33話 相思はずあらむ
一先輩と考えた計画は、こんな感じだ。
まず確認も兼ねて、5月1日まで戻る。事象の変更が最小限になる様にする。
しかし、事象が前後する事も考慮して、事件が発生した、いや、発生するであろう日を中心に前後3日、計7日間、許と一緒に帰る様にする。
跳んだ直後に、セーブポイント(写メ)を作成し、失敗したらそこに戻る。
僕等が事件を回避したことで、他の人に害が及ばぬ様、あいちゃんに追跡してもらって、犯行直後に捕まる様にする。
要は、許を一人で帰らせない。つまり僕は、許といちゃいちゃすれば良いのだ。
「ゆ~き~、迎えにきったよぉ~」
「許ちゃん、お迎えだよ、べったりだね」
コンビニの駐車場に、大きなワゴンタイプの車が一台。
黒いスモークを張り、如何にも犯罪を起こしそうな車だ。
「あいちゃん、あそこの車、乗ってる人の身元特定できる」
「出来ますよぉ、でもぉ、何でぇ、」「中で何話してるかわかる」
「ちょっと待ってですぅ、なぁっ、許を襲う相談してるですぅ」
「あいちゃん、タクシーを呼べる」「任せてぇ~」
「それと、あの人達追跡できる」「ぇ~どうして」
「あ~言う人達はしつこいから。どうせ別の所で事件を起こすと思うから。それに許の周りも気を付けて、あいちゃんシンクロしてるでしょう。許に何かされたら、あいちゃんもされちゃうよ」
「いやぁーーーですぅ、私は望だけでいいですぅ」「はいはい、有難う」
「すっ、すみません」「いいから、上がって。彼氏、そわそわして待ってるよ」
「ごっ、御免なさい」「寧ろ助かるよ。帰りに何あって、恨まれたら嫌だからね」
「失礼しまぁ~す」「はい、ご苦労様、明日も頑張ってね」
事象の変更を最小限にする為、あいつ等には捕まってもらう必要がある。
「ゆ~き~、タクシーに乗ろう」「勿体ないわ」「じゃ、ワンメータだけ」「もぉ~」
僕等はタクシーに乗って、コンビニを後にする。
「あいちゃん」「こっちは諦めて、別を探すようですぅ。乙女の敵ですぅ。逮捕ですぅ」
「御免ね、いっぱい言って」「後でご褒美ですぅ。すっごいやつっ」
「ねっ、また、あいのパンツ下げてるの」「…そんな事してないよぉ」
「どうしいて一拍、ねぇ、ねぇ~って」
「ゆ~き~」「ダメ、…運転手さんが見てる」「見てませんよ」「しっかり見てるじゃない」
バタン、ぶ~~~ん。「勿体ない。結局家まで。これじゃ、バイトの意味がないでしょう」
「大丈夫、許が渡してくれたお小遣いの範囲。ちゃんとホテ、いひゃい、いひゃい」
「余計な事言わない」「はい、これ、ドーナツ。恋ちゃんに取られない様にしてね」
「また、勿体ない事してぇ」「じゃ、恋ちゃんにわた」ちゅっ。「ありがとう」
許は家に帰った。
「望、やっぱり他の女の子を襲ったですぅ」「その子は」
「無事ですぅ。少し怖い思いをさせてしまいましたが、私が警察を誘導しておいたので、現行犯逮捕ですぅ」
「良かった」「何故、知らない女の子の心配をするですかぁ。事前に予期してた感じですぅ」
「ほらぁ~、許の身代わりになったみたいで嫌でしょう」
じ~~~っ。あいちゃんが何か疑っている。「だいたい予想できました」「そうなの」
「対策は万全。私は世界最強。もう、お米も、お露も、お中も、恐れる事はないですぅ」
「それは怖いね」
「そぉーですぅ、私をう~らぁ~ぎぃ~るぅ~とぉ~、衛星高度からのぉ~、ピンポイント攻撃で、焼いちゃますぅ」
あいちゃんはお股を両手で押さえながら、腰をくねくねさせる。
「はっ、なんて恐ろしい事考えてるんだよおー」
僕はそこからあいちゃんと、たわい無い話をしながら、歩いて家路を急ぐ。
明日は、午前中に授業がある。
でも、僕はこれから数か月後の事を考えると、浮かれてしまう。
今度こそOKしてくれるはず。許はきっと僕の事を好きでいてくれるはず、だと思う。
もし、・・・もし断られたら。「ねっ、あいちゃん。許、…僕の事好きかな」
「知りません」「もし断られたら」「簡単ですぅ、私と添い遂げればいいですっ」
僕は、夜空に輝く一等星に視線を移した。「こらぁ~、遠い目をするなぁ~~っ」




