁ、お前ちゃんと調べたのか」
「兄貴、引っ越し先を調べたらここに、それもわざわざ分かるようにしてありました」
「うーーーん、これは1戸、1億以上するだろう」
「でも間違いないです、兄貴」「先生が待ってるのに、大丈夫だろな」
シャー。「お義兄ちゃんは何食べるの」「僕はねぇ~」「ちょっと、恋、離れなさい」
「あなた」「あっ、ぁ~、皆すまない悪かった」「パパ」「パパだ」「えっ」
「あー、これはちょうどよかった。今お宅に伺う処でしてねぇ」「何ですか、あなた方」
許が僕を見る。思い出した、借金取だ。
恋ちゃんが借金の形に連れていかれそうになって、代わりに許が行った。
許が嫌悪を顕わにする。
「借金取ですよ、ドラマで良くあるでしょう。お宅の旦那、うちから金借りといて返せないって言いうからねぇ。ご家族の方に返してもらおうかと、思ってねぇ」
「すまん、すまない」「結構、いいとこ住んでますね」
「これは社宅です」「随分豪華な社宅だね」
「立ち話もあれ何でぇ、中入れて貰えますかね」「お断りします。他の人に迷惑なので」
「僕等も商売でね。手ぶらじゃぁー、帰れないんだよなぁ」「幾らですか」
「きっちり1億ですよ。いやぁー切りがいい」「1億っ、て」「あなた、いったい」
「すまん、すまない、借りたのは100万なんだが、利子に利子が付いて、すまない」
可笑しいだろう。、幾らい利息が付いたからって、100万がどうしたら1億になるんだ。
こいつら別に目的があるんじゃ。
「そうでしょう。返せませんよねぇ。困ったなぁ~、そうだぁ、そこの娘さんに働いてもらいましょうかぁ」
「あいちゃん、あいつらの今の行動、発言、記録できる」「任せてぇー」
「さっ、こっちに来てもらおうか」最初からそれが狙いか。許が委縮する。
「近付かないで下さい。女の子に触れたら、警察呼びますよ。防犯、ここ24時間録画なんで、音声も入りますから、いい訳出来ませんよ」
「あー、そう、高そうなマンションだもんなぁ」
「返せっ、と言うからには、全契約書は持ってるんでしょね」「ちっ、見せてやれっ」
若い男がカバンを開けて、紙袋を取り出し、中から書類を出す。
「ほらよっ、分んのか」「ええ、これでも、代表を務めているので」
「お前が社長、おちょくってんのか」
「いいでしょう。僕が肩代りします。ここで待ってて下さい」
戻って来た記憶では一千万のはずだったのに、むちゃくちゃ増えてる。
でも、今回はこれも想定済みだ。今度こそ、許をお金から救い出す。
会社の金庫には、もしもの為に、現金で2億程度を常時用意していた。
僕は紙袋にお札の束を詰めていく、10cm5列を二段、結構重い。
それと僕の顧問弁護士の名刺。
「はい、きっちり1億あります。それと僕の顧問弁護士の名刺です」
派手な背広の男が、もう一人に顎で指図する。
「待って下さい」「契約書をこっちに」「確かめてからだっ」
指図された若い男が、僕の手から紙袋を取り、お札を調べている。
「兄貴、間違いないっすっ」「ちっ、ほらよ」背広の男が契約書の入った袋を投げてよこす。
「おっさん、これからも御贔屓になっ」立ち去ろうとする男達に僕は声を掛けた。
「待って下さい。録画するので、このスマホに向かって、全額返済されましたと言ってくれます」
「あー、うっぜっ」「言ってくれないと、訴訟起こしますよ。法定利息、超えてますよね」
「くっそガキが、あー全額返済済みだっ」「もう来ませんよね」「来るかっ、ぼけっ」
「あー、別の女探さねぇーと、あの先生、たっくう」
「あいちゃん、あいつ等、捕まえられない」「ルールだけでは、難しいですぅ」
僕は、他の誰かが犠牲になるかと思うと、釈然としない。
時間を戻れても許を助けるのが精一杯だ。
許が袖を引っ張る。「有難う、助けてくれて」
「お、に、い、ちゃん、パパを助けてくれたお礼に、恋がお嫁さんになったげるっ」
「ちょっと、恋、何言ってるの、離れなさい、あっちいって」「やあーーーっ」
お父さんが立ち去ろうとする。行かせてはいけない。
「あなた」「パパ」「パパァー」「すまない俺の所為で」
「いいから、それより」「そうね、ママ」「パパ、くさぁーい」
「あっ、あー、暫く、風呂に入って、ないんだ」
「服は僕のを取り敢えず用意するとして、銭湯にも行けませんよ」
「駐車場、そこの水で汚れを落として、それから改めてお風呂に」
じょぉ~~~。「パパ、寒くない」「寒い訳ないよ。6月なのに汗だくだよ」
「じゃ僕が管理人さんに話すよ。許は着れそうな僕の服と石けんとタオル。目隠しも、それと申し訳ないけど、ゴミ袋ね。他の人の迷惑になるから、着ている服は中には置けない」
そうして、お父さんはお母さんの家に上がり、ちゃんと熱いお湯に浸かり、家族のもとに戻ってきた。
「許、良いの、父さん、悲しい目をしてたよ」
「いいの、私の居場所はここ、問題は恋、パパの処に帰りなさい」
「いぃっやっ、お義兄ちゃんといる」「何、馬鹿な事言ってるの」
「じゃぁ、お姉ちゃんが行けばいいじゃないっ」
「僕が隣の部屋で寝るよ。今日は許と恋ちゃんがここを使って、ね、決まり」
と言う事で、僕が隣の部屋で寝る事に、シングルのベット買っといて良かった。
ガラガラ、引き戸が開き。ガラガラ、引き戸が閉まった。カシャ、鍵?。
許がベットに入って来た。
「狭いかから、あんまりこっちに来ると落ちちゃうよ」でも、少し許の香りと違う様な。
「あっ」・・・はて、気の所為かな、ちょっと大きい様なぁ。
どんどん、どんどん。「望、開けてっ」
どんどん、どんどん。「望っ、開けてぇーっ」
僕は跳び起きる、許じゃない。
慌てて僕はナイトテーブルにあるリモコンを取り明かりを点ける。
恋ちゃんが裸でそこにいた。さっ、さすがは姉妹、まっ、誠にけしからん。
「恋ちゃん」「えへへへっ、逃がさないよぉ~、お義兄ちゃん」
僕は素早くベットを降り、扉に向かう。
カシャ、ガラガラ。引き戸が開く。「恋っ、何時の間に」
「いっやあ~っ、今日こそは超えるのぉ~、あいちゃん、手伝ってぇ~」
「ダメッ」「いやっ、いやぁーーーっ」「服を着なさいっ」
僕は掛け布団を持って行って、恋ちゃんに巻き付ける。
「恋ちゃん、服を着て」「お義兄いちゃん、恋、嫌いっ」
「大好きだよ、恋ちゃん。でも許は、もっと好きだよ。許を困らせないで」
「分かった、今日は諦める」「今日だけなの」「うん、今日だけ」
恋ちゃんは許とベットに戻った。
う~ん、なかなか、いかん。恋ちゃんが帰ったら、許といちゃいちゃしよう。
お父さんは僕の会社に入ってもらた。
これでもう問題は無いはずだ。今度こそ、今度こそ、OKしてくれる。




