第13話
若干いっちゃった目をしてアエーシュマさんは顔を寄せてきた。
「お前らに、好きにされてたまるか」
彼の手が私の喉にかかる。
アンラに絞められた事を思い出して暴れようとしたが出来ない。
彼の目が恐ろしくて、恐怖で体が動かない。
「安心しろ」
クッと喉を鳴らしアエーシュマさんは私の喉から手をはなした。
「まだ、殺さない。お前は利用できるはずだ。」
まだって。
「お前にも可能性がある。」
可能性?
何の可能性?
生き残る?
「お前だって異界の花嫁だろ」
・・・。
イヤ。違うでしょう。
さんざん言われましたよ。
会う人みんな否定してましたって。
なのにアエーシュマさん。目がマジ。
「もう、異界の花嫁は呼べない。」
なんで?ってか呼んだら ややこしい事が増える気がするんですが?
「次に呼ぶには20年かかる。二人も召還してしまったしな。」
私はノーカウントですか。
たしかにオマケで付いて来てしまいましたけど
「アールマティが花嫁を手に入れたらどうなるだろうな」
・・・・。意味がわかりません。
「いやいや。女子同士で結婚って」
「形だけで良いじゃないか。異界の血を引く子を産んで異界の花嫁に選ばれれば王になれる」
いろいろ細かく矛盾出てる気がするんですが・・・。
細かい事は無視してしまう方向なんでしょうか?
良いの?
「でも、召還できない。20年も待てない。」
召還うんぬんの前に気にしなければいかん事が盛り沢山です。
「お前が花嫁になってやれば、あの女は王になれる」
はぁ?!私?
「いや。アンラって人にも宗佑にもダメ烙印押されましたけど」
使えないとハッキリ言ってたし。
「どうかな?あいつらが言ってるだけだろ?」
いやいやいや。私には決定的に駄目な事があるでしょう。
君達だって言ってたじゃないですか。
「アエーシュマさんも言ってるじゃないですか。私のこと。
力の無い美しくない役立たずの物質って」
「だから?子を産まぬ異界の花嫁に何を求める?アンラは完璧を求めすぎる。」
何かもう・・・。
飲まずにやってられるか!
残っていたお酒を一気にあおったら、目の前がチカチカして頭が真っ白になった。
頭が考える事を拒否したんだろうなぁ。
白の後には黒が来た。