第19話
なんだか、一般的日本社会ではお目にかかれない、感情の爆発(暴発?)を私に見せつけ別世界へと旅立っていた二人を見つめ小一時間。ようやく二人が戻って来られた。
「挨拶もせずに、この様な有様をみせつけてしまい申し訳ございません。私はアーリアと申します。」
ベットから降りて頭下げようとする彼女を再び無理にベットへ押し込んだ。
「アーリアさん。あなたは殴られて意識を失っておられました。もうしばらくは安静にしていたほうが良いと思いますよ。」
「!!なんと情け深い貴人でありましょう!私のような者にまで!!」
ワタクシ、ものすごく偉い人になったようです。昨日までとは大違い。
『美しくない役立たずな物質』と言われていましたが今、彼女の中でワタクシ『貴人』です。アエーシュマさんレベルに認識されております。
『貴人』て何か今一つ理解できないけど。
「アエーシュマ様に早速お伝えに行きますね。華様がアエーシュマ様をそのようにお思いになられていると知れば・・・。私は言葉に表すことが出来ぬ程の感動で胸が・・・。」
あ、ザリチュさんはまだ、こちらにお戻りでは無いようですな。
『胸が・・』を連呼しながら部屋を出て行かれました。
あ、待ってザリチュさん!私の空腹はいつになったら満たされるのかしら?!
「貴様!ザリチュに何を言った?」
空腹がいつ満たされるか心配しつつ、白衣の天使ばりの笑顔でアーリアさんに体調を確認していたら(吐き気はしないか。目はちゃんと見えるかの確認!大事ですよね)アエーシュマさんが息を切らして走りこんできた。
扉を破らんばかりの勢いに、驚きすぎてイスから落ちちゃったよ。
床に座り込んでポカンとしている私に相変わらずの上から目線で重ねて詰問してくる。
「ザリチュに何を言ったのかと聞いている!!」
「アエーシュマ様。何故そのように声を荒げるのですか?喜ばしい事ではないですか!」
アエーシュマさんの後ろに付いてきたであろうザリチュさんが驚くほどの空気読めないスキルを発揮してウッキウッキ口調ではしゃいでいる。
二人の温度差に風邪ひきそうだよ・・・。
何を言ってもダメな空気満点。どうする?どうする私?!
グウ~
緊張している私を裏切り、腹の虫が爆音を響かせた。
誰も何も言わない。
グウ~
私の腹の音だけが部屋に響き渡った。