第10話
「起きろ。」
宗佑達が来て、青いおっさん達が騒ぎ、自分がどうなるかと不安いっぱいで過ごしていたが、その日はそれから何事も無く静かに過ぎた。
・・・・・。
と思ったら夜中に叩き起こされた。
『な、なに?』
寝ぼけ眼で辺りを見回すと、目の前に茶色の髪の男がいた。
ここに来てから初めて見る色。
懐かしい。
「食え。」
何だか訳の分からない物を押し付けれれた。
ハッキリ言って不気味。
乾燥されたフルーツに見えなくも無いが、夜中に叩き起こされ見たことも無い男に押し付けられて
あっさり口に出来る品では無い。
躊躇していると、後ろから羽交い絞めにされた。
一人じゃなかったんだ!
かたくなに口を閉ざしていると鼻をふさがれた。
思わず口が開く。
その瞬間に不気味な物を容赦なく口に入れられた。
慌てて吐き出そうとすると今度を口を塞がれ無理やり飲み込まされた。
もの凄く不味い!
喉にまとわりつく苦味。
ベットサイドにある水を取ろうと手とやると茶色の男に顎を捕まれた。
「本当に力の無い美しくない役立たずな物質だな。」
言われた事に腹を立てるよりも、言っている意味が分かる事の方が大きい。
さっき無理やり食べさせられたのが、賢者の涙?
「おい。お前このまま、宮殿に居たら殺されるぞ。」
この人は今まで見た こっちの人の中で一番ブサイクだ。
しかも小太り。更にチビ。
あの日本の隣のトンデモない国の将軍様にちょっと似てる。
この人の方が随分若いけど。
「頭の動きも悪いのか?それとも涙がまがい物?」
「やっぱり、あれが賢者の涙なのか。言葉が分かることにちょっと感動してた。」
「暢気なことで。死にたくなかったら付いて来い。」
横柄にいきなり言う。
付いて来いって。なんで?
殺されるってなんで?
私を殺しても意味ないでしょ。
殺されるとしても、お前はなんで私を助けるんだ?
なぜ?何故?なんで?
「あなたは私を助けて何の得があるの?私は力の無い美しく無い役立たずなんでしょ?」
「そうだよ。でも お前の髪の毛と瞳は黒い。そこだけは役に立つかもしれん。」
「かもしれない。で助けるの?役に立たなかったら?」
「知らん。とりあえず今は駒が必要なんだよ。」
駒って。
とりあえず、命は大切。
でも、この人信じて良いの?
「面倒臭い。ザリチュ連れてけ。」
その言葉と同時に意識が無くなった。