ウイングスパン③
細かいルールの解説と振り返り。
ゲーム開始時、鳥カードを5枚、餌を各種1つ配られ、合計5つになるよう調整する。また個人用のボーナスカードが2枚配られ、これも1枚だけ選ぶ。
餌を獲得する際には場に出ている5個のダイスの出目から選んで獲得する。ダイスの振り直しは出目が1種類の時に可能。
鳥カードの獲得をする際にはカードトレイ上に公開されている3枚の中から選ぶか山札から引くことができる。
鳥カードをプレイする際に必要な餌は任意の餌2つで代用可能。
カードの上に餌トークンや卵を置く(蓄える)カードの下に別のカードを差し込む。これらは1個(枚)につきゲーム終了時に1点になる。
ゲームは4ラウンド行い、ラウンド終了時に全体で順位付けされてボーナス点になる。この際各々のマーカを得点表に置くのでラウンドが進むごとにターン数は少なくなる。
ゲーム終了時同点のプレイヤーがいる場合、所持している餌トークンの数が多い方が勝利する。
それからゲームが進みただいま3ラウンド目。かなりいい具合に場が出来上がってきました。
「それじゃ私の番ですね。餌の獲得をします。3つ目まで埋まっているので餌を2つもらいます。虫と魚でいいですかね。まずドングリキツツキの効果で餌箱から麦を貰います。その次はマツノキヒワで手札の鳥カードを差し込んで麦を貰います。最後にアオカケスで麦を貰います」
1回のアクションで勝利点を1と餌を5個、これはなかなか効率いいんじゃないでしょうか。
「ユズちゃん凄いね。でも私もなかなかすごいよ。私はカードの獲得だね。3枚あるからカードを2枚貰って卵を1個使ってもう1枚貰うね。それでえーっと、カオグロアメリカムシクイで2枚カードを貰うよ。ハゴロモガラスで手札を1枚差し込んで卵を貰って、オオクロムド……じゃないなオオクロムクドリでも手札を1枚使って卵を貰うね」
「もうなんか呪文みてーだな」
「でも面白いねこれ、コンボが繋がってく感じがして」
笑うユキちゃん。もともと頭がいいから強いコンボをしてくるのはそんなに以外じゃないけどこんなリアクションを取るのはかなり以外です。いや……そうでもないか、昔はみんなで一緒によく遊んでいました。一体いつからこうなったのか分かりません。大した事件もないのになんとなく疎遠になって、ただそのまま。
「楽しんでくれてるのが最高に嬉しいね。まあ、手は一切抜くつもりないけどね。やるからには絶対に負けないよ。楽しませたうえで、楽しんで、最後には勝ちを貰うからね」
ああそうか、分かりました。誰も何もしなかったんです。みんなを楽しませようとも、楽しもうとも。子どもなんですから、楽しませようとしなくても楽しもうとしてたら何か変わってたのかもしれません。
私は人付き合いが得意ではありませんが、したくない訳じゃありません。出来ることなら昔みたいに……。
「おいユズ。ユズ。おーい」
コウタくんに呼ばれ、自分が考え込んでいることに気が付きました。いまそんなことを考えてもしょうがないのに。
「あっ、すいません。私の番ですね」
それから更にゲームが進み、残すところ後2ターン。それぞれがどんなボーナスカードを持っているか分からないだけにイマイチ優劣が分かりません。それでもやっぱり出てるカードを見ると椿一也がリードしているように見えます。幸い卵も餌も潤沢にありますし、2ターン連続で鳥カードのプレイができそうです。手札は2枚、ボーナスカードを増やすミズイロアメリカムシクイ。これはいい。麦を食べる鳥だからボーナスカードの鳥類飼育家の対象だ。もう1枚はツバメ強い効果をもっているけど、勝利点は1しかないし麦を食べないからボーナスの対象じゃない。せめてもう1枚が麦を食べる鳥だったら……。
「俺は鳥カードを引くぞっと……うーんイマイチだな。しゃあねえ、あんまやりたくねえけどアメリカイソシギの効果だ。各プレイヤーは鳥カードを1枚ずつ引く」
しめた。これで麦を食べる鳥を引ければ結構点数が変わるかもしれません。
「コウタ助かるそれー」
「ありがたくもらうよ」
三人が引き、私も引きます。ははっ、こんなこともあるものなんですね。