17.仲間が増える
…
「やあやあ、待たせて…あ、薬草集めてるの?」
「あっ!は、はい、魔物もいないので……すみませんすみません!」
「いやいやいや、怒ってるわけじゃないよ」
さすがに怯え過ぎじゃないか?ちょっと傷ついちゃう……。
「俺も手伝うよ、ここに集めればいい?」
「い、いえ!そんな事をして頂くわけには!!」
「まあまあ、早く集めて村に向かわないといけないでしょ?」
「え!?そ、それじゃあ!」
「うん、魔物を追っ払うの手伝うよ。お礼は村の滞在費と……少しこの辺りの話を聞かせてもらえるかな?」
「あ、ああっありがとうごさいます!ありがとうございます!!」
おおぅ、見事なヘッドバンギングだ。
腕に抱えてる薬草を撒き散らしておる。
…
……
「……こんなもんかな?」
「はい、これだけ集められれば充分だと思います。
……すみません、タクミさんの袋まで使わせていただいて…」
「いや、食料しか入れて無かったから大丈夫大丈夫」
肉よりもこっち持っていった方がいいだろうし。
「あ、あの!お食事は頑張って作らせて頂きますので!」
「あ、ああ、期待してるよ」
そんなキラキラした目で見ないで下さい……心が痛いです。
「それで、村まではどれくらいかかるの?」
「は、はい、私がここまで来るのに二晩かかりました……」
……凄いなこの娘、 女の子1人で二泊してここまで来たのか。
「よ、良くここまで無事に来れたね…実は結構強いとか?」
「いえ!私なんて全然駄目駄目です!と、とにかくなんとかしなくちゃって…両親にも内緒で来ちゃいました……」
行動力が半端ないな。
「えぇ…、それはご両親も心配してるだろうに」
「……やっぱり怒られちゃいますよね?」
「怒られるで済めばいいけど」
「うぅ……」
うーむ、娘さんのペースで村に向かうと時間かかり過ぎだよなぁ。
多分身体強化も出来ないだろうし……うん、仕方ない。
他意は無い、無いぞ?
「とにかく早く戻った方がいいね、俺が君を背負うからそのシーツで体を固定しよう」
「ええ!?そ、そこまでして頂く訳には!!」
「いや、俺たちのペースだと多分着いて来れないだろ?かと言って君のペースに合わせるのも時間がかかり過ぎるし、村のためにも急いだ方がいい」
他意は無い。
「え、あ、うぅぅ……」
うむ、論破は成功したようだ、あとは畳み掛ける。
他意は無いんだ。
「君の薬草の袋はシロコに持たせよう。はい、貸して貸して」
「え、あ、はい」
娘さんの薬草を奪う事に成功した、そしてそそくさとシロコに背負うように結び付ける。
「と、言うわけでよろしくな」
『……まぁ、我は構わんがの』
「…ワフッ」
シロコがどんな目をしているかは見ないようにする。
「よし、んじゃ危ないからしっかりと固定しようか」
「す、すみません……よろしくお願いします」
娘さんを背負う……熊の頭は邪魔になるから被るか、後はシーツでしっかり結んで……薬草の入ったズタ袋は脇に抱えて…よし!
……うん、着ぐるみの厚みのせいでただ荷物を背負ってる感じしかしねぇ。
「はぁ……」
「ため息!?す、すみません!やっぱり重いですよね!?」
「ああ、ダイジョブダイジョブ。んじゃ行こうか、あっちでいいんだよね?」
「は、はい、ってキャアアーー!?」
熊と犬に仲間が増えた。
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