17話 愛《うつく》しきあがなに妹《いも》の命《みこと》
ん~~~。ゆ、き。じゃーー。おトイレか。
許が帰って来て、ベットに上がり、僕の腕を広げて、二の腕に首を置く。
髪の毛が引っかからない様に、頭の上の方にあげて、再び寝息を立てる。
僕は再び目が覚めた。カーテンの隙間から、朝日独特の雰囲気が漏れ入っていた。
チェックアウトの時間が近付くと、あいちゃんが教えてくれる。
僕はすっかり回復していた。
隣を見ると、僕の腕を枕(ちょっと痺れてるけど、大丈夫)にして、僕の女神と言っても良い女の子が寝息を立てている。
ゆき蕩れ~、触ちゃおうかなぁ~、まずキスしてみよう。
ちゅっ。「ぅ~ん」むっ、胸は、もみもみ。「はぁぅ~」昨日より張ってるような。
「うぅ~ん、のぞむ」「起こしちゃった。御免ねっ、つい」
「あいは」「まだ」「ぅ~ん、のぞむ」許が抱き着いてきた。
「ゆ~き」ちゅっ、「気分は、どっか痛いとかある」
「大丈夫よ、お休みしたから」「よっかた」「のぞむ」ちゅっ。「のぞむ」ちゅっ。
「ゆきっ」「きゃうっ」僕はこれほど時間の過ぎるのが早いと思った事はない。
これほど過行く時が口惜しいと思った事もない。もっと、同じ時を過ごしたい。
公園で見た、あの一瞬で僕は許に夢中になった。
えっちをしたからじゃない。僕は許が好きだ。
「・・・はぁ、・・・はぁ、・・・はぁ」「・・・はぁ、・・・はぁ、二人共時間ですぅ」
「ゆきっ」「私の事、嫌」「僕は今はっきりと言える。許、好きだ」
「じゃぁ、もう少しだけ、こうしててくれない。お願い」
許は今度こそ間違いなく泣いている。肩が震えてる。涙が出てる。
「女の子として、見てくれて、有難う。もう大丈夫。シャワーを浴びて片付けましょう」
許は掛け布団を纏って、奥の椅子に掛けたバスローブを取り、浴室へ向かた。
僕は部屋を片付けながら思った。あいちゃんは何故、許を僕に薦めたのか。
シンクロをして、感覚を共有する為だけなのか、他にも何か目的があるのか。
トランプやオセロ、ネットゲー、あいちゃんはみんな弱い、下手くそだ。
これは表面的な事で、コアの部分は、とんでもない高等演算を瞬時に、それも平行して行っているはず、人の脳と同じように。
「ん?、ぉぉぉおおおーーー。ひょっとして、あいちゃんは人と同じレベル」
ぽん。僕は合点がいき、手を打った。
「望、何を今更、私は賢いのだぁ~」
「また、何か揉めているんの」許がシャワーから帰って来た。
ゴトン。僕は余りにも衝撃的な光景にあいちゃん(スマホ)を落としてしまった。
「なっ、・・・んだと。許、なんて恰好しているんだよ」
「えっ、何処か可笑しい、昨日の服よ。ちじんだのかしら」
「どうして、どうしてこっちに来て、着替えないのさ。許が下着を着るところを楽しみしてたのに」
「ねぇ、…あい、私にとんでもない人を、すっ、・・・もぉ~いいから望も行って来て」
「いいよ。僕は許のあいえ、いひゃい、いひゃい、いひゃい、いひゃい」
「早く行って来てっ」「許、痛い」「う~~~ん」ちゅっ。「行ってくるよ」
「許、お薬の時間ですぅ」「有難う、あい」