第16話
私はアエーシュマさんと話せた事で、この世界で生きて行く事に自分で思っている以上に希望を持ってしまっていたらしい。
なぜなら、話が通じたから。言葉が通じる様になった事も大きいが、彼の言っている言葉の意味が分かったから。見た目が普通だったのも大きい。見慣れた茶色だったのも大きい。
その彼が、私が理解できないことをしている。あの赤い人と同じように。宗助と一緒に居たあの男が私にしようとしたことをしている。
気に入らないから殺す
私は平和ボケした日本人だ。人が死ぬところなんて見た事がない。理解ができない。
「我がまともだと?」
ゆらりとアエーシュマさんは私に振り返った。緑の子から離れた!
思わずアエーシュマさんと彼女の間に移動する。
彼女の胸が上下しているのが分かり、詰めていた息がもれる。
「異界の女は我がまともに見えるらしい!はははは!」
大声で笑っているが、目が完全にいっちゃってる。
カチカチする音が聞こえたので何かと思ったら、自分が震えて歯がなる音だった。
自分のカチカチ音とアエーシュマさんの高笑い。
聞こえてくるのはそれだけ。
「我がまとう色を見て何も思わんか?」
いっちゃってる目でロックオンされた。
「この色は忌子の色よ。」
視線を外ずさず私の髪に手を伸ばす。
「お前の色は至高の色。」
髪を握る。手に血管が浮かぶほど強い力で。
髪なので痛みなど感じないはずなのに、心臓が痛い。
まるで髪と心臓が綱っがているかのように。
握りつぶされる・・・
「黒など!!!!!」
思いっきり髪を引っ張られ、引きずられた。
「こんな・・・こんな色など!!」
いっちゃってる人に何言っても無駄だと思うが思わず口からでた
「私の世界では黒はダセーとかって若者は茶髪にします・・・」
「はぁー?!!」
ドン!
髪を引っ張っていた手の力が抜けたのかそまま私は床に落とされた。