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【超短編シリーズ】 モテない男と謎のセールスマン

【超短編】デート実習インストラクター(モテない男と謎のセールスマン5)

作者: 天音光人

 おんぼろアパートのおれの部屋にあのセールスマンが三ヶ月ぶりにやってきた。

 これまで散々な目に遭ったおれは慌ててドアを閉めた。

「もう何も買いませんよ。とっとと帰ってください」

「今日は新商品のモニターをお願いしに参りました。謝礼も差し上げますよ」

 謝礼という言葉を聞き、おれは不覚にもドアを開けた。


「今回我が社では、モテない男性のためのデート実習インストラクターという、

 最先端の人工知能を備えた女性型アンドロイドを開発いたしました。

 そこで三日間のモニターを募集しておりまして、松は十万円、竹は一万円、

 梅は千円の謝礼を差し上げますが、いかがですか?」

「松竹梅の違いは何ですか?」

「まあ質の違いとでもいいますか、ははは」

 妙な笑い方が気になったが、おれは十万円の松コースにした。


 翌日ものすごい美女がおれの部屋へやってきた。

「インストラクターの石引伊和子いしびきいわこです。よろしくお願いします」

 女性はそう言うと、おれの部屋の中を見回した。

「これは女性を呼べる部屋ではありませんね。さっそく掃除をしなさい」

「はぁ……」と言って戸惑っていると、伊和子はおれの尻に蹴りを入れた。

「さっさと始めんかい、このグズ野郎!」

 あまりの豹変ぶりに驚き、おれはあわてて部屋の片付けを始めた。

 掃除をしている間も、伊和子はおれに罵声を浴びせ続けた。


 なんとか掃除を終え、デート実習のため外に出ると、伊和子はまた怒鳴った。

「女性に車道側を歩かせんじゃねえ、このボケ!」

 その後も厳しい指導は続き、言葉遣いや食事のマナーでも叱責は続いた。

 夜のホテル実習では服の脱がせ方から愛撫の仕方まで細かくチェックされ、

 すっかり萎縮したおれは、とうとう立たなかった。するとまた散々罵倒された。


 三日間のモニター期間が終わったとき、謝礼は食事代やホテル代で消えていた。 

 そうしておれは、完全に女性恐怖症になってしまっていたのだった。


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