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16.熊と犬コソコソする


「ほ、ほうほう、魔物が村に…」


「はい、それでタクミさんにお力を貸していただけないかと…」


 最近になって魔物が村に降りて来て困っているらしい。


 …うん、これあれだ、絶対俺とシロコ(タマ)のせいだ。


 調子に乗ってここ最近魔物を散らしまくってたから村にまで追いやってしまったのだろう、村の方向的にもバッチリだ。


『まさかこの様な土地に人族が村を作っておるとはのう、昔は魔物しかおらんかった』


 いや、そんなしみじみ言われても。


「あ、あの、そう言えばタクミさんはどうしてこちらに?」


「え!?あ、ああ!ここいら辺に温泉があるって聞いてね!?温泉を探しに今日!この辺りに来たんだ!」


 嘘です、ここ10日程前から魔法ぶっ放しながらここまで来ました。


「凄いですね!温泉の為にここまで来るなんて、アバシリ山脈の魔物なんてものともしないんですね!」


「ま、まあね」


 今度はアバシリか…。


「そ、それでどうでしょうか?あまり多くのお礼はお約束できませんが……わ、私に出来ることがあればなんでもします!」


 ん?今なんでもって…イヤイヤイヤ。

 さすがにこれは自分達が原因なだけに無視できない、ていうか迷惑かけてすみません。


「そうだね、なんとかしてあげたいけど…あ!ちょっと考えをまとめるついでに温泉に入らせてもらっていいかな?足だけでいいから」


「あ、そ、そうでしたね!そのためにこちらにいらっしゃったんですよね?どうぞごゆっくり!」



 シロコを連れて川の温泉に向かう。



 …

 うーん、ここの温泉はちょっと温いな、なんだか最初に見つけた温泉から移動する度に、どんどん温度が下がってる感じがする。

 なんか周りに生えている草も、温泉の温度と比例して小さくなっているような?


 足湯しながら少し声を抑え、タマちゃんに話しかける。


「さて、どうすれば解決出来るかな?」


『うん?助けるのか?』


 ガブガブと温泉を飲んでいるシロコから、タマちゃんの以外なセリフ。


「いや、さすがに俺たちが原因っぽいし」


『こんな場所に村を作っておる方が悪いじゃろう、魔物がおる事も分かっておる筈じゃ。縄張りを奪い合うなど普通の事じゃぞ』


「それでも放っては置けないよ、それに色々と情報も欲しいし」


『ふむ、やはりシンちゃんの孫じゃのぅ、そういう所もそっくりじゃ』


 会ったことないから分かんねえよ。


『まあ良い、色々と人族から得るために恩を売っておくのも手じゃの。じゃが気をつけるのだぞ?奴らはすぐに手の平を返す』


「あんな娘に裏切られたら人間不信待った無しだな…」


 枕を濡らすどころの話ではない。


「とりあえずあの娘の言ってた薬草…ってこの周りに生えてるやつかな?これを集めてから、村に行って付近の魔物を追っ払えばいいかな?」


『まあそんなところじゃな』


「そういや、ヤマガタとかアバシリとか聞き覚えのある単語なんだけど、これって爺さんが何かしたのか?」


『うん?そう言えばシンちゃんが戦争を終わらせて人族の土地が広がった際に、色々と名前を付けておったの』


 適当に付けすぎだろ…



読んでいただいてありがとうございます。

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