15話 食べちゃうからだよぉ~
夏の終わり、日はまだ結構長い、カーテンを閉めているが、横や下、上、そうした所から、僅かに日の光が差し込んでいる。
・・・まだ、明るい。
僕は意を決して、許の許へ行く事にした。
近付くにつれて、許の様子がおかしいのが分かった。
僕は慌てた。何をしたのだろう。何か嫌な事でも言ったのかな、と、思ってしまう。
とにかく女の子の事が解らない。もし泣いているなら、僕は何をすればいいのか。
「ゆき、・・・泣いてるの」誰が見ても泣いてる。ぁぁぁあああー、何をしたんだ、僕は。
「泣いてなどいないわ。目に何か入っただけ、心配しないで」「いや、でも」
「お嫁さんを迎えに来たの、はい」許が涙を手で拭い、両手を差し出す。
「抱っこぐらいして」更に近付くと腕を首に回してくる。
僕は背中に腕を回し、少ししゃがんで、許の両膝を掬い上げ、ベットに向かう。
「そこで止まってっ、扉を閉めるわ。音が漏れたら嫌だから」ガラガラガラ。
奥のベットの傍まで来た時。「下ろして、ローブは湿ってるから」許を下ろす。
「・・・その、ローブを脱がさせて上げる。かっ、感謝してね」「いいの」
「…恥ずかしいから、私の気が変わらないうちに」
僕はそ~と、帯に手を伸ばし引っ張た。
ローブが軽く開く、ローブの両肩に手を掛け、後ろにずらし引き下げる。
ローブは素直に、ストッと落ちた。
「あっ、ゆき、下着、…綺麗だ」「下着を汚しいたのは誰、ばかっ」
「私、…疲れたから、お洗濯終わるまで、・・・横になるから」
そう言うと許は、急いでベットに潜り込んだ。
許は掛け布団から目だけを出して、こちらを窺っている。
「電気、・・・節約」僕も決めた。僕もローブを脱いだ。
「きゃぅ」許が頭から布団を被って、完全に潜り込む。
「僕も少し、・・・お休みするよ」
枕の横にあるスマホを見ると、あいちゃんもベットに潜りこんでいる絵になっている。
僕が布団をめくると、あいちゃんが寝ているベットの布団もめくれる。
どうやって検出しているんだろう。本当にあいちゃんって凄いんだな、と思う。
とか自分をごまかそうとしたが無理。僕は許と同じベットに入った。
二人共、背を向けてお互いにじっとしていた。
ばさ。「許、空気悪いから、出て来てよ」僕は手を伸ばした。
背中に当たると、ぴっくっ、と跳ねる。とてもすべすべしていて心地良い。
ばさ、許がこちらに向きを変えて、またまた、目だけを出して僕を見る。
「電気、消えてなぃ、それに目がぎらぎらしてる」
「許がよく見える様にだよ」
「・・・じゃぁ、どうしてお耳が、ぴくぴくしているの」
「許の声がよぉ~く、聞こえる様にだよ」
「ぇ~~~、じゃっ、じゃぁ、お布団の中で、手をもぞもぞさせているのは」
「許を優しく抱きしめたいからだよ」
「ぅ~~~っ、・・・あのっ、何かが、当たって来るのは」
「許を食べちゃうからだよぉ~、がおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」「きゃうぅぅっ」
僕は掛け布団をベットの下に、ぱあーっ、と投げ捨て許に襲いかかった。
許は顔を両手で覆う。
「あっ、あっ、あっ、・・・だっ、い、じっ、・・・しっぃ、じ・・・て」
「おっ、ねっ、がいぃっ、・・・あぁっ、はっ、じてっ、しっ・・・はぅっ」
突然、許はガッシッと、僕の背中に両腕を巻き付けて抱き着き、僕を強く引き寄せた。
歯を食いしばって、険しい顔をし、背中に爪を立てる。痛いけど、何か、違う。
「ゆきっ」僕は思考力を失っている。求められたら、そこへ疑う事なく解き放つ。
許の顔から険しさが無くなると、腕も、足も、力が抜けベットに落ちる。
「・・・はぁ、・・・はぁ、・・・ぅっ、んん」許にキスをした。