第7話
「ぐぅつつつ!」
赤い髪の男は容赦無く首を絞めてきた。
首を絞められたら舌が引っ込むって言うのは本当なんだな。
そんな感想を持つ冷静な自分に笑えるが、余裕も酸素不足でなくなってきた。
全力で抵抗しているが相手は全くダメージを受けていない。
『アンラ!やめるんだ!』
「フン!ソウスケが言うならそうしよう」
「ゴホゴホゴホ!!!」
第三者の介入で赤い男はゆっくりと私の首から両手を離した。
新鮮な空気が肺を満たす。
深呼吸を続けていると 脳みそが動き出した。
今、日本語が聞こえた?
『大丈夫?華さん!』
心配そうに近づいて来る黒い男。
黒い髪に黒い瞳。ドストライクな顔面。
似てる。私の彼氏。イヤ正確には元彼?
彼が年を取るとこんな風になるんだろうな。
更にタイプな感じ。
「ソウスケ。知り合いか?」
赤い髪の男が面白くなさそうに言った。
ソウスケ?
名前まで一緒なのね。
元彼の名前は市原宗佑
『華さん。ああ首にこんなアザが!アンラなんて事を!』
ああ。間違い無く日本語。
なのに、こっちの世界の人と会話できてる。
彼も選ばれた人なんだろうなぁ。
偉そうにしてるし。
オマケでこっちの世界に紛れ込んだ人間なんて私だけなんだろう。
涙が出るよ。
・・・・。
って。っちょと待ってよ。この人何で私の名前知ってるの?
『もう二度と会えないかと思ってた。華さん。僕だよ。宗佑。市原宗佑!』
気が付いたらぐうで殴っていた。
ほとんど条件反射?