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からくり司書室の花  作者: 紅山黒子
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1話 シノとミス・フラワーの出会い

シノとフラワーの出会い。

 

 なんにも考えずにただ知識を貪って生きてきた。

 起きて、与えられた飯を食べ、いい子でいるようにと言われたら返事をして、仕事に行く両親を見送り、学園に行く。放課後は決まって図書館にこもった。


  俺の通う学園の初等部の図書館は、びっくりするほど古い。暗いし、部屋の煤汚れは酷い。司書もおらず、生徒は俺以外来やしなかった。だから軽く秘密基地のように扱っている。本棚は一つ俺専用に改造したほどだ。



  俺はいつも通り机の上の埃を払って一冊読もうとした。

 ところが妙なのだ。いつもは埃が積もって白んでいる机が、綺麗になっている。

 ここの人間が誰か来て掃除するとは思えない。ふと周りを見てみると、どこもかしこも綺麗に拭かれていた。

 妙を通り越して不気味だった。人の気配はやはりない。だがどこも綺麗なのだ。

 図書館を歩き回ると、本が整理されてることにも気づいた。俺専用に改造した本棚は、棚ごとどこかへ消えている。誰かいるのは分かった。縄張りを荒らされたような怒りを覚えながらも、本棚を探すことにした。


  どこからかポットの音が聞こえてきた。音のなる方向を探して彷徨っていく。すると、本棚の向こう側から音がすることに気づいた。

 隠し部屋だろうか。不自然に一冊だけ飛び出ている。その本を抜き取ってみた。

 すると重く低い音が響きながら、本棚が壁の方に沈んでいく。すると壁側が回転して扉が現れた。あまりにも厳重なのかそうでないのか分からないつくりをしているので、呆れた。


「誰かいるのか」

「誰かいるの」

 向こう側と声が重なってしまったので、少し黙る。するとかちゃりと音がして、扉が開いた。


 金髪に白髪の混じった女が出てきた。

「何かご用かな?図書館の主人くん?」

 顔が熱くなるのを感じる。これまでの自分の思考が読まれ、自分の行動の様子を楽しんでいたのがわかって、ひどく悔しくなった。

「失礼する。俺はシノ。第5学年の図書委員。新しくこの図書館に入ってきた人物がいるのだから、挨拶くらいするのは当然だろ。」

「あらあら、お顔以外は冷静ね。私はフラワー。新しくこの図書館に雇われた司書。よろしくね、シノくん。」


  からかいながらも、おっとりと微笑むそこの年増…もとい司書というフラワーに、俺はなんとも複雑な感情を抱いているのだった。


 つづく

ほのぼのしてるかと思いきやなんか辛辣ギスギスになってしまった。あれ?

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