第15話
放置しっぱなしでしたが、感想を書いて下さった方ありがとうございます。
身支度を整えて、空腹を感じ初めて悩んでいたら廊下から悲鳴が聞こえた。
若い女性の声。
勘弁して欲しい。
私が出て行っても被害が拡大しそうなので、大人しくしておこうと思っているのですが悲鳴がやみません。
コエェー!一体何が起きているのでしょうか??
「お許し下さい。アエーシュマ様!!」
泣き叫ぶ声。予想通りの展開で私まで泣きそうになるよ。
泣き声の力が弱まっている。
どうする・・・。どうした良い?
このままジッと息を潜めているのが正解なのは分かってる。
でも・・・。
音がしないように、そっとドアを開けた。
『後悔先に立たず』
目の前にDV現場広がる。
半裸の緑の髪の女性。その女性の髪の毛をつかみ鬼の形相で殴りかかるアエーシュマさん。
夢だと思いたいけど、緊迫した空気がそれを許さない。
「貴様は我の子を産めばよいのだ!!!それ以外に生きる道は無い!!!」
ゴン!
アエーシュマさんグーで女性の顔を殴ったよ。
ゴンッって言ったよ!
血が出てるよ!!
ザリチュさん!どこに居るの?!
ザリチュさんでなくても良いから誰か!!
止めないと、あの子死んじゃうよ!!!
「どいつもこいつも・・・。そんなに我が汚いか?!」
気が付いたらアエーシュマさんに後ろから抱き着いていた。
もちろん色っぽい感じではなく、止めるために。
「お、落ち着きましょう。アエーシュマさん。私の故郷では子供を産んで欲しいときは、優しく愛し合うのがセオリーでして。無理にするより、お互いが楽しみながらするのが、大人のたしなみっていうか。お互い無防備で挑む訳ですから少なからず心を許してですね」
鬼がこちらに向き直った。
「お前には関係が無い。黙れ!」
「えっと・・・。」
その言葉に手が震える。
私はアエーシュマさんの駒だ。
だから殺されてない。
しかも微妙な駒。
彼の気が変わればどうなるんだろうか?
でも・・・。
それを怯えて、ただ生きるの?
そう。私は臆病者だ。
生きたいんじゃない。死にたくない。ただそれだけ。
黙ろうと思った。
死にたくないから。
でもその時、緑の髪の女の子が動かなくなったのが見えた。
昨日 話したアエーシュマさんは話が通じたのに、なんでこんな事するの?
この世界に来て一番って言ってよいくらい通じた。
言葉が通じるようになったのもあるんだろうけど、彼には私の常識みたいなものが通じたはずなのに・・・。
「アエーシュマさんは、他の人とは違うと思ったのに・・・。唯一まともだと思ったのに・・・。」