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第18話

アエーシュマさんがフラフラと漂いながら、どこぞに行ってしまったので、私はそっと緑の子をゆすった。

頭を打った時は動かしては、ならないって言うけどさ。グーパンチうけてたけどさ。


「大丈夫?」


確実に大丈夫では無い事はわかっているが、声をかける。私の中で一番優しい声で。

瞼と唇が震えている。

開けるのがしんどいのか?


顔は殴れらて腫れているのと目を閉じているのでハッキリと美醜はわからないけど(たぶん美人)体はムッチムチのナイスバディーだ。オッパイはボーン。腰はキュッッ。ヒップはプリリン。手足は長い。

本当にこの世界の人間って綺麗。自称Cカップ。手足短め。胴長めの私って、どのくらいぶさいくに見えるんだろう?


「あ・あ・あ…」


助けを求めるように声を上げてる。

どうしたらいいの?私にできること・・・。


「ザリチュさーん!!!!!」


大声で助けを呼んだ。私が今できる事なんて何もない。

・・・。いや今だけじゃなくて、この世界で出来る事なんて本当に何もない。








「助けて下さりありがとうございます。」

あの後、私が大声で叫んだ瞬間、ザリチュさんが来てくれたので(絶対、私が呼ぶのをどこかで見ていたに違いない。あまりにもタイミングが良すぎる)緑の子を私が使っても良いと言われている部屋へ運んでもらった。彼女の痛々しい姿にザリチュさん何の驚きもせず、治療するのも慣れた感じで、『いつもの事』的な空気でたんたんと、進めて行くのを見て今更ながら恐怖が湧き上がってくる。


緑の子はやはり瞳も緑で、森の妖精のように可憐で、ナイスバディーの持ち主とは思えぬ儚さ。

目を開けたら分かった、顔を殴られ腫れているのに美しいとわかる絶妙なバランス。

そして声がまた可愛い。

「いや。私は何も・・・。お礼はザリチュさんへ・・・」

「いえ。あなた様が止めて下さらなければ、アエーシュマ様は私を殺めていたと思います・・・。」


・・・・。えっ?!


「私は子を、あの方の子を産むのが恐ろしいのです。」


おいおい。私の許容度はとっくにイッパイですよー。やめて下さい。込み入った話は。


「もし、私が産んだ子が忌色をまとっていたら・・・」


自分で自分の体を抱きしめ震えている。

両目から涙が・・・。

そんなに茶色はダメなの?


「どーして茶色はダメなの?赤と黒の間の色だよ。」


茶色にカラーリングすると、退色して赤くなったりするじゃないっすか。

あ、しまった。思わず聞いてしまった。込み入った話に参加しちゃったよ!


「間の色?」

「痛いです。ザリチュさん」


私の肩をザリチュさんは砕けそうな程、力強く握ってくる。

本当に痛い。


「あなた様には・・・そのように見えるのですか?!!」

緑の子は、これ以上無い位目を見開き、悲鳴の様な大声で私に詰め寄ってきた。

「うん。この世界に赤い髪の人いてるし。その人と黒い髪の人が子供とか作ったら茶色の子が産まれない?」

こっちの赤髪ってビビットすぎるからならないのかしら?


「あああ!!!!神よ!!!」


えぇぇぇぇ!!!!ザリチュさんは神に感謝の言葉を捧げながら号泣しだした。

緑の子は「何て事・・・何て事・・・・」とエンドレスでリピート。


もう。何か無理。激しい感情表現に慣れていない日本人として代表的な対処法しかとれないよ。

人生で初めて神に祈りを捧げる人をリアルに見たし、エンドレスリピートも初めての体験だし。


私は二人が落ち着くまで『曖昧な笑み』を浮かべながら静かに見守ります・・・






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