第9話 ペッパーフロッグ
上手くまとまらん…
今日はギルドに来ている。受けられる依頼を探しているのだ。今私たちはFランクなったので、受けることが出来る依頼が増えた。
あと、今日は少し早く帰って、私がギルドで店をやることになっている。ちなみに、朱里はお留守番。
ヤル気満々!頑張ろうっと!
「リナーテ、いい感じの依頼があるよ!」
「どれー?」
カスミの指差した紙を見ると、ペッパーフロッグの討伐とあった。
…いや、ペッパーフロッグって何?フロッグだから、カエルだよね。
「あ、そっか。リナーテは見たことないんだっけ。ペッパーフロッグはね、夏の信仰祭で使うんだよ」
「へぇ、具体的に何に?」
「焼いて、食べるんだよ!増えすぎた魔物を減らすことにもなるし、美味しいし、で、この依頼はギルドからの依頼だから、報酬の値段が高いの。競争率高いのに、あってラッキー♪」
た、食べるのか、カエル。そりゃあ、聞いたことあるよ、食べるって。昔の人が食べてたって。
「ペッパーフロッグのお肉、ちょっとピリッとして、美味しいの!だから、ペッパーフロッグなんだよ。ちなみに、ペッパーフロッグはにんじんが好物なの。あと、光に弱いんだって。」
へぇ、辛いから、ペッパー。
「じゃあ、その依頼にする?」
「そうだね、これにしよ!」
その任務で、悪夢を見ることになるということを、私はまだ知らなかった。
「リナーテ、ここだよ、ペッパーフロッグの住みか。」
そこは、じめじめとした蒸し暑い熱帯雨林だった。
「カスミ、ここ、暑くない?暑いよね?」
「うん、暑い。カレーの中のにんじんになった気分。」
カレーの中のにんじん、か…。
「あ、カスミ、ペッパーフロッグってあれ?」
目の前にはちょぉーっと気持ち悪いガマガエルが三匹いる。
「そうそう、そいつ。一匹いたら近くに五十匹はいるから。そんなに強くないけど、繁殖力がエグいのしかも、作物を荒らすんだよ、こいつ」
なんですと!それはまるで私の、いや、人類の天敵、コックローチのようではないかァー!!
「…絶対、任務達成しよう、カスミ」
「リナーテ、どした?暗いよ?」
「ソンナコトナイヨ」
ほんとに、ゴキ●リみたいで気持ち悪いから全て抹殺したい、なんて思ってないよ。…ホントだよ?
「じゃあ、いくよ!」
私とカスミはショートソードを片手に、ペッパーフロッグの元へ飛び出した。
…までは良かった。
「グゲエェェエェェ」
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ、とって、とって!ぎゃあァァ、カスミィ~!」
飛び付いてきたペッパーフロッグの気持ち悪さに私、敗北。
カスミったら、笑ってないで、せめて倒しかた教えて!
「頭を刺したら倒せるよ。…ただ、粘液が、ぶっ、めっちゃ出る」
「笑わないで!粘液はいやぁ!アァァァア、悪夢だぁー」
「じゃあ、フロッグを受け入れな」
「カスミの鬼!悪魔!」
ふぬぅ、仕方ない!
「ファイヤーボール!」
確か、カスミが、ペッパーフロッグは光に弱いって言ってた!
「グゲエェェエェェ……」
やったー!ペッパーフロッグが離れて行く!作戦成功ー!
顔にくっついている物がなくなった私はどんどんペッパーフロッグを倒していく。
「すごい!リナーテ!私も負けてられない!」
カスミのやる気に火を着けちゃったみたい。あらら。
「こっちだって負けない!ファイヤーボール!!」
冒険者ギルドにて。
「すいません…これ、何匹いるんですか?」
少々引き気味のザルアさん。
「468です。」
きっぱり答える私たち。
まあ、引き気味になるのも分かるよ、ザルアさん。
……多いもんね!多いよね!
「うわあ…。あ、ポイント付与、しときますね」
「よろしくお願いします」
あ、そういえば朱里、ちゃんとお留守番できてるかな…。ま、朱里なら大丈夫か。
「…はい、ポイント付けましたよ。あ、そういえば、伝言預かってますよ」
「伝言?誰からですか?」
ほんとに心当たりないんですが。
「服屋のツーゼからです。」
え、ツーゼさん!?なんで!?
「『朱里はウチの店で預かっているから受け取りにこい』と。」
「「はい!?」」
「まあ、行った方が分かると思います。さあさあ、行ってらっしゃい~」
「は、はあ…。じゃあ、いこっか、カスミ」
「う、うん?」
こうして、カスミと一緒にギルドを出た。
……朱里、お留守番してくれてたんじゃなかったの!?
ねぇ、朱里~~。
ツーゼさんの店につくと、朱里は赤ん坊を寝かしつけていた。黒髪の赤ん坊。…誰?
「おぉリナーテ、やっと来たか」
「お待たせしました。色々とご迷惑おかけしました」
「いいんだよ。前に良いものを売ってもらったしね」
ツーゼさん…!なんていい人なの!
「で……なぜ、朱里がここに?」
「赤子の服が欲しいって訪ねて来たんだ」
…すみません。
「朱里、その赤ちゃんどうしたの?」
「えーっとね、赤ちゃんが家の前に落ちててね、それで、うわーってなったから、コポコポってやって、ザルアお姉さんにここまで連れてきてもらったんだよ!」
……うん。意味不明。
「カスミ、わかった?」
カスミは静かに首を横に振った。
カスミも分からないみたい。
「とりあえず、その子は家で育てよう。」
「里奈お姉ちゃん、いいの!」
「うん。ほっとけないでしょ?」
この瞬間、朱里に兄弟が出来た。
そしてこの日の夜、私はペッパーフロッグのせいで悪夢にうなされた。
朱里の話では、リナーテたちがペッパーフロッグ討伐に奮闘していた間、何があったか分からないでしょう。そこで!番外編を用意しました~!!
もうすぐ投稿出来ると思うので、楽しみにしててください♪