39話 残り、15%
可能性は、全くなのだろうか。
借金を返せば、問題が無くなるならそれでいいが、その後にまた新たな問題が生じないと言う保証はない。
許も、恋ちゃんも、お母さんも、お父さんも、助けになれるならそれがいい。
「ダメかぁ~、もっかいしたらぁ~、何か出るかなぁ~」「まっ、まぁ~出るだろうな」
ダメ元で、聞いてみる。それしかない。
「一先輩」「うん、何か思う処はあるか」「残り、15%、何か出来ます」
「うーーーん、分らんな。各項目の断片が伝わるだけかもしれんし、どれか一つ、強く意識したものが伝わるのかもしれんし、予想はできん。それに一発勝負の可能性もある」
「一発勝負、ですか。このポイントに戻れないと言う事ですか」
「そうだ。時計の話、覚えているか。距離が遠すぎるんだ。楽観的に考えれば改変後、吾輩達にとって、常に悪い方へ問題が生じるとは限らんが」
「何、良い結果に転ぶかもしれないって事」
「少し違う。改変した所がスタートになる。そこから先は未知数だ。どうなるか分からん。…いや、待て」
「何か思いついた。ほぉ~らほらっ、こんなだぞぉ~」
「あっ、彩、乳を付けるな、忘れるだろっ、」「いぃ~じゃん、忘れちゃえよぉ~」
「彩先輩」「御免なさい」
「仮定の上に仮定を積み重ねる事は、意味がないが。例えば、信号の大きさを制御できるなら、戻って来るにつれて、各ポイントで再受信できるなら、或いは」
「はっ、逆算っ。過去の出来事は私達も知ってる。各ポイントで同じぐらいの強度でもっかい情報を拾えるなら、作戦立てれるかも」
「ほぉ~、流石は吾輩の嫁、気付いたか」「よめぇ~~~、なの」
「嫌なのか」「いいです、ぜひぃ、ふぃ~」彩先輩がにやけてる。初めて見た。
「しかし、…こんな事が人の脳で出来るのか」
「どんな事をすれば良いんです」
「何処の時点で、何をしなければならないか、時系列に沿って、必要な情報の優先順位を付ける。優先順位に従って、送る情報の強度を決めるんだ。優先順位の高い、遠くで必要な情報は強く、現在に近い情報は最小限の出力で出す」
「つまりこう言う事ですか。7年前ではお金を作ると言う情報が届く様に強く出し、それが実行され、成果が出た頃。例えば6年前で、許を探すのに必要な情報を受け取れる強さで送る。現在に近ければ近いほど必要最小限の強さで良い」
「そうだ。予め何処でどんな情報が必要か決めて跳ぶんだ。弱いものは跳ぶたびに消えて行き、強く思ってるものは最後まで届く。但し、全て仮定だが、どうしてもと言うなら他に方法はない」
「一先輩、彩先輩、僕それを試します。是非試したい」
「戻れんかもしれんぞ」「それ、困るけど仕方ないなぁ、僕は許を助けに行きます」
「なら早く食って、何処でどんな情報が必要で、何をすればいいか検討しましょう」
それから大急ぎでご飯を食べて、三人で色々考えた。
その結果。
1、お金を稼げるだけ稼ぐ、7年前。
2、タイムリープで、初めてのセーブポイントまで跳ぶ。
3、どれだけお金を積んででも、神楽坂 許を探す、6年前。
4、許の進学に合わせて高級マンションを同一フロアで3軒購入、4年前。
「彩先輩、どうして三軒なんです」
「一つは望君の、もう一つは許ちゃん達のお家、直ぐ隣の方が良いでしょう。もう一つは、その後に出会う、一と私の愛の巣」
「え~」「いいじゃない、跳べるのだって一のお陰なんだし」「納得です」
5、成功研究部で起業する、 3年前。
「彩先輩、5は、」
「これまでの流れからね、今知ってる額より増えてる可能性があると思うの、だから望君の能力を使って、株やFXでガンガン稼いで、億単位の借金も返せるぐらいにするの。それなら神様にも勝てるでしょう。許ちゃんきっと助けるから」
「それとぉ~、家の旦那様のぉ~、開発、し、き、ん」
「彩先輩、只じゃころびませんね」
6、借金を叩き返して、全員救出、0年6月。
7、プロポーズ OK ハッピーエンド、 0年7月。
「ふむ、これでいいか。本当に試すのか」「きっと成功します」
結構な時間になっていた。
「それじゃ明日、朝の10時、跳ぶとしよう。始めは、神楽坂君が落ちた日だ」
「大丈夫」「有難う御座います。彩先輩、いけます」
「瀬楠は、吾輩の部屋で寝てくれ」「一と私は、奥の私の部屋で寝るから」
「それじゃ明日、お願いします」「優先順位を忘れるな」「おやすみなさい」




